第七章:揺りかごの工匠(エンジニア)
その後の時間において、アーガスにとっての世界は、揺り籠の四本の支柱の内側に閉じ込められた。
天井の木目は彼にとっての変化する雲であり、暖炉の炎が唯一の太陽だった。
家族がそれぞれの仕事に追われ、《風暴雷霆戦斧》が倉庫の闇に厳重にしまわれた後。
彼の大人の魂は、この赤ん坊という身体の中で、果てしなく続く単調な日々に閉じ込められてしまった。
だが、この退屈こそが、彼にとって唯一の好機となった。
彼は全神経を、体内に宿る未知のエネルギーの探求へと注ぎ込んだのだ。
長く、孤独な、揺り籠の中での軍備拡張競争が、ここに幕を開けた。
それからの一年間。
アーガスの生活は、外から見れば何の変化もなかった。
彼は相変わらず、食べて、寝て、意味のない声を上げるだけの赤ん坊だった。
だが、その内側では、二つの巨大な計画が誰にも気づかれることなく同時に進行していた。
それはまるで優雅に水面を滑る白鳥のようだ。
水上では平穏そのものだが、水面下では必死に足を動かし、前に進んでいるように。
目を閉じて寝たふりをする時、彼は最も原始的で、泥臭い「筋力トレーニング」を開始する。
(魔力を……絞り出すんだ)
彼は意志の力で、体内の微弱な魔力を限界まで放出する。
空っぽになる感覚。身体の芯が痺れるような脱力感と倦怠感。
そして深い眠りの中で、それが極めてゆっくりと、ほんのわずかな増量を伴って再び満たされるのを待つ。
その歩みは絶望的なほど遅い。
この魔力の器の広がりが、過酷なトレーニングの成果なのか、単なる身体の自然な成長なのかさえ判別できないほどだ。
だが徐々に、予測通り、魔力は筋肉と同じ性質を示し始めた。
使い切り、回復させるサイクルを繰り返すたび、最大容量がわずかに増えていく。
彼は何度も繰り返す。
額に浮かぶ微細な汗が、暖炉の光を反射して煌めく。
サラは彼が悪夢を見ているのだと思い込み、背中を優しく叩いてくれた。
「おやすみ、坊や。怖くないわよ」
(母さん、違うんだ。これは自分を追い込む訓練なんだ……)
もしサラが、自分の愛しい赤ちゃんが成人ドワーフよりも過酷な魔力の鍛錬を行っていると知ったら、どんな顔をするだろうか。
一方、彼の頭の中は、真の、そして24時間稼働し続ける職人の作業場となっていた。
彼は《風暴雷霆戦斧》に残されていた「暗号」を何度も思い出し、記憶の断片からルーン文字の法則を解き明かそうと試みた。
だが、すぐに壁にぶつかる。
あの悪魔の落書きのような文字たちは、すでに記憶から消え去っていた。
(記憶が消えた……か。だが、収穫ゼロじゃない)
少なくとも、あの術式の「構造」が、前世の工学知識と驚くほど似ていることは確認できた。
この世界の文字が読めないなら、どうするか?
(別の記号を使えばいい。前世の英語と数字で代用するんだ)
かくして、彼の精神世界において、ある魔導具の設計図が描かれ始めた。
それは「筋力トレーニング」を自動化するための道具だ。
設計図は何千回も描き直され、細部まで検討され、完全無欠の状態まで磨き上げられていく。
職人が脳内で至高の剣を打ち続けるように。
あらゆる曲線、あらゆる回路の流れが、無数の思考実験を経て修正された。
次に彼は、魔力の「質」に注目した。
初期状態の魔力は泥水のようで、流れが悪く、粘り気が強い。
彼は意識をフィルターのように集中させ、不純物を取り除こうと試みる。
その作業は、脳に針を刺されるような痛みを伴った。
彼はまだ生え揃っていない歯茎を食いしばる。
蜂蜜のように重かった魔力が、徐々に透明度を増し、清水のようにスムーズな流れへと変化していく。
(精神の集中度が、魔力の純度を決めるのか)
高品質な魔力は、透き通った水のように、複雑な回路を淀みなく流れることができる。
この発見は彼を興奮させた。まるで錬金術の秘密レシピを見つけたかのように。
ある日の午後。
奥の間から低い詠唱が漏れ聞こえてきた。
父ブレイクの、押し殺したような野太い声だ。
アーガスの耳が全てを捉える。
彼は壁越しに「視る」ことができた。父が新しく鍛えた短剣を握り、魔力を乱暴に流し込んでいる様を。
回路はあまりに単純だ。単なる直線。
エネルギーは注がれる途中で大量に漏れ出している。
ブレイクの呼吸が荒くなる。
濁った魔力が短剣に流れ込むが、定着するのはそのごく一部だ。
「わぁ……お父さんの魔力制御、すごく安定してる……」
アイリーンの声には、心からの賞賛が込められていた。
だが、アーガスの心の中は、冷ややかな軽蔑と憐れみで満たされていた。
(この程度で? 基礎的なエネルギーの流れさえ整えられていない……)
彼は心の中で吐き捨てる。
(この世界の魔法技術は、笑えるほど原始的だ。材料さえあれば、僕ならもっと単純な理屈で、十倍は安定したものが作れる)
この侮りこそが、無力な身体に閉じ込められた彼が、前世のトップエンジニアとしての尊厳を取り戻す唯一の手段だった。
溺れる者が空気を求めるように、彼はこの優越感を必要としていた。
この傲慢さが、無力感に対する盾となり、さらなる執念に火を点ける。
手動でのトレーニングは効率が悪すぎる。
自動化が必要だ。
便利な道具に慣れ親しんだ現代人が、石器で作業を強いられるような苛立ち。
それは耐え難いストレスだった。
彼は標的を定めた。
兄トールが揺り籠に投げ込んだ、一枚の捨てられた鉄片。
彼はそれを、最初の「キャンバス」として認識した。
鉄鉱石と煤の匂いがするその鉄屑は、揺り籠の隅で、彼の手を待っていた。
時間が経ち、ついに彼の身体が、焦れる心に追いつき始めた。
初めての寝返り。
手足で身体を支え、冷たい石床を這い回るハイハイ。
そのすべての身体的進歩には、明確な目標があった――あの冷たい鉄片だ。
そして、生後二年近くが経った頃。
ついに彼は、その小さな手で、震えながらも確実にそれを掴み取った。
(道具は手に入れた。次の段階だ)
まだ鉄そのものを削るほどの力はない。
だが、代わりの方法はある。物理的に刻み込むのだ!
毎夜、小さな城が深い眠りに沈み、暖炉の残り火だけがパチパチと音を立てる頃。
アーガスの揺り籠から、微かな「削る音」が響き始める。
もしこの時、誰かが部屋に入っていたら、奇妙かつ滑稽な光景を目撃しただろう。
まだ乳離れも済んでいない幼児が、自分の手のひらより大きな鉄片を握りしめ、揺り籠の裏側で真剣に「破壊工作」を行っている姿を。
その顔は、芸術作品に挑む彫刻家のように真剣で、眉間に皺が寄っていた。
彼は鉄片の鋭い角を鑿のように使い、松の木でできた揺り籠の裏板に、設計した魔力回路を一筆一筆、刻み込んでいく。
松の清涼な香りと細かい木屑が、鼻先をくすぐる。
これは設計の検証であり、脳内の複雑な青写真を、手で触れられる形へと移す作業だ。
一画刻むたびに休憩が必要だった。小さな手は使いすぎて震える。
だが、その瞳の集中力は途切れない。
時折、鉄片が滑って「カチッ」と音を立てると、彼は即座に動きを止め、耳を澄まして家族の気配を探る。
よし、安全だ。作業再開。
彼の設計思想は、独自の魔力観察に基づいていた。
(魔力は流れる時、水と同じように『摩擦』を起こす。その結果、無駄な消耗が生じる)
彼の狙いは、この「消耗」を逆手に取ることだ。
わざと消耗を最大化することで魔力を無理やり消費させ、それによって魔力の器を刺激して広げる。
そのため、彼が揺り籠の裏に刻んでいる回路の核となる部分は、意図的に狭く絞られた、迷路のように曲がりくねった「細い水路」だった。
(魔力の流れをこの狭い水路に無理やり押し込む。そうすることで人為的に強い摩擦抵抗を生み出し、負荷をかける)
エンジニア的な思考で言えば、それはエンジンの耐久テストのために、わざと排熱の悪い配管を設計するようなものだ。
天才的であり、同時に狂気じみている。
クルミを割るために精密なプレス機を使うような、無駄に洗練された「非効率の効率化」。
床板の裏に刻まれた、彼にしか読めない秘密の青写真。
それを見つめながら、アーガスは心の底から湧き上がる、技術屋特有の喜びを感じていた。
歪んだ線は、他人には幼児の落書きにしか見えないだろう。
だが彼には、それは力への階段に見えていた。
すべての傷跡に意図があり、すべてのカーブに計算がある。
(早く……試したい)
最初の魔力がこの「狭い水路」を通過する時、どんな面白い反応が見られるだろうか。
自分で組み立てたおもちゃが初めて動くのを待つ子供のように、その興奮と緊張は誰とも分かち合えない。
静かな夜。
誰も知らない揺り籠の中の実験室で。
史上最年少の魔導職人は、この世界の理を変えるための第一歩を、着実に踏み出していた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
台湾出身の作者です。
職人が伝説級の道具を鍛え上げるためには、
技術だけでなく、赤々と燃える「炉の火」が不可欠です。
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