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【累計9000PV達成!】半ドワーフに転生〜揺り籠の中で壊れた戦斧の声を聴いた俺は、家族を壊した罪を背負い、姉を救うため工匠になる〜  作者: 鳳梨酥
『前日譚』:赤ん坊の俺には魔法が「バグ」にしか見えない —物理学で異世界の法則をデバッグし、魔導産業革命の「準備」をしておく
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第二十八章:新生の歯車(ギア・オブ・リバース)-2

 声は彼自身のものとは思えないほど掠れていた。地底からの地響きのようだ。


「……あの依頼……『魔鋼蠍マギ・スコーピオン』は……ギルドの死亡率七割だぞ……なんで……あんなものを受けたんだ?」


 アイリーンはきょとんとし、それからふわりと笑った。


 そこには怨みも後悔もない。あるのは、悪戯が見つかった子供に向ける母親のような、当たり前で、呆れるほどの慈愛だけだった。


「あなたの保証金のためよ」


 彼女は言った。今日の天気を語るような軽さで。


鍛造大師フォージ・マスターになるチャンスなんでしょう? お父さんの生涯の夢じゃない。あなたに逃させるわけにはいかないもの」


 彼女の口調が平坦であればあるほど、当然であればあるほど、その献身の事実はトールを打ちのめした。

 一語一語が銀の針となり、心臓の最も柔らかい場所を正確に刺し貫く。


「……そ、それだけのために?」


 トールは弾かれたように顔を上げた。

 いつも燃えていた瞳は、今や信じられないという困惑と苦痛で揺れていた。


「でも……保証金なんて……家にだって……」


「うん、そうね」


 アイリーンは頷いた。変わらぬ優しい笑みで。

 困惑と自責に歪む弟の顔を見つめ、静かに事実を説いた。


「家の貯金は、ずいぶん昔、アーガスの治療費で使い果たしちゃったでしょう? それからは毎年、王城への『竜の税』があって、あなたの学費もあって……うちはずっと、ギリギリだったのよ」


 彼女は他人の物語を語るように淡々としていた。だがトールには分かった。その言葉の裏に、彼女が一人で背負ってきたものの重さが。


 アイリーンは手を伸ばし、握りしめられて白くなったトールの拳の上に、そっと手を重ねた。

 温かく、柔らかい手。命の温度を分け与えるように。


「でもね、トール。あなたの才能は家族の誇りなの。あなたが立派な大師になることは、この家にとって一番大事な投資なのよ。だからチャンスが来た時、お金の工面をするのは、お姉ちゃんである私の役目でしょ?」


 その言葉には、一ミリの不満も混じっていなかった。

 農夫が今年の収穫について語るように、彼女はずっと前から受け入れていた事実を述べただけだ。


 そして。

 彼女は何気ない動作で、枕元に置いてあった革袋を――命と引き換えに持ち帰った、今は軽くなってしまったその袋を――そっとトールの前へ押しやった。


 羽毛が落ちるような軽い音。

 だがトールの心の中では、落雷のような轟音が響いた。


「……ほら。大師への保証金は払われたんでしょう? ここにまだ少し残ってるわ。最高級の工具セットくらいは買えるはずよ」


 その薄汚れた革袋は、今や世界のどの山脈よりも重く感じられた。


 それは無言の裁判官としてそこに横たわり、トールの「罪悪感」を、手で触れられるほどの熱を持った物理的実体へと変えていた。

 銅貨の一枚一枚、銀貨の一枚一枚に、アイリーンの血が染み付いている。


 それを彼女は、「残ってるわ」と優しく言ったのだ。


「……あの任務……」


 トールの声は震えていた。風に吹かれる枯れ葉のように。


「『魔鋼蠍』……姉貴……受けるべきじゃなかった……」


「馬鹿ね」


 アイリーンは笑い、指先で弟の目尻の涙を拭った。首を横に振る。

 その仕草はあまりに自然で、昔から何度もされてきたものだった。


「あれは討伐任務じゃなかったのよ。ただの調査依頼。霜火峰フロストファイア・ピーク周辺で魔物の動きがおかしいから、様子を見てきてくれっていうだけの。報酬は高いけど、危険度は中級。美味しい話だったの」


 彼女は目を細めた。一瞬、恐怖の記憶が過ったが、口調は平穏を保っていた。


「私たちが油断したの。あの怪物の巣穴に、変異した女帝クイーンが潜んでいるなんて誰も思わなかった。遭遇が突然すぎて……すぐに撤退すべきだったわ。私にも責任がある。私の判断ミスで、みんなを危険に晒してしまった」


 彼女は苦痛に歪むトールの顔を覗き込み、懇願するように言った。


「だからね、トール。これは誰のせいでもないの。ただの不運な事故よ。だから……そんなに自分を責めないで」


 彼女がそう言えば言うほど、その優しさは最も鋭利な刃物となって、トールの魂を鮮血に染まるまで切り刻んだ。

 慰めの言葉はナイフであり、微笑みは棘だった。


 彼は椅子から崩れ落ちるように、アイリーンのベッドサイドに跪いた。

 神に懺悔する罪人のように。


 姉の匂い――ラベンダーと陽だまりの匂い――が残る毛布に、顔をうずめた。


 肩が激しく、しかし音を殺して震え始めた。

 喉の奥から、瀕死の獣のような、言葉にならない嗚咽が漏れる。


 それは魂の底から絞り出された血の涙だった。


 長年抱えてきた怨恨は、今やすべて猛毒を塗った刃となり、穴だらけになった自分の心臓を無慈悲に刺し貫いていた。

 刺さるたびに新しい痛みが生まれ、流れる血のすべてが過去の自分を告発する。


 アイリーンは何も言わなかった。

 ただ手を伸ばし、弟の垂れた頭を、震える頭を、何度も何度も優しく撫でた。


 春風が花を揺らすように。母が子を寝かしつけるように。


 窓の外、最後の残照が地平線に沈み、苦痛に満ちた部屋に夜の帳を下ろした。

【あとがき】

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次の章も、全力で鍛えます。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございます。 台湾出身の作者です。 職人が伝説級の道具(アイテム)を鍛え上げるためには、 技術だけでなく、赤々と燃える「炉の火」が不可欠です。 私にとって、皆様からの応援と☆☆☆☆☆評価こそが、 この物語(アイアンソーン工房)を燃え上がらせる最高の燃料となります。 ぜひ下にある【★★★★★】をタップして、 アイアンソーン工房に火をくべてやってください! それでは、次の章でお会いしましょう!
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