第二十六章:欠陥ある奇跡(ディフェクティブ・ミラクル・パート)-2
奇跡から数日後。
悲しみによって火が消えていた工房の炉に、再び力強いハンマー音が響き渡った。
一撃一撃が勝利の太鼓のように、石屋を震わせる。
ブレイクは二十歳若返ったようだった。
彼が振るうハンマーには、失ったものを取り戻した喜びが満ちていた。その音色には、通りがかりの隣人でさえ聞き取れるほどの、かつてない高揚感があった。
その時、工房の外から怒声が飛んできた。
「ブレイク! 俺の盾を壊した件はまだ終わってないぞ!」
騎士がねじ曲がった盾の破片を持って飛び込み、賠償を求めて喚き散らす。
だがブレイクは、豪快に笑い飛ばした。
「ガハハ! 娘が目を覚ましたんだ! その怒鳴り声さえ音楽に聞こえるわ!」
彼の耳には、怒りの罵声こそが世界で最も美しい旋律だった。生きていればこそ、こうした厄介事も愛おしい。
キッチンでは、サラの祈りが哀願から感謝の賛美歌へと変わっていた。
彼女が焼くパンは以前よりも香ばしく、黄金色の皮は幸福の温度を放っている。
トールに至っては、汗だくで工房から戻ってくる時、珍しくその音痴な喉で、ドワーフの古い酒飲み歌を口ずさんでいた。
そのダミ声は決して美声とは言えなかったが、どんな天使の歌声よりも心を打つ響きがあった。
陽光が、暗雲に閉ざされていた石屋に再び満ちた。
隅々まで温かい空気が行き渡り、冬眠から覚めた庭園のように生気が蘇る。
そして、このすべての希望の源であるアイリーンが。
ある晴れた日の午後、ついに、ゆっくりとその目を開けた。
覚醒の瞬間。
窓から差し込む最初の一筋の陽光が、スポットライトのように彼女の顔を照らした。
亜麻色の髪が、光の輪を纏って輝く。
彼女が見たのは、涙ぐみながら微笑む母サラ。
聞こえたのは、興奮を抑えた父ブレイクの声。「……気が、ついたか……」
感じたのは、ベッドの足元で、大きな手で不器用に毛布を直してくれるトールの気配。
部屋には言葉がなく、温かい幸福だけが静かに流れていた。
アイリーンは家族の顔を見回した。
その翠玉の瞳は、最初は空白だった。
だが直後、記憶が潮のように押し寄せた――激痛、絶望、生命力が指先からこぼれ落ちていく冷たい感覚……。
彼女はガバッと起き上がろうとし、目に恐怖を走らせた。
「私……生きてるの?」
声は枯れ、震えていた。信じられないという驚き。
「死んだと……思ったのに……」
サラとブレイクが慌てて駆け寄り、慎重に彼女を支え、背中に柔らかい枕を当てて座らせてやる。
アイリーンは見慣れた顔を一人一人確認し、驚きは信じがたい喜びへと変わっていった。
震える手を伸ばし、母の頬に触れる。夢ではないことを確認するように。
「本当に……戻ってきたの?」
声はまだ掠れているが、風鈴のように澄んでいた。
言葉が終わるや否や、堰き止められていた感情が決壊した。
アイリーンは堪えきれず、声を上げて泣き出した。
子供の癇癪ではない。死の淵を歩き、生還した者が、再び生を抱きしめる時の解放と感謝の涙だ。
涙が痩せた頬を伝い、布団に落ちる。
「もう……うぅ……二度と会えないかと思った……」
しゃくり上げる声は途切れ途切れだが、そこには生還の甘美さがあった。
「怖かった……このままいなくなるのが、怖かった……」
彼女は震える手を伸ばし、家族全員に触れようとする。実在を確認するために。
その言葉が、部屋に充満していた歓喜に点火した。
サラは言葉にならず、ただ娘の額に口付けを繰り返し、涙を流す。
鋼鉄の男ブレイクの目も潤んだ。彼は不器用な父親に戻り、用意していた温かい水を、慌てて娘の口元へ運んだ。
「ゆっくり飲め。何日も水を飲んでないんだ」
声が震えている。
トールはベッドの端で、戻ってきた姉を見つめていた。
いつもは拗ねたような目に、言葉にできない優しさが満ちている。何か言いたげに口を開いたが、ただ力強く頷くだけだった。
アイリーンは水をちびちびと飲み、久しぶりの甘露を味わった。
彼女はこの温かい部屋を見渡し、強烈な帰属感に包まれた。
そして、強張った身体をほぐそうと、無意識に、暖かい毛布の下にある両足を動かそうとした。
ごく自然な動作。
伸びをするのと同じくらい、当たり前のこと。
アーガスは少し離れた場所に立ち、その一部始終を静観していた。
彼は輪には加わらず、心の中でかけるべき言葉をリハーサルしていた。
(目が覚めてよかった、姉さん)
(もう怖くないよ、大丈夫だ)
(僕が何とかするよ、約束する)
だが、どの言葉もスクリプトを読み上げているように無機質で、不自然に思えた。
対人コミュニケーション・プログラムの初期学習中のように、人間の感情模倣はぎこちない。
姉の瀕死を経て、彼は喪失の恐怖と耐え難い苦痛を知った。これらの感情は新しいセンサーのように、彼の世界に温度を与えた。
だが、その出力方法は、彼にとって未知の領域だった。
しかし、その時。
彼は気づいた(検知した)。
アイリーンの眉間に、極めて微細な皺が寄ったことを。
それは羽毛が落ちるほど微かな動きだったが、アーガスの高解像度の視界には、落雷のように鮮烈に映った。
彼女の顔に浮かんでいた生還の喜びが……わずかに、気づかれない程度に、硬直した。
美しい絵画に、細い亀裂が入ったように。
彼女はもう一度試みた。
今度はより意識的な動作だ。
長く動かしていなかった両足を伸ばし、身体の制御権を取り戻そうとする。
死線から戻ったのだ、身体の全パーツがまだ自分のものであるかを確認したいはずだ。
一回。
二回。
部屋に満ちていた活気ある笑い声が、いつの間にか、潮が引くように静まり返っていった。
鋭敏な家族たちも、その場に漂い始めた奇妙な違和感を感知したのだ。
空気が、再び粘度を増していく。
アイリーンの顔から、喜びの色がピクセル単位で欠落していく。
彼女はゆっくりと俯き、黙り込んだ。
先ほどまで家族の存在を確かめていたその手が、今は恐る恐る、毛布の下へと探りを入れている。
その動作には、不吉な予感が纏わりついていた。
決して知りたくない答えを探すかのように。
アーガスは見た。
彼女の肩が、微かに震えたのを――。
【あとがき】
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