第二十二章:砕かれた盾と残響(シャッタード・シールド・アンド・エコー)-2
サラの信仰は、その轟音と共に崩壊した。
大ハンマーで粉砕されたガラスの聖堂のように。
彼女は床に瘫れ込み、もはや祈ることも、神の救いを待つこともやめた。
ただ、血を吐くような杜鵑の如く哀号するのみ。
その叫びは風雨を突き抜け、夜空へと響く。
高みに座す神に対し、この不条理な運命を告発し、なぜ罪なき子がこれほどの苦しみを受けねばならないのかと問い質すように。
かつて聖光術を操り、家族の希望の源泉であったその手は、今や実の娘の命さえ救えない。
すべての敬虔さ、すべての祈りは、死神の前ではあまりに無力だった。
トールはアイリーンのベッドサイドで、彫像のように硬直していた。
視線は、生気のない姉の蒼白な顔に釘付けになっている。
彼の瞳の中で、桁外れの質量の「罪悪感」が、最も暗く冷たい潮となって理性を飲み込んでいた。
彼は誰よりも理解してしまった。
このすべての真の元凶を。
枕元に、精巧なエンチャント砥石が静かに置かれている。
アイリーンが誕生日にくれたプレゼントだ。細かく美しいドワーフルーンが刻まれ、弟が偉大な鍛造師になることへの無限の期待が込められている。
この何でもない砥石が、今は鋭利な針となって彼の心の防壁を突き破り、封印していた記憶の欠片を溢れ出させていた。
震える手で触れる。指先には冷たい石の感触。
だが記憶の中の感触は、姉がこれを手渡してくれた時の、温かく、期待に満ちた掌の温度だった。
『ほら、これがトールを世界一の鍛冶屋さんにしてくれるといいな』
彼女はそう言った。その瞳は弟の未来への憧れで輝き、陽だまりのように暖かかった。
悲しみの霧の中で、制御不能な回想が始まる。
一ヶ月前の夕食の席。両親の、押し殺したような苦しい口論。
『……あの保証金、どうするのよ』
サラの声には不安と無力が満ちていた。
『焦るな』
ブレイクは強がっていた。
『最悪、あの緋銀を売って、とりあえず学徒の選抜費に充てればいい!』
『駄目よ! あれはアイリーンの花嫁道具よ! それに『竜の税』のための最後の切り札なのよ!』
サラの声は涙交じりだった。
あの時、トールはただ困惑していた。
なぜたかが学徒選抜ごときで、両親がこれほど揉めるのか。なぜこれほど深刻な顔をしているのか。
今、彼の思考が回転を始めた。
職人特有の、実務的で冷徹な論理が、精密機械のようにすべての状況証拠を解析していく。
家の支出を計算する。
四半期ごとに絶対に徴収される「竜の税」。工房の燃料費。原材料費。そして自分の毎学期の学費……。
数字が脳内で弾き出される。
結論は顔面蒼白になるほど残酷だった。
父の工房のわずかな収入だけでは、この膨大なコストを支えることは、数学的に不可能だ。
唯一の例外。
それは、アイリーンだ。
彼女が帰ってくるたび、重い革袋や、高価な戦利品を持ち帰っていた。
彼女はいつも快活に笑っていた。
『今回はツイてたわ! 大物を拾っちゃった!』
だが、トールは今、理解した。
その「ツキ」や「拾い物」といった言葉のすべてが、命を削って換金されたものであることを。
すべての線が、「アイリーンは自分のために命を賭けた」という残酷すぎる結論へと収束した時。
彼が見たこともない、しかし現実以上にリアルな光景が、脳内で鮮明に映し出された。
彼は見た。
アイリーンが、たった一人で、冒険者ギルドの汚れた掲示板の前に立っている姿を。
屈強な男たちの中で、彼女の背中はあまりに小さく、脆く、しかし痛々しいほど決然としていた。
彼女が手を伸ばす。
『魔鋼蠍』、『危険度:極大』、『死亡率:高』と赤字で書かれた依頼書に、躊躇なくサインをする姿を。
その時の彼女の瞳は恐ろしいほど静かで、死を受け入れる覚悟を決めていた。
これらの苦痛に満ちた映像が、死へと続く因果の鎖となって繋がった時。
トールの魂は、氷点下の結論によって粉砕された。
俺だ。
俺が、自分の無能さ、嫉妬、そしてくだらないプライドのために、自分を一番愛してくれる姉を、死の淵へと突き落としたんだ。
彼はその場に立ち尽くした。視界が滲む。
母の絶叫も、父の狂ったようなハンマー音も、窓外の暴風雨も、すべてが遠ざかっていく。
彼の世界に残ったのは二つだけ。
冷たい砥石と、死人のように白いアイリーンの顔。
魂の底から湧き上がる罪悪感は、どんな猛毒よりも致死的だった。
それは、誇り高く不器用なドワーフの少年を完全に殺し、罪の意識で満たされた空っぽの抜け殻だけを残した。




