第二十二章:砕かれた盾と残響(シャッタード・シールド・アンド・エコー)-1
老治療師グレンが去った後、アイアンソーン家のリビングは死のような静寂に包まれた。
その静けさは平和な静謐ではない。死の直前の窒息感であり、まるで空気さえも流動を止めたかのようだった。
暖炉の火は揺れているが、空気に染み付いた骨まで凍るような冷気を払うことはできない。
窓の外では、暴風雨が神の怒りのように鉄峰山脈の輪郭を無慈悲に打ち据えている。
闇の中で唸る雷鳴は、これから始まる悲劇の伴奏のようだった。
ブレイクは、呆然と自分の両手を見つめていた。
分厚く、無骨で、無数のタコと火傷の跡に覆われた手。それは歳月の風雪を記録した地図のようだ。
指の腹にあるタコの一つ一つに物語がある。
ここは、十六歳で初めてハンマーを握った時の、青臭くも固い決意の跡。
あそこは、氷点下五十度の雪夜から一千五百度の炉へ踏み込むことを繰り返した、極限の温度差が焼き付けた永遠の勲章。戦士の栄誉の印のように。
この手には、常人を超えた能力がある。
鉄鉱石に含まれる微細な不純物を識別し、炉の火の完璧な温度を肌で感じ、数万回の精密な打撃によって、頑固な生鉄を名剣へと鍛え上げる。
この手は奇跡を創り、堅固なものを破壊し、冷たい金属に命と魂を吹き込むことができる。
だが今。
彼が誇りとしてきたこの「万能の手」は、娘の苦痛を1ミリグラムたりとも減らすことができない。
この「力」ゆえの「無力感」。
それは鈍らなナイフとなって、ドワーフの戦士として、家長として、そして父親としての彼の魂を、ゆっくりと、残酷に切り刻んでいた。
彼はよろめきながらアイリーンのベッドサイドへ歩み寄った。
娘の蒼白な顔を見るためではない。あの呪いを「検分」するためだ。
彼は素材を見極める工匠の目で、娘の皮膚の下を蠢く黒い血管を分析し、理解し、解体し、弱点を見つけ出そうとした。
だが、それらは独自の意識を持ち、独自の脈動と、不気味な呼吸のリズムを持っていた。
彼の八十年に及ぶ鍛冶経験の範疇を完全に超えた、未知の物質。
荒唐無稽な考えが脳裏をよぎる。
この胸糞悪いナニカを鉄床に乗せて、ハンマーで粉々に叩き潰せたらいいのに。
職人としての本能から来るその無邪気な発想は、逆に、この戦いにおける自分の無力さを骨の髄まで痛感させた。
彼は弾かれたように立ち上がった。
吠えもしない。泣きもしない。呪いもしない。
ただ沈黙したまま、一歩、また一歩と、工房へと歩き出した。彼が最も神聖視する領域へ。
彼は数十年連れ添った、三十ポンドの鍛造ハンマーを手に取った。
工房の中央には、数ヶ月の心血を注ぎ、完成間近だった傑作が鎮座していた。
人間の貴族のために特注された、華麗な盾。
表面には複雑精緻な家紋が刻まれ、鏡のように磨き上げられ、一点の曇りもない。
脳裏に蘇る、この盾を造った無数の日々。
最初のラフスケッチを描いた時の高揚感。素材選びの厳しさ。一打ごとの集中。
この作品には、完璧への執着、技への絶対的自信、そして鉄棘家当主としての無上の栄光が込められていた。
そして、ブレイクはゆっくりとハンマーを振り上げた。
「家一つ守れん『傑作』なんぞ……何の値打ちがある!!」
ガァァァァァァァァァン!!!!!
鼓膜を引き裂く金属の悲鳴が、嵐の夜を切り裂いた!
無力な狂怒を込めた一撃を受け、完璧だった盾の中央が轟音と共に陥没し、亀裂が走り、心が砕けるような破砕音を上げた!
二撃目――過去のすべての栄光への完全なる否定!
三撃目――職人としての誇りへの怒れる決別!
四撃目、五撃目……一撃ごとに、絶望が叩き込まれる!
破片が飛び散る。揺れる炉の火に照らされ、それらは墜落する星屑のように見えた。
心血を注いだ傑作の完全な破壊と共に、ブレイクの父親としての、そして鍛造大師としての誇りもまた、粉々の塵となって消滅した。
彼は最後にハンマーを投げ捨て、冷たい鉄屑の横に力なく崩れ落ちた。
悪魔に魂を抜かれた、壊れた彫像のように。
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