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第一話

 「そうだ人助けをしよう」

 俺はただそう考える。与えられた力を生かすも殺すも自分次第。

 ならばやり残しの無いように生き、そして寿命を全うしたいというもの。

 そして俺はこの与えられた力をもって全力で人助けをするのだ!!


 前世の分までな!!



 エニュジール王国…それが俺の生まれ故郷というよりは前世の生まれ故郷。俗に言う剣と魔法のファンタジー世界だ。その王国の第一王子にして稀代の魔術師といわれた俺…の前世ハリフィス・エニュジールは22歳の若さでこの世を去った。別に特段日本よりも平均寿命が短いというわけでは無い。確か平均寿命は70歳ぐらいだったと記憶している。

 ともかくそんな俺だが今はこの日本で高校生な訳である。いやはや全くなにがなんだか。

 しかしながら二人の自分が混在していると言うか、良い感じに融合していると言うかなんというか。しかし、前世の記憶がよみがえることは噂程度には小耳に挟んでいたが、俺自身そのような事はあまり信じていなかったし、まさか自分がその当事者になるとは思いもしなかったのだ。

 しかも、前世が異世界人て。

 ははっ…

 まあ、別にこれまで通りの生活をしていけば良いってもんだ。別に人格乗っ取られた訳でも無いし、ただエニュジールとしての記憶を引き継いだ訳だから若干考え方とかは変わるかも知れないけど、それはそれだな。



 「おっすー大輝」

 「よお千佳」


 2-2と書かれている教室をくぐるといつもの様に千佳が声を掛けてきた。

 水沢千佳。俺の幼馴染。一年二年と同じクラスだ。何なら、中学も三年間同じクラスなので何ともまあ凄い運命力である。

 

 「千佳、机には座らない」

 「はーい」


 俺の机が自分の席だといわんばかりに腰掛けている。俺の朝の準備がはかどらないし、お行儀も良くないのでどいてもらう。そして俺が腰掛けた椅子の左半分を馴れた手つきで無理矢理座ってくる。

 いつもの事であるが狭い。席替えで千佳と仲良しな子が俺の近くに来たので、いつもその子と会話するためにここを占拠している。

 俺も千佳と会話するのは楽しいので、俺的には問題はない。

 ただ、机に座らず普通にイスに座って下さい。机は座る物ではありませんよ。


 「いつも通りお暑いですねー二木くんと千佳ちゃんは」

 「まあな」

 「まあね」

 「ところでさあ…」

 「なになに」


 二人が話し始めたので俺も朝の支度を始める。


 ところで急に自分ともう一人の自分が融合…融合?記憶の共有といった方がよいか…を突然したわけであるが、この事は墓場まで持って行くつもりである。特に誰かに話そうという気持ちにはならない。

 まあ色々と理由はあるが第一まず信じて貰えると思えないからである。

 いきなり、『俺前世は異世界人なんだよね!キリッ』とか言ったらやばい奴認定されるに違いない。いや、もしかしたら千佳は信じてくれるかも知れないが仮にそうだとしてもやはり話すメリットが無い様に思えるのでやめておいた方が無難だろう。

 …まあ、誰かに俺の武勇伝を聞かせたいという気持ちはあるけどね。

 ハリフィスだった頃それはそれは多くの軍功を上げた事を覚えている。詳細については省くがそれはとにかく凄かったのである。

 

 「あ、大輝」

 「なんだ」

 千佳が自席に戻ろうとしたところで何か思い出したかの様に、こちらに向き直ってきた。

 「今日は佐知子さんいるの?」

 「母さんは今日遅くなるって」

 「そっか。じゃあ今日はウチで食べてきなよ」

 千佳とはお隣同士なので良くこうして誘われる事もある。ただ小さい時みたいにはそう無遠慮なままでは居られない。親しき仲にも礼儀ありという奴である。

 「ありがたいけど昨日もお邪魔してるし今日は遠慮しとこうかな」

 昨日もお邪魔しているし、今日の所は遠慮しておくのが賢明だろう。俺だって高校生にもなったので軽い食事ぐらいは自分で作れる。

 「そっかあ残念だなあ…今日は大輝の大好きな唐揚げだったのに」

 「行く」

 「即答!?手のひら返すのはや!」

 周囲からツッコミが来るが関係無い。俺は唐揚げ大好きだから。

 「んじゃまた後でねー」

 「はいよ」

 千佳が手をヒラヒラ~とさせながら帰って行く。

 …今日は体育があるないつもより本気でやっておこう。

 






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