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不思議なアメ
ユキの部屋で、シンヤとユキは遊んでいる。
「いきなりですが、私はいつでもどこでもアメをなめることができるのです」
ユキがそう言うと、ユキの右のほっぺたがぷくっと膨れた。
「いつの間にアメを?」
シンヤが疑問に思うと、ユキが続ける。
「逆のほっぺたに移動だよ」
すると今度は、ユキの左のほっぺたが膨れた。
「どういうこと?」
シンヤが、混乱する。
「簡単なことだよ。舌でほっぺたを押してただけ」
「なんだ。そういうことか」
シンヤは、アメの正体を理解した。
そして、自分でも舌を使って、ほっぺたに架空のアメを作ってみた。
「こういう音を出さない、お口遊びも楽しいね」
ユキがぽつりと言った。
「そうだね」
そう、シンヤは返したが、心の中ではなぜかドキドキしているのを感じた。