か゚き゚く゚け゚こ゚で遊んでみる
ユキが説明を始めた。
「この鼻濁音ってのは、知らないと思うけど、ちゃんとした日本語の発音なんだよ。文字で書くと、おなじ『がぎぐけご』なんだけど、本当は使い分けられるらしい。現在の日本人で鼻濁音を発音したり聞き分けられる人は、少数になっちゃったらしい」
シンヤは、興味深そうに聞いている。
ユキが続ける。
「今でも、アナウンサーとか、声優などは鼻濁音をしっかり発音できるみたい。」
「へえ、そうなんだ」
シンヤが言葉を返す。
再び、ユキの説明になる。
「それじゃあ、がとか゚の使い分けにいきましょう。ただ、私も完璧じゃないのよ。鼻濁音って難しいから。それでは、ユキの鼻濁音講座の始まりです」
「お願いします」
シンヤが楽しそうに言った。
「さて、一般に単語の一番最初に来る音は、普通の濁音で発音すんだよ。例えば『がっこう(学校)』とか『ぎんこう(銀行)』とかね。これを『か゚っこう』『き゚んこう』っって言うと、なんか変な感じになるようです。個人的には、『か゚っこう』とかでもいい気もするけど、そういうルールということでね。それに対して、2番目以降にくるが行は鼻濁音の『か゚き゚く゚け゚こ゚』になるのよ。『えいか゚(映画)』とか『りんこ゚(リンゴ)』みたいな感じで。」
ユキが熱心に説明する。
「鼻濁音できる人って、それを使い分けるんでしょ、高度なテクニックだ」
シンヤが驚く。
「あと、数字の『ご(五)』は、濁音で言うのよ。また、『○○か゚』のか゚、助詞のか゚は、鼻濁音で言うみたい」
ユキが、補足説明した。
「正式にはもっと細かいルールがあるみたいだけどとりあえずはこのくらいで」
ユキの説明が止まった。
「頭ががごちゃごちゃしてきた」
シンヤが混乱気味だ。
ユキが突然言う。
「突然ですが問題です。『午後五時』は、鼻濁音を入れて話すと正確にはどうなる?」
「ちょっと待って、考える」
シンヤは考え出した。
「わかった、『ご、こ゚、ご、じ』だ。どう、合ってる?」
シンヤの答えに、ユキが反応する。
「正解、はじめの午は、1番目だから、『ご』。後は、2番目だから、『こ゚』。五は数字だから「ご」。お見事です」
「よかった、当たった。」
シンヤが喜んだ。
そして、ユキが言う。
「シンヤ君、わたしのお口遊びにいつも付き合ってくれて、ありか゚とう」
シンヤには、確かに鼻濁音入りの「ありか゚とう」を聞き取ることができた。