か゚き゚く゚け゚こ゚って言ってみる
シンヤとユキが、巻き舌で遊んでから数日後。
二人は、お口で遊ぼうとしていた。
「ねえ、シンヤ君、これ言える? 『か゚き゚く゚け゚こ゚』」
ユキがちょっと変わった発音をした。
「言えるよ。『がぎぐげご』でしょ」
シンヤが、普通に発音した。
「違うんだよ、がぎぐげごじゃなくてか゚き゚く゚け゚こ゚だよ。よく聞いてね。か゚、き゚、く゚、け゚、こ゚」
ささやくように、発音する。
「確かに、どこか違う、柔らかいというか、あまいというか」
シンヤは、ちょっと不思議がる。
「でも、どうやったらこの音出せるのかなあ?」
シンヤの疑問が続く。
「鼻にかけて発音するんだよ、最初はね、『ん-が、ん-ぎ、ん-ぐ、ん-げ、ん-ご』あたまに『んー』をつけるの。だんだん、『んが、んぎ、んぐ、んげ、んご』みたいに、んをみじかくしていってね。慣れてくると、『か゚、き゚、く゚、け゚、こ゚』になるよ」
ユキが丁寧に説明する。
シンヤが練習してみる。
「ん-が、ん-ぎ、ん-ぐ、ん-げ、ん-ご、やっぱり難しい」
シンヤは、頑張っている。
「このか゚き゚く゚け゚こ゚は、鼻濁音っていうのよ。鼻にかけるからね」
ユキが続けて説明する。
「か゚ーか゚ーか゚ー。これって何かの鳴き声みたいで新鮮じゃない?」
ユキが鳴いた。
「なんか、これって、『がぎぐげご』と『なにぬねの』が混ざった感じで、気持ちいいね」
シンヤが感想を言った。
そして、シンヤは心の中で、ユキの発音「か゚き゚く゚け゚こ゚」に萌えていた。
自分は、ちょっと変なのかなと、思い始めていた。