何かを悟る
シンヤは、自分の家の自分の部屋で巻き舌の練習をしていた。
いろいろ試したが、なかなかできない。
「とぅるる、る、る」
仕方ないので、ベッドに横になることにした。
ベッドに入っても、巻き舌の練習。
「とぅるるる、る」
やっぱり難しいと思ったシンヤ。
繰り返し挑戦する。
「とぅるるるるる、る、る!」
シンヤは何かを悟った。
少しだけど、舌が「るるる」と振動したのだ。
この感覚を忘れないように、シンヤは、繰り返し練習した。
だんだん、舌が振動する確率高くなり、振動する時間も長くなってきた。
シンヤは、うれしくなって、何度も巻き舌を繰り返した。
「ユキに聞かせたら、どう思うだろうか?」
シンヤは、そう考えながら、眠りについた。
学校で、ユキと二人で話す時間になった。
「巻き舌、少しだけどできるようになったよ」
シンヤがユキにうれしそうに言った。
「じゃあ、やってみせてよ」
ユキがシンヤに言った。
「とぅるるるるるるる、るる。どう、できてる?」
シンヤがユキに尋ねる。
「けっこうできてるじゃない、巻き舌できるようになっておめでとう」
ユキが喜んだ。
シンヤもうれしくなった。
だが、ユキが言う。
「とぅるるるるるるる…………って感じに長くやれるようになるともっと楽しいよ」
シンヤは、ちょっとくやしそうだ。
「あと、ららららららら……、りりりりりりり……、るるるるるるる……、れれれれれれれ……、ろろろろろろろ……。みたいに、らりるれろ全部の巻き舌ができるといいね。でも『り』や『れ』、特に『り』は結構難しいかも」
シンヤは、ラ行の他の巻き舌を試してみた。
「る」は今までたくさん練習してきたからできるけど、他のら行の巻き舌はできなかった。
「でも、巻き舌ができるようになったのは進歩だよ」
ユキが言った。