ユキの暴走
ある日の放課後、シンヤとユキは空いている教室で、二人で秘密の遊びをしていた。
「か゚おーー」
ユキが鳴いた。
「かわいい鳴き声だね、鼻濁音を使っている。ゆるいライオンって感じ?」
シンヤが感想を言った。
「うん。そうだよ。そうれじゃあ、『く゚ーく゚-く゚ー』ってのはどう」
ユキは、鼻濁音で別の鳴き声を出した。
「なんか、鼻にかかった声がいいね」
シンヤはそう言った。
「ほめてくれてありがとう。今日は、お口が音を出したがってるんだよ」
ユキは、気分を言った。
「じゃあ、次はどんなのを聴かせてくれる?」
シンヤは、期待している。
「ぶーーーー、ぶぶっぶー、ぶーー」
ユキのくちびるが激しく振動して、下品(?)な音を出した。
「お口で、おならのまねだね。いつもより激しいね」
シンヤが驚いている。
「そう、じゃあもっとやっちゃおうかな?」
シンヤの期待は高まっていく。
「!"#$%&'()=^~\|@`[{;+:*]},<.>/?\_」
ユキは今までシンヤが聴いたことのない不思議な音を発音した。
「これが私の特技、宇宙語よ!」
ユキが自信ありげに言った。
「すごい、どうやったらこんな音が出るんだ」
シンヤが興奮と萌えを同時に感じた。
「宇宙語のコツは適当、自分の出したい音を出せばいいよ、シンヤ君の宇宙語聴きたいな♥」
ユキは、甘えた声でお願いした。
「ぷるぷりぶーーー、らりらるられらろ、あえいおうー」
シンヤは、言われるままに音を出した。
「初めてにしては、いい感じ、でもまだ日本語って感じもするね」
ユキが評価した。
ユキは、それからいろいろな音を出すことを教えてくれた。
例えば、「ア」と「エ」の混ざったようななんか不思議でえっちな感じがする音だ。
他には、あくびのような音も意識して出そうとするとけっこうムズシいかも。
そんな感じで、二人でいろいろな音を出してみた。
「それじゃあ、宇宙語でお話ししましょう」
ユキが誘ってくる。
「$&%`><|~=\:」
ユキの口から、謎の音が発せられる。
「くるぷーとられよじゅぱ」
シンヤも適当に発音してみる。
「rrrrrrrrrr……」
ユキの巻き舌がさく裂した。
「るるるるるるる……」
シンヤも巻き舌を発音した。
もう、シンヤとユキのお口から出る音に意味はないのかもしれない。
ユキは、声色を小さな女の子のようなものに変えた。
そんなわけで、シンヤとユキはふしぎな時間を過ごした。