お口遊びのきっかけ
また別の日の放課後、シンヤはユキと一緒にいた。
だが、シンヤはユキに聞きたいことがあった。
そこで、シンヤはユキに思い切って聞いてみる。
「ユキさんは、どうしてお口遊びが好きで得意なの?」
そしてユキは答えた。
「そうね。結構お口遊びに付き合ってもらったから、そろそろ話してもいいかな」
シンヤは、喜んだ。
ここからは、ユキの話である。
私は、小さいころから口が器用だったのかもしれない。
口で、いろいろな音をまねたり出したりするのが好きだった。
例えば、シンヤ君も苦戦した巻き舌は、小さいころの友達ができたんだよね。
それで、私もやってみたいと思って、ひそかに練習したんだ。
そして、独学?で、できるようになったんだ。
そんな感じで、いろいろな音をお口で出すのにはまっていったんだ。
今では、かなり多くのお口遊びができるようになったんだよ。
そこまで、ユキが話すとシンヤは、別の疑問が出てきた。
それは、なぜユキがシンヤと一緒にお口遊びをするようになったかということだ。
そのことについて聞いてみた。
ユキは、次のように言った。
最初は、ほんとに気楽に「これできる?」みたいに聞いたんだよ。
でも、シンヤ君が予想以上にお口遊びを楽しんでくれて、シンヤ君とならお口遊びを一緒に楽しんでくれるかもと思ったんだ。
今度は、ユキがシンヤに質問する。
どうして、お口遊びに興味が出たの?と。
シンヤは、ユキのお口遊びに萌えると言いたかったが、言うのをやめた。
代わりに次のように言った。
僕は、口が不器用だから、なかなかお口遊びは難しい。
でも、できるようになると、楽しいし、気持ちいいんだよね。
ユキは、なるほどと思った。
二人の質問タイムは一応ここまでとなった。
「とぅるるるるるるる……」
シンヤは、自分から思い切って、巻き舌をした。
さらに、
「ぶーーーーーーー……」
と、くちびるでおならのまねをした。
「シンヤ君、くちびるでおならのまねできるようになったんだあ」
ユキは驚いた。
「それじゃあ、私もシンヤ君には初披露の巻き舌するよ」
「とぅるるるるるるる……↑」
ユキは、巻き舌で音階を表現した。
ドレミのような階段のようなものではなく、坂道を上るような切れ目のないものだった。
シンヤは、ユキの口の器用さに感心した。
「くちびるでおならのまねも変わったの聞かせてあげる」
ユキは、そういうと、
「ぶっぶー、ぶっぶー」
といったようにリズムになって、くちびるを振動させた。
「楽しかったね」
シンヤとユキはそう言った。