表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/17

はずかしさを捨てて

 シンヤは、自分の家の自分の部屋にいた。

 そして、考え事をしていた。

 自分が、ユキのいろいろな発音に萌えたりするのは、やっぱり変なのかなあと。

 そしていつの間にか、自分でもその発音ができるように練習し始めてる。

 これって、僕がユキさんに近づこうとしていることになるのかなあ?

 ユキさんのいろいろな声や音を聞いていたい気持ちもあるけど、二人でいろいろな声や音を出してお話し?したくもある。

 考えるほど、よくわからなくなる。


 そして、学校で、シンヤはユキと二人だけの遊びの時間になった。

「とぅるるるるるるる…………、やっほー」

 ユキが長く激しい巻き舌であいさつ代わりの発音をした。

「こんにちは、今日もよろしく」

 シンヤが普通に挨拶する。

「シンヤ君もはずかしがらずに、とぅるるるるるるる……、だよ」

 ユキが思っていることを言った。

「わかった、とぅるるるるるるる……、やっほー」

 シンヤは、少しはずかしいのを忘れて、ユキのまねをした。

「じゃあ、さっそくお口遊びをしよう。ふごごごー、ごごー」

 ユキは、鼻を鳴らした。

「ブタの鳴きまねみたいだ」

 シンヤは言った。

「ブー、ブー。じゃダメ? そんなはずかしいです」

 シンヤの鳴きまねは、日本語発音だった。

「はずかしい? それじゃあ、また一緒に練習しようよ、まずは、鼻で息を吸って、鼻の奥で、『ごごごー』っていびきの音みたいに出してごらん」

 ユキが実演しながら、説明する。

「ごごごー」

 シンヤの鳴きまねは、まだ日本語発音だった。

「そうだ、言葉をしゃべるんじゃなくて、音を出す気持ちでね。ふごごごごごごーー」

 ユキも熱くなって、鳴きまねも激しくなってきた。

「ふごごご」

 シンヤも頑張る。

「まあ、今回はこんな感じでいいかな」

 ユキが言った。


「さて、ブタさんの他にもいろいろな動物の鳴きまねをするね」

 ユキはそう言うと、ネコの鳴きまねをした。

 もちろん、「にゃー」といった、日本語の鳴きまねじゃなくて、文字であらわすのが難しいリアルな鳴きまねだ。

「他のもあるんだけど、今日はこれくらいかな」

 ユキは、他にも動物の鳴きまねができるようだ。

 そこでシンヤが、ユキに言う。

「ユキさんって、本当に口とかが器用だよね。すごいと思う」

「まあ、個人差はあると思うけど、練習すれば結構できるようになると思うよ。あと、楽しみながら発音することかな、はずかしさを捨てて」

 ユキはそうシンヤに返した。


 突然、

「か゚き゚く゚け゚こ゚」

 と、ユキが言うとシンヤも、

「か゚き゚く゚け゚こ゚」

 と返した。

 二人は、意味不明だけど笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ