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プロローグ
「これ言える? ルルルルルルル……」
ユキの口から激しく細かい音が出た。
「できないよ。そんな器用なこと」
シンヤが、答えた。
「そうなんだ。これは巻き舌、舌を振動させて音を出すお口遊びよ」
ユキが得意そうに言った。
シンヤは、自分でも巻き舌をやってみたいと思った。
「あの、その巻き舌ってどうすればできるの?」
シンヤは、ユキに尋ねた。
「それじゃあ、練習しよう、まずは舌を口の上のこのへんに軽くつけて……」
ユキが説明してくれたが、巻き舌はすぐにできるようにはならなかった。
「む、難しい」
シンヤは、言う。
「ふふ、頑張ってね」
ユキは、微笑んだ。