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あい/抵抗  作者: 十矢


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アオイとミリロリ嬢の交差

 ブルー、ブルーどうしたの。



 だれかに、呼ばれている気がするも、頭が働かない。

 以前、調子をくずしたときも、こういうときがあった。


 そして、大抵の場合、あまりいいことは起こらないのだ。

 破滅へのフラグかしら。



「ブルー」

「あ、うん」

「なに、考えごと、それとも、体調は」

「ううん。あ、でも、体調イマイチなんだぁ」

「そっかぁ。ブルー、ツンデレだけど、そういうときはデレ少なくして、乗り切るか、あとは、休憩いれなよ」


 ホワイトの子が、気にかけてくれる。


「ホワイトは、平気?」

「うん。わたしは、純なホワイトだし、毎回、お客さまに、こう、キュンとか、気分悪いときは、もう、ダメってアピールすれば、たすけてくれる」


 ホワイトは、そのコスプレのキャラクターを存分に使い倒しているようだ。


「うん」


 わたしは、言葉少なめに返事をする。

 ホワイトが、休憩室からでていくと、

 替わりに今度は、イエローが入ってくる。


「どうしたの? 具合わるいの」

「うん。イマイチ」

「そう」


 イエローは、髪を短くしてあり、性格もハキハキしている、っていうキャラクターだ。

 髪に、アニメキャラクターの髪とめをいつもつけていて、制服は、基本ショートパンツスタイルで、口くせは「わたし、きみの妹ちゃんね。弟じゃないよん」


 でも、それはキャラクターの設定のため、実際のイエローの性格ではないだろう。



 アオイが、ブルーのツンデレであるように、イエローは、ハキハキの妹なのだ。

 短い髪を少し触りながら、ゆっくり聴いてくる。


「あのさ、ブルー」

「うん」

「以前、きいたことあるかもしれないけど、ホワイトのファンって、けっこう危ないやつおおいよね?」

「うん」


 わたしは、以前の記憶を思い出そうとするも、会話を覚えていない。

 もしかしたら、 "アイ" のほうなのかもしれない。


「でも、ホワイトは、最近になって言ってたんだけど、ブルーのほうに目移りしてるのかも、だって」

「え」

「ほら、ここのお店って、取りあってるわけではなくても、自然とファン層が分かれてる?

 でも、純なホワイトと、ツンデレのブルーって、人気だから、心配なんだよね」


 そうか、とわたしは、想った。

 ミリロリ嬢が、あとを追いかけまわされたのは、すっかり、配信関係のひとなのだろうと、想っていたけど、アイが、追いかけられることもあるか。



 以前の "アイ" のように。



「うん。わかった。気をつけるね」

「体調が戻らなくて、もし、ダメなら、交代するから、いいなよ!」

「ありがとう」


 イエローは、イスに座ると、はぁ、とため息をつく。

 わたしは、イスの上でうずくまる。


「アイでも、そんな顔つきするんだね」

「そんな顔?」

「わるい意味じゃないよ。でも、苦しいとか、哀しいとか、なにも口にしなさそう」


 う〜ん。

 そう見えているのか。


 それとも、 "アイ" だから、そうなのか。


「それは、ブルーの衣装着てれば、そう見えるんかもだけど、わたしだって……」


 そう言いかけて、ひとつとまってしまう


「だって?」


 わたしは、幾重(いくえ)にもわたし自身に、嘘と真実を混ぜてしまっているため、

 途中で考えこんでしまう。



 "アオイ" であってアイであり、ブルーでもあるけど、それはかつてのアイからの引き継ぎだ。

 そして、レンタルのアイでもある。


「うん。わたしは、ブルーであることは、楽しんでるよ。まぁ、いまは苦しいわね」

「そう。いまは休んで、明日と交代でも、いいよ」

「平気。もう少ししたら、復帰するわ」

「うん。ブルーがそれで平気なら」


 イエローは、イスに座ったまま、まだ動かない。


「ねぇ、ブルーってさ」

「うん。なに」

「フォロワー数って、いまどれくらいいるの?」

「急に、SNSの話題?」


 わたしは、びっくりする。

 たしかに、すぐに確認できるように、机の上には、スマホが置いてある。


「ブルーってさ、リリスタで、有名でしょ?」


 わたしは、またびっくりする。


「イエロー、はリリスタけっこうしてるのか」

「てか、ブルーが目立つんだよ。ここのアイテムもときどき購入したやつ、のせてるじゃん」

「あ、ヤバいかな」

「ううん、平気。それより、フォロワー数が、わたしたちと桁違うから、発見したときは、びっくりしたんね」


 そっか。

 たしかに、以前購入したアイテムをここで使うことはよくあるし、行きや帰りでも終わるとすぐに発信してしまうから、同僚は気づくかも。


「ブルーは、ここでの名称だけど、リリスタは、もうかなり前からしてるから、歴の差だけじゃん」


 わたしは、いちおうごまかしてみる。


 アオイのときのフォロワー数は、いい時期で三千三百ほどだったから、たしかにアイのは、桁違いだろう。


「そうかな。でも、投稿かわいいんね」


 そういえば、ここ数日、自身のフォロワー数ですら、あまり気にしていなかった。


 とくに、ミリロリ嬢のデートのときは、ちまちまとした内容しかのせていなかったし、そのあとは、調べものやレンタルの仕事に邁進してしまい、少しの間、放っておいたようなものだ。


「ふぅ。みるだけみるか」


 もう少しで、休憩おわりなため、そろそろ、体調をムリやりにでも、オンしなくては。

 スマホを手にとり、ひとことだけの発信をする。

 すぐに既読がついた。


「うん。休憩おわり。イエロー、またあとでね」

「はーい」



 休憩おわりに、フロアにでる前の鏡でチェックをする。

 衣装を確認し、髪を整える。

 顔色はわるいが、仕方ない。

 フロアにでていく。


「いらっしゃいませ。また今日も来てるの。めんどくさいわね。はい、さきにお水だけね」


 入ってきたお客様に、ぞんざいにお水を持っていき、そうセリフを言ったところ、そのひとと眼があってしまった。


「あっ!」


 ミリロリ嬢であり、いまは格好が違うりーちゃんがいた。


 ムリやりに、顔をいつものようにつくり、セリフをかまずに、言いはなつ。


「せめて高いの注文してよね。でなきゃなんのためにくるんだか。はい。さっさと決めて、注文してよね!」



 わたしが、メニューブックを手に持っていくと、クスクス笑って、顔を隠すりーちゃんがいて、もうやりづらいったらない。


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