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あい/抵抗  作者: 十矢


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ノープランでおまかせ

「ここですわ」


 七階はありそうな高いビルの前で、三人は見上げる。


「ここが、悪の巣窟ね」

「ラストバトルですね」

「ついにここまできたわ」


 アイが、吹き出してしまう。


「ちょっと、二人ともふざけすぎ」


 二人は、真剣な表情でアイのほうを向く。


「パーティーは、三人ですね」

「そらくんは、お留守番」

「りーちゃんの荷物預かります」

「はい」

「どうか、ご無事で」

「また、合流できるその日まで」

「ねぇ、二人とも、ゲーム配信の見過ぎじゃ」

「だって、わたくし配信者だもの」

「それも、そうね」


 そらくんに、少し隣のビルにいるように打ち合わせをしたあと、りーちゃんとアイで、入口に向かう。


「アイ、もし社長にいわれたらそのときは、わたくしの恋人になってね」

「は?」

「事務所に連れてきてのは、わたくしの彼女を連れてきたってことで」

「彼氏じゃなくて」

「えぇ。アイはイヤかしら?」

「まぁ、いまのところは、お付き合いってないけどね」

「それで、どう聞きだすの」

「ノープランノーフューチャーですわ!」

「えっ」

「おまかせあれ!」

「はぁ」



 なんか心配になってきた。


 入った正面にカウンターがあり、インフォメーションになっているらしい。


「いらっしゃいませ。ご要件は」


 りーちゃんは、スマホから、自分の名刺を画面にだす。


「ミリロリ嬢ですわ。社長いまいらっしゃいますかしら?」


 インフォメーションのお姉さんは、一瞬だけとまったあと、すぐに話しだす。


「社長は、三階事務局で仕事中です。連絡してみますので、しばらくお待ちを」


 と、お姉さんが言い終える前に、ミリロリ嬢は、歩きだしエレベーターに向かう。

 アイもついていく。


「ミリロリ嬢さん。いま、連絡しますから」

「いいえ。わたくしがこれから向かうため、必要ないですわ」

「いいえ、あの」


 エレベーターにサッとのると、アイがきたところで、扉をしめてしまう。


「ちょっと強引かしら」

「そんなことないんじゃない」

「そう」



 エレベーターで、三階までの間、ミリロリ嬢は、すっかりお嬢様の表情だ。


 ネックレスがエレベーターの照明で、奥の鏡のなかで、ひかる。


「ねぇ、気になったのだけど」

「なにかしら」

「そのネックレス」

「ええ」

「なんだろ。みたことある」


 ミリロリ嬢の首元にあるネックレスは、

 みるからに高そうで、本物の宝石だろう。


「ダイヤモンドでございますわ」

「うん」


 ミリロリ嬢の首に手を持っていき、そっと鎖をもつ。

 ダイヤモンドの周りデザインは違うものの、なぜか、観たことがある、とだけはわかる。


 なぜだろう。


「つきますわ」


 わたしは、ネックレスから手を放す。

 放す瞬間に、なにか想い出しかけたが、またすぐにわからなくなる。



 三階と表示がされている。

 扉が開くと、ミリロリ嬢は、お嬢様らしく優雅に歩いていく。


 こういうとき、アイは、ミリロリ嬢ってホントのお嬢様なのでは、と想う。

 事務所に入ると、デスクに座っていたひとりに、話しかける。


「社長は、いるかしら?」

「え、あの、どちらさま?」

「お話しがありますの」

「はい。お名前は」

「ミリロリでございますわ。」

「あぁ、配信の。いつもお世話さまです」

「社長は、いま会議室にいますね」

「呼んでいただいても」

「わかりました。少しお待ちくださいませ」

「はい」


 ミリロリ嬢は、にっこりと笑う。


 アイは、これからバトルするというのに、余裕だわ、と想ってミリロリ嬢を観ると、手がふるえている。

 思わず、ミリロリ嬢の左手を握ると、

 こちらをみて、にっこりとする。


 あぁ、こういうところなのね、

 と想った。


 こういうところが、ミリロリ嬢を配信でトップクリエイターにさせているんだわ。

 座ることもせず、その場で待ってみると、すぐに呼ばれた。


「こちらへきてください」

「はい」



 第二会議室。


 パタンと、扉が閉じられる。

 そのまま、窓ぎわまで、だまって歩き、

 二人で窓の外をみる。


「アイ」

「なに」

「こういう場所って」

「うん」

「盗聴とかされてるのかしら」

「ううん。それはないんじゃ」

「カメラは、あるみたい」

「あ、ホントね」


 会議室の天井の角に一台カメラがあり、

 反対角には、小さめなデスクと、パソコンが置かれている。


「ちょっと、ミリロリ嬢」


 パソコンのそばに近づくと、起動ボタンを押して、画面をひらく。


「あら、わたしの所属事務所だもの。平気よ」

「うーん、たしかに」


 起動画面がおわると、アイコンとパスワード画面となる。

 パスワードも気軽に押していく。


「ほら、ひらいたわよ」


 画面には、たくさんの書類とアプリアイコンが並ぶなか、所属配信者の一覧、と表示されている書類を発見する。


 スマホをとりだすと、通信アプリをひらき、無線通信でそのファイルをコピーしていく。


「えぇぇ! そこまでするの」

「しぃーー!」


 幸いカメラからは、アイが影になっていて、みえないはずだ。


「まって、ひとくるわよ」

「あと少し」



 カウンターが、あと三秒を示している。

 扉をたたく音がする。


「入るわよ」

「あ、はーい」



 社長が、なかに入ってきた。


「それで、直接事務所にくるなんて、珍しいけど、なにかあったのかしら?」



 パソコンの画面は、ブラックになっていた。


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