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あい/抵抗  作者: 十矢
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クズなひとにもネットはやさしい

 その相手は、ただのチャラついたクズだった。

 恋人がいるのに、わたしを誘い、

 遊んだあとは、また連絡するから、と言った。


「まあ、わたしはカラオケいけたし、昼食もおごりだったし、あまり文句言えないけどね」


 一応、帰りに相手とゲームセンターにより、リリクラを撮ったけれど、わたし個人で撮ったのは、ともかく、相手とのツーショットのやつは、すぐにゴミ箱に捨てた。

 SNSだけでなく、個人の連絡先もきいたけれど、それもすぐに削除した。


 わたしは、もう反射といってもいい勢いで、


 "カラオケとゲーセンいった

 おごりぃ

 でも、相手はチャラリ


 すぐに既読と返信がついた。

 けれど、わたしは即くる既読の相手ひとりには、察しがついていた。


 高校生時代の元恋人だ。


「はぁ。これいつまで、見張られてるんだろ」


 この高校生時代の元恋人は、はじめはいい雰囲気だったのだ。

 優しくて少し浮つき、他校ということもあって、学校の敷地にはこない。


 それなのに。


 帰り道、電車で一時間ほど、混んでいる車内で、立ちつつスマホで打ち込む。


 "朝早かったから、ネムぅ

 あの子とは、その場きりかもネ

 カラオケは、よかったわ


 また既読がついたあと、他のひとから


 "どんなひと?

 カラオケよき!


 それにさらに返す。


 "べつに普通だよ

 会社員

 雷津玄師と、Ydoと

 洋楽とあとなんだっけ


 "きみはクズだね?


 わたしは、流れていく車窓に映るわたしの顔をみる。


「ふふっ、そうだよ。わたしクズだよ」


 "知ってる



 住宅街に入り、ようやくわたしの部屋につく。

 デザイナーズで、1LDKでオートロックで防犯カメラつき。

 一応、おじいちゃんの管理人もいる。

 わたしの部屋のポストを確認してから、部屋に入る。


「ふぁ」

「なになに、高額鑑定、売ります買います、に新築物件か」


 わたしは、サラっと内容を確認すると、

 資源をまとめた袋にそれをつめる。


 サッと玄関をみると、鍵はかかっている。


「そうね。オートロックだ」


 バックをフックにかけて、着ていた上着をハンガーにかける。



 ベットに瞬間寝転ぼうか迷うけど、そのままだと、きっといまの格好で寝てしまうため、座ってもすぐに立つ。

 机に置いてある充電器にスマホを差し込むと、ピコピコと音がした。


「ふぁ。ヤバねむ」

「とりあえず、シャワー浴びないと」

「てか、あのひとタバコ民」

「わたし、タバコイヤなんよね」


 ひとり、ポチポチ言いつつ、着替えをもって、脱衣室に向かい、シャワーを浴びる。


 昼間の出来事を思いだし、

 お湯の流れを見ながら、薄く歌う。


「ふふふーんん、んん、ふふ、んん」


「るる、るるぅ、るる、るるる」


 わたしは、さっき

 楽しかったのかな、と考える。


「カラオケに、ゲーセン」


 お湯をとめると、湯冷めしないうちに、サッと脱衣室でタオルで身体をふいて、着替える。


「たしかに好きなことなのに」


 わたしは、もう一枚のタオルで髪をふきながら、リビングにきて、イスに座る。


 スマホを充電器からとると、

 今度はベットに移動して、寝転がりながら、スマホでリリスタに発信する。


 "このまま、寝そう

 なんだろ、わたしは、感情とぼしいんかな

 楽しいのに、楽しくない

 楽しみの遊びなのに、冷めるの早い

 遊び冷めしそう



 リリスタマークがついたあと、

 返信がきた。

 元恋人じゃないやつ、たぶん。


 "それは、残念。

 でも、別に貴方は冷たくないよ

 たぶん、楽しいを置き去りにしているだけ

 おやすみ、風邪(遊び冷め)引かないようにね


 わたしは、タオルをベットのふちにかけたまま、いつの間にか、寝入っていた。



 次に起きたのは、夜中の零時過ぎてからだった。


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