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あい/抵抗  作者: 十矢


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お仕事で恋仲には

 シラクラと一応のショッピングデートをした。

 わたしの目的は、アイがリリスタに投稿していたグッズやブランドをみにいくことだった。


 それでもメンズも少しだけだったけれどみにいくと、けっこう機嫌よくシラクラは買いものしていた。

 特に向こうから告白されているわけでもなく、冗談のようにほめられるだけなため、いわば友だちなのだろう。


 帰り道駅でわかれるときに言われた。


「次のお仕事は、気をつけるよ。アオイさんにこれ以上負担かけたくないしな」

「シラクラさんは、頼りにはなりますよ」


 実際嘘ではない。

 男性スタッフのなかでは一番話しやすく、頼み安い。

 軽い気持ちなのは、もしかしたら女性関係のときだけなのかもしれない。



 当日には、シラクラとわたし、もうひとりサポーターがついた。

 主にシラクラが受けた依頼だけど、その内容は、女性と一日街を歩くことらしい。

 途中一人の男性が合流するのだけど、その男性はなにか怪しいらしい。

 女性関係がではなくて、機会をみつけると金銭を求めるらしい。

 軽い気持ちで百円や千円ほどをおごっているうちに、お金ないからとクレカの話しをされたというのだ。


 一日というのは、その男性と離れるためにも、シラクラと仲良くなったことをアピールすることみたいだ。

 打ち合わせは済んでいるため、お昼の前の時間に合流すると、わたしは離れた位置でサポーターのもうひとりの子と、少しずつ後を追う。


「ハナちゃんは、あの話しどう思う」

「あの」

「あの依頼人の男性のほう」

「ダメ男か、それとも単にギャンブラー」

「ダメ男ならまだいいけどね」


 ハナちゃんは、前はミチコだった。

 現場で名前を変えるのかもしれない。

 シラクラはラフな格好でいて、それでいて髪留めやアクセサリー、カバンもおしゃれだ。

 相手の彼氏候補に扮しているけれど、あぁしてそれなりに決めている格好をすると、格好よくみえるのかもしれない。


「アオイさんは、シラクラさんと仲良いですね」

「サブリーダーだから、話しはするよ」

「リーダーいないから、アオイさんとシラクラさんがサブですね」

「シラクラさんは、そんな気分じゃないってこの前は言ってたけどね」


 リーダーって感じじゃない、せめて意見のまとめ役くらいと本人は言う。


「あ、移動するみたいですよ」


 ハナちゃんが少し離れた位置から、双眼鏡でみてから話す。

 途中待ち合わせる男性と会うまでは、そんなに緊張するようなこともないけれど、仮でもデート中にスマホで連絡を入れ過ぎるわけにもいかない。

 こちらが見失わないようにしつつ、離れそうならハナちゃんと連携するしかないだろう。


 シラクラは打ち合わせはしたにしても、なかなかに、いい彼氏そうにみえる。

 相手の女性は、二十歳くらいと言っていた。

 身分証をみたわけではないから、それくらいという話しだけど、腕を組んでなにか雑談をしている。


 こちらは、少し怪しい二人だ。


 ハナちゃんはサングラスでデニムに、どこでみつけたのか、グレーに刺繍のある上着だ。

 わたしは中間くらいのスカートに、また中間くらいのシャツと上着だ。

 眼鏡をしている。


 ビルのなかに入り、ショッピングをする。

 上の階にあるゲームセンターで遊び、また別の建物のショッピングだ。


「待ち合わせは、どれくらいだったですか」

「十五時じゃなかったかな」

「それじゃお昼のあとですね」


 まだ先がある。

 ときどきシラクラが、後ろを振り返る。

 こちらがついてきているか、確認するのだろう。


「少し警戒してませんか」

「そうかも」


 依頼人に気づかれない程度ではあるけれど、なにか回数が多い。


「いまは、なにもないですよね」


 二人で疑問に思う。

 実際わたしたちは離れてはいるけれど、後ろにいるため、誰もついてきていないことはわかる。


「わたしたちみえてないのかな」


 昨夜までの打ち合わせで、見えないくらいではあるけれど、しっかりと見張るから、もし離れてたら、スマホで位置を報せることくらいは、話したはずだ。

 人は多いためわたしたちは隠れているけれど、いると送ろうか。

 けれど、あまり気にしすぎると、男性が来たときにもこちらの感じが伝わってしまうかもしれない。


 今度のビルでは、ベンチに座り話している。

 お昼の場所のことかもしれない。

 わたしたちは行った場所によってだけど、混んでいたりするなら、飲みものだけの場合もある。


「コーヒーショップですかね」

「なんでそう思うの」

「ビルに入ったときの案内には、たしか三階に入ってました」


 ほかにもたくさんフードショップはあるけれど、ハナちゃんはそこにするだろうという予想だ。

 動くため追いかけると、予想通りにそこのショップに入っていく。

 わたしたちは隅の席にして、時間を少しだけずらしてから、注文する。

 軽食にはなるけれど、食べられそうだ。


「仲良いですね」


 二人席で座ってコーヒーと軽めで食べているシラクラと女性は、なにも知らなければ、恋人にみえる。


「そうね」


 けれど、やはりシラクラはときどきなにかを気にしている。

 わたしたちの居場所は、いまのところみえていないとは思う。

 違う方向をみているのだ。


「デートで緊張している……とかじゃないですよね」


 ハナちゃんもレンタルの最中でなければ、デートを見張ってるだけという気持ちなのだろうけれど、シラクラの様子は、少し気になる。


「わたしたちは、早めに食べちゃおう」


 二人がゆっくりしているなか、置かれているケーキセットをお昼代わりに食べる。

 あまり食べるのに時間のかかるものではなくケーキにした。


「おいしい」


 ハナちゃんは少ないことに文句も言わずにサクッと食べる。

 交代でお化粧室を使い戻ってから外にでる。

 少し離れようかと思うとシラクラと女性が立ち上がるのがみえた。

 慌てて目立たないように隠れると、反対方向に歩いていく。


「もう待ち合わせかな」

「まだ時間は、早め」


 上の階に上がるもそんなに回ることもなく、下にきて今度は外にでる。

 見てきたお店は混んではいた。


 駅に向かうのかと思ったら散歩しているらしく、途中の公園に入っていった。


「お話しするみたい」

「あまり隠れ場所とかないですよ」


 公園の外側で世間話をする。

 二人は、公園の中のベンチで話している。

 いつの間にか買っていた自販機の飲みものを女性は手にしている。


「このまましばらくみたいね」

「わたしたち少し怪しいかも」

「公園で遊ぶ?」

「余計に怪しいです」


 あまり見ているだけだと気づかれるため、ハナちゃんとさっきみていたショップや服の話しをする。

 わたしは後ろ向きで話しているためわからない。


「楽しそう」

「そうね」

「あの二人ですよ」


 ハナちゃんは、世間話をしつつ様子がわかるようだ。

 あまりずっと公園の入口にいると、途中散歩の夫婦や自転車の人たちがジロッとみてくるため、外側だけでも歩くことにした。

 あまり大きな公園ではないため、行ったりきたりするけれど、いまのところ怪しい人も、車も近づいては来ない。

 ハナちゃんに飲みものを買いにいってもらい、それを受け取り飲みつつ、またハナちゃんと話す。


「もう少しだね」

「あの二人いい感じですね。このまま恋仲とか」

「ハナちゃんは、依頼人と恋仲になる瞬間とかあるの」

「……ないです」

「ないのか」

「だって、パーティいっても相手の繋ぎ役だし食事いっても、浮気側で女性に殴られそうになるし、この前は高校生の男の子と女子高生の仲裁ですよ。子どもの喧嘩だって思います」

「まぁ恋愛になったら、今度は辞めることになるし」

「そうですかね。割りと隠れてレンタルしつつ上手くやってる男の子とかいるんじゃないですか」

「でも、このやつって秘密ばかりだし、急に遠くいくし、街中で腕組んだりとか普通だし、そういうの含めても隠れて規定違反しながらって無理そう」

「アオイさんはサラリとしてそう」

「待って、わたしそんなイメージ」

「イメージっていうか、そういうことしてもそれもお仕事ですって感じで普通そう」

「ハナちゃんほど、器用じゃないかと思う」


 ハナちゃんはわかっていないみたいだ。

 世間話しながらペットボトル飲みながら足で小石蹴飛ばしてシラクラのことを観察するほどの特技なら、もう器用というしかない。


 まだしばらく話している。

 そんなに大きい声で笑う女性ではないため、話し声が聞こえてきたりはしない。

 返ってシラクラがなにか冗談のようなことを言う声はときどき聞こえてくる。


「シラクラさんってあんなに笑ったりするっけ」

「まぁ普段はそこまで」

「だよね」


 移動するみたいだ。

 ハナちゃんが腕を引っ張るため、振り向くと動き出している。


「いこ」


 ペットボトルを捨てにいく暇はなかったため、ポケットに入れて歩く。


 駅で待ち合わせで、そのあと休憩して話しあう。

 段取りでは、女性と一度ふたりきりにして話してもらい、まとまったらシラクラとまた歩く。

 そのあと一時間くらいしてから解散だ。


「駅には早めにつくね」

「はい」

「あぁペットボトルね」


 ポケットに入れてあるやつを飲みほしてハナちゃんに渡すと、それを回収ボックスにポコッと入れてくれる。


 また気にしている。

 シラクラは慎重なほうだけど、仮のデート中であんなに周りを気にするだろうか。


 駅につくと、ハナちゃんとはわかれる。

 ハナちゃんは左側に回り、駅の階段でみるようだ。

 わたしは右側に回ると、植え込みの場所でスマホを手にする。

 さきほどからの様子が気になるため、ひと言シラクラにメッセージを入れておく。


 そろそろ待ち合わせだ。

 男性の特長は教えてもらったけれど、顔の写真は撮れなかったらしい。

 そのためそれに似ている男性を探す。


 依頼人の相手の男性は、すぐに現れた。

 あまり派手過ぎないけれど茶髪で、格好はスリムだ。

 左耳にピアスがある。

 ハナちゃんもすぐに気づいただろう。

 少しだけ三人で話したあと、シラクラが案内して移動するみたいだ。

 喫茶店にいくのかと思ったら、駅すぐにある広場で話すらしい。


 すぐにシラクラが離れるため、ハナちゃんとわたしはみつからない程度に、左右違う場所で待機する。

 少し相手と二人で話すのだろう。


 けれど、すぐ依頼人と口論しているようだ。

 シラクラが近づいていくと、誰かに腕を掴まれている。

 あれは誰だろう。


 なにかシラクラがスマホ片手に合図した気がした。

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