第7-4回「砦に到着」
ゴブリンに襲われながらも、なんとか走破に成功した俺達は、目的地である『ホックヤードの砦』の前に、ようやく辿り着いた。
ジュロマン侯爵が出迎えてくれた、あの白い建物より一回り大きく作られた、灰がかった石組みの建物。
砦のさらに向こうには、道中右手に見えていた森よりも、深々と広がっている木々の群集と、カウツの村からでも見えていた、険しい山々の陰影がぐんと広がっていた。
あの向こうには、何があるんだろう。
支部長や皆が、この目的地である砦を最前線と言っていたが────。
やはり、あの森や山にも、さっき襲ってきた化け物共がいるのだろうか。
そんな事を考えながら、あらためて目の前の砦に視線を戻した。
そうこうするうちに、止まっていた馬車列がまた動き始め、開かれた砦の中へと進み始めていく。
俺も、幌馬車に併せて歩いていくと、どんどん視界に、活気づいた、人々の様子が広がりだしていった。
壁の空いた部分に顔を付けて、外を窺っている甲冑の男や、スタスタと歩きながらその様子を見ている人。
槍の上部を触って、何か手入れをしている者や、ごろんとその場に腰を掛けて、大きく伸びをしている人も居る。
想像以上の人の多さに、呆気にとられていると、前の方ではマンソンさんが降りて誰かと話し始めていた。
馬車列は彼の話し終わりを待たずに、ぐんと右の方へと曲がっていく。
トミーさんが綱を持って引っ張る先頭の馬車は、やがて乗せられた袋と同じような物が、固められている場所に止められていき、その横へ、横へと馬車がどんどん並べられていった。
馬を牽いていた他の方達も、ぞろりと馬車から降りて馬を引いて奥の方へと消えていく。
どうやらこれで、護衛旅はひとまず終わり、のようだ。
漂う休みの雰囲気に、ようやく肩の荷が下りる。
ああ、これでやっとひと息つける。
そう思った束の間、トミーさんは降りて来たと思えば、すぐに幌馬車の後ろへと乗り込んでいき、ごそごそと何かをし始める。
何をしているんだろう、と思っているうちに横の方からやって来た人が、トミーさんに話しかけだした。
「トミー、久しぶりだな!」
「おうホーラー、元気だったか!相変わらず能天気だな!」
「それはお互い様だろ!」
はははと笑い合いながら、トミーさんはその人に袋を渡している。
ふと他の馬車に目を向けると、リリスもディアナさんも、中に入って彼と同じような動きをして、集まってきた人達に積み込んでいた荷物を渡し始めていた。
あっ、しまった。
ボーッとしているうちに、みんな、荷下ろしをしているじゃないか。
この様子だと、俺も手伝わなければいけなさそうだ。
慌てて俺も、彼らの動きに釣られるように、護衛していた幌馬車の中へ跳び乗った。
-続-
・しばらく平穏に回が進んでいきます。
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