最低な男
校門を夕焼けが染めていく
いよいよ始まる
最後の夏
この季節を超えてしまえば
僕らの道は
二度と交わることはない
一斉に人が群がる校門を
一人教室に残った僕は
窓から眺めて
同じ制服に
似たような髪型
その中から何故か
いつだって君を見つけ出せる自分が
我ながらに気持ち悪い
これでいいんだって
君を目で追いながら
自分に言い聞かせる
どうせ届かぬ
叶わぬ想いだから
伝えて
砕けて
美しい
青春の一ページに
してしまうくらいならば
この想いを
一人抱えきって
消えない後悔として
一生甘い痺れとして
残し続けていきたい
そんな密かな想いを
抱えきってから
これで幾つ目の季節を迎えるだろう
あれから僕も色々あって
すっかり大人になったよ
なんて言えるのはまだまだ先みたいで
ここに来るまでに
何度か恋もしてみたけれど
そのどれもが
心の奥にしまった
甘い痺れを解くことはなかった
女性の勘は
本当に鋭いね
あなたの心には
私じゃない誰かがいるって
いつも最後は決まって
頬をはたかれ振られるんだから
夕焼けに染まる校門
風の噂で聞いたんだ
今度君が結婚するって
女々しいな
それを聞いて
こんな所へ
足を運んでしまうんだから
こんな人を傷つける恋しかできなくなるなら
あの頃
ちゃんと砕けて散っておけばよかったなんて
今更になって
こんな所まできて
後悔しているんだから