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86 ビーズ工房の発展 〜 ビーズ細工アクセサリー

 ジャレットの誕生祝いという訳では無いのでしょうが、丁度良いタイミングで、かねてから話のあったワイヤー専門の工房が稼働し始めたそうです。先日の孤児院訪問で数人の子を試しに教えてみた処、基礎は問題なく熟せたそうで、思わぬ拾い物をしました。と喜びの報告が来ました。


 中でもキャリーに憧れて立候補したペリーヌという子の器用さがダントツで、既に囲い込んでいるそうです。彼女は刺繍の腕前も評価が高く、既に服飾工房からも声が掛かっていて、孤児院卒業後の勤め先には困らないかも?という子だったそうで、逃してはいけない!というベンの一声で採用されたとか。


 院長先生が言うにはペリーヌの様な才能のある子は、成人を待っている工房が多数かち合ってしまうと、早い者勝ちを主張するなど、取り合いが起きてしまって、工房同士の争いに巻き込まれたりする子が出て大変らしいです。今回は服飾工房に声を掛けられている子が複数居たのと、ペリーヌの希望が考慮されて、キャリーの工房に決まったそうです。


 それとベンが必死だった理由の一つに、鍛治工房で働いているベンの従兄弟にペリーヌの二つ上の子がいて、彼女募集しているので紹介するつもりだそうです。そういう意味でも囲い込みたかったのね〜と笑ってしまいましたが、キャリー曰く、ペリーヌは私の妹の様な子だから、彼女に見合っているかどうか、私が判断してからしか会わせない。と鼻息荒いのだとか。何はともあれ、気に入られて迎えられるのは良い事だと思います。


 今日は、そんな明るい話と一緒に納められたワイヤーを前に、ジャレットとお花のモチーフを作ります。


 ビーズ工房の派生部門の一つとして、ビーズ編み工房を立ち上げたので、今日はその見本作りをしています。ビーズ編みと言っても、糸にビーズを通して編むのは時間と手間が掛かるので、取り敢えずは、簡単なワイヤー手芸のアクセサリーから始めようかと思っています。


 ビーズを刺繍に使うのは始めている服飾工房も出て来ているので、本格的にビーズ編みを始めるのはこの後です。と言うより、ビーズ編みのバッグは編み物の工房でお願いしたいのですよね。私はビーズアクセサリーの方を作りたいので。


 今までも作ってきた花から、花弁の形や数を変えた物、徐々に複雑なモチーフを作り始めました。モチーフ一つからでもブローチは作れますが、幾つか纏めた方が見映えも良く、種類も増やせるので、取り敢えず基本となるモチーフを数多く作るつもりです。ジャレットには私の作ったモチーフを見本に色違いで作ってもらいます。


 言葉は悪いのですが、ジャレットに真似出来ない物を見本にしても、現時点では意味が無いと思うのですよ。だって、私の次に上手なのはジャレットなのですから。新しい物に適応力の高い子供達と違って、大人の職人さんに教える方が大変だったりします。理解さえしてしまえば上手なのですが。感覚で作れる子供って凄いのかも。


 何個か作るうちに、流石のジャレットも集中力が切れたみたいです。大人並みの集中力があるジャレットとは言えまだ子供です。種類を考えながら作っているので、私も疲れていない訳ではありませんし、良いタイミングという事で部屋を移動してお茶にしましょう。


 居間に向かうと、カヴィヨンがフェンリル母様と一緒にお茶の用意をしてくれていました。子供達を呼んで楽しくお茶を頂きましょう。今日はクリスティの作った食器に、カヴィヨンの作ったクッキーが山盛りですね。


 ………女神様のご加護持ちって、本当に凄い事なのだなぁ。と内心驚いています。7歳と5歳の子達の才能って枠では済まない様な出来なんですよね。私でも敵わない位の立派な売り物級の作品です。


 『カヴィヨン兄様、クッキー、美味しいです。私、カヴィヨン兄様のクッキーが一番好きです。』


 ニコニコとクッキーを手に笑うジャレット。それを見ているカヴィヨンも嬉しそうです。そして定番のクリスティのツッコミ。


 『カヴィヨン兄様のクッキーが美味しいのは当然です!だって、カヴィヨン兄様が作ってくれたのですから!』


 しっかりと両手にクッキーを持ってフンスッ!と鼻息も荒く威張るクリスティ。何時もの光景ですね。クリスティの兄様大好き発言にフェンリル母様と顔を見合わせて微笑んでしまいます。と、セドリックがポソっと、


 『キュリシュテニイたまのおしゃらもしゅてきでしゅ。』


 おやおや、セドリックはクリスティ推しの様ですね。カトリーヌは黙々とクッキーを齧ってはお茶を飲んでますね。確実に好物を食べ進んでいる安定のマイペースです。穏やかに褒め合う子供達を見て微笑ましく思うこの時間が私の宝物だなぁと嬉しくなりました。


 と、いつの間にかセドリックの隣りにクッキーを手にしたモリーノがいます。邸内でモリーノを見掛けるのは久し振り過ぎて珍しい位ですね。…モリーノを見るフェンリル母様の目が少し怖いです。それにモリーノが気配を消しているのか、モリーノに興味が無いのか、子供達はモリーノに反応しませんね。


 『モリーノ、先日私が出した課題は出来ましたか?』


 あらあら、フェンリル母様に捕まって連れて行かれてしまいましたか。サリシン義父様がいらしているなら、ハリシエダ様の執務室にもお茶を用意するべきかしら?でも、私が指示しなくても此処の侍女達は優秀だから大丈夫よね?それに、サリシン義父様がいらっしゃるなら子供達目当てにお茶をしにこちらにいらっしゃる筈。


 しばらく様子を見ていたのですがサリシン義父様が現れません。モリーノは普通に戻っていたのでしょうか?お菓子で餌付けされて、サリシン義父様の足代わりに転移しまくっているので、私の中ではサリシン義父様の守護聖獣になったのだと思い、モリーノの不在を気にしなくなってましたよ。


 一仕切りお茶と子供達との会話を楽しんで、私はモチーフ作りに戻る事にしました。カヴィヨンは何時の間にか戻って来たフェンリル母様と勉強に戻り、クリスティはセドリックやカトリーヌの相手をしてくれるそうです。ジャレットは作り掛けのモチーフが気になるので、私と一緒に部屋に戻ってアクセサリーの続きを作るそうです。

 


 ジャレットに手伝って貰って、沢山ビーズモチーフが出来ました。今日はワイヤーと一緒に出来上がったビーズモチーフを持ってビーズ工房に行き、ビーズ編み工房の職人さんに教えます。


 ビーズ編み工房はまだ立ち上げたばかりで、従業員は3人しかいません。リーダーのヤスミン様は元々手芸好きで、刺繍に使う為のビーズをビーズ工房に買いに来ていた男爵夫人です。


 『ミスティーヌ様のお陰で、私達下位貴族もキラキラしたお洒落を気楽に楽しめる様になりました。特にこの工房のビーズは宝石の様な光沢が素晴らしく、刺繍をしたドレスが華やかになりますの。最初に刺繍してお披露目した時にはお友達に羨ましがられましたわ。

 それと蜻蛉玉も一点物ですからね。私だけ。って素敵でしょ。ペンダントトップは簡単に作れるのに見栄えもあって、私のお友達にも人気ですの。』


 とても嬉しそうです。以前から、ビーズ工房で材料を買っては作品を作ってご友人に販売されていたそうなの。その話を聞いていたからビーズ編み工房を立ち上げる決心がついたのです。せっかく立ち上げても、製作や指導してくれる人が居ないと困るのは私ですから。


 元々ご自分で工夫して作っていらした方なので勘も良く、見本を見せながら説明すると、数日で自分の物にしてしまえる才能をお持ちなのです。当然後進の育成もお願い出来るので安心しています。


 そうそう、ビーズ工房で雫型のビーズの話をした処、やはり、最初は大きなサイズから段々小さくしていって、最終的には最小の丸ビーズに合わせる大きさに持って行く話になりました。先ずは蜻蛉玉で作ってもらいます。雫型ってペンダントトップにも向いてますから、ちょっと革命?起こしちゃうかも?なんて期待しています。


 因みに雫型のビーズが出来たらワイヤーで指輪を作りたいと思っています。立体的なお花の指輪が作れるので、ジャレットにプレゼントしたいのですよ。アレは可愛い子に似合いますからね。私のイメージでは幼児とか子供向けですが、この世界なら大人でも有りだと思うのです。ガラスビーズは素材としての値段なら兎も角、アクセサリーになるとお値段的に子供のおもちゃの範疇を超えているのですよ。


 と考えながら作っていたせいか、普通のビーズで花の指輪を作っていました。ブローチにする様なモチーフでは無く、直線的な編み方で作る簡単な指輪です。ヤスミン様の目が輝いていて、


 『ミスティーヌ様!それは何でしょうか?先程教えて頂いたブローチのモチーフとは違いますが、お花が並んでいてとても可愛いですね。それはどの様に使うのでしょうか?』


 ジャレットに指を貸してもらい長さを決めると、最初に通したビーズにワイヤーを通して輪を作り、何個かワイヤーを潜らせて解けない様に処理して指輪を作りました。


 『母様!ビーズがキラキラして綺麗です。』


 ジャレットが喜んで日に翳してキラキラさせています。ヤスミン様も一緒に見入ってますね。普通のビーズで作っても可愛く出来ました。


 『飾りとして花を一つ作って、他はビーズを通すだけでも良いし、コレみたいに全体を通して花を編んでも良いし、自由に作れば良いと思うの。ただ、完成品として売り物にするなら同じデザインで違う大きさの物を沢山作る必要が有るわ。指の太さは人それぞれでしょ。

 若しくは途中まで編んでおいて、お客様の指のサイズに合わせて仕上げる事にする?お客様に合わせた一点物を売りにするなら、高めのお値段設定にして中心に小さめの蜻蛉玉を使い高級感を出すのも良いかもしれないわ。

 ビーズの穴の大きさに合わせた針に通した糸で編んでも良いかもしれないけれど、糸が擦れて切れてしまうかもしれないから難しいかしらね?』


 ワイヤーで編んだのでしっかりとした指輪が作れて、商品として飾り易いのですが、ワイヤーの端が目立つのですよね。綺麗に処理しないと怪我の元になりますから、要注意です。本当にテグスが欲しいのです。この世界ではまだ見かけないのですよ。


 ビーズ工房の職人さんも見学に来て、自分たちの作ったビーズの作品を見ては驚いたり、感心したりしていますね。ビーズを使った作品を見て今後のビーズ制作に力が入りそうです。因みに、雫型は半年を目安に丸小サイズを作れる様に集中して技術を向上させるそうです。マリレーヌは頼もしいですね。


 ………雫型のビーズが作れたら、私のインベントリのビーズを使ったアクセサリーも…は、女神様に奉納するだけにしなきゃね。此処は自重が必要でした。でも、私の錬金ならいける?


 ヤスミン様に作るアクセサリーの説明をし終え、値段設定を相談して、販売前に在庫を充実させる事を確認して帰宅しました。材料費の3〜5倍なら、素材を買うより製品を買った方がお得と思ってもらえると思うのですが、ヤスミン様曰く、他に無いアクセサリーなのだから、プレミアム価格で出すべきだそうです。


 私は利潤を追求せずに価格設定しがちなので、ヤスミン様に決定はお任せする事にしました。工房としては利益を追求するのが正義ですからね。それにヤスミン様もお金に困っていないので暴利を貪るタイプでは有りませんから、きっと適正値段で売り出してくれる筈です!


 満を持して一ヶ月後に販売が始まりましたブローチと指輪は事前の口コミもあって、あっという間に人気商品になりました。値段設定のターゲットとして下級貴族から裕福な平民を想定したそうで、お手頃価格も話題になったそうです。


 今は少し高級感を売りにしたオーダーメイドの予約を受け付け始め、順調に予約数を伸ばしているそうです。雫型の蜻蛉玉もサイズの展開が広がり、優先的に、と言うか、ヤスミン様の工房用として開発している状態になっているので、他の工房からの催促で、ビーズ工房も忙しい悲鳴が上がっているそうです。


 暫くは近付かない方が親切かも?とは言え、クリミアナ義姉様から質問が来そうな案件ですよね。リストランテのビーズ工房からの職人の受け入れを相談する位なら大丈夫かな?リーバスさんからは、


 『ミスティーヌ様。ヤスミン様から申し出が有りましたので、王都のギルドには牽制を入れてますが、これ、絶対に流行りますよ。ビーズ工房の職人を増やしても良いと進言致します。と言うか、フェーブルの副ギルマスからビーズ工房をフェーブルにも!と泣きつかれていて、鬱陶しいのですよ!』


 と愚痴が入りました。フェーブルかぁ。グランダイの影響が消えているなら考えても良いのですが………と言うより、影響が無い、情報が漏れない。が最低条件ではないでしょうか?兎も角、工房長とマリレーヌにも相談してからでないと何も言えませんね。


 あ、ヤスミン様から、


 『ビーズ工房の隣りに出店している為か、ビーズを買いに来ているお客様が、ビーズ編み工房にも立ち寄って作品をじっくりと見ていかれるのです。その中の何人かの方に、商品を真似て作っても良いですか?と聞かれるのですが、ギルドに登録してあるのでダメなんです。と答えるとガッカリされるのです。

 話を聞いてみると、自分でも糸と針を使ってビーズ刺繍をしていて、此処の商品を観察していたら、立体的な花を刺繍出来ると気付いたので。と仰るのです。

 ミスティーヌ様に伺ってみますね。と、保留にしているのですが。ギルドに登録したのはワイヤーアクセサリーでしたよね?糸と針の刺繍ならどんな扱いになるのでしょうか?』


 と聞かれたので、その方を工房の職人さんにヘッドハント出来ないか、誘ってもらう事にしました。もしかしたら服飾工房の職人さんかもしれないので、その時は諦めて、その工房と登録内容に基く契約をすれば良いと、判断をヤスミン様に預けました。

 遣りたい事だけを書いて行こう。と開き直っていますが、整合性を取ろうと読み直したら、既に???な感じで時間の流れが可笑しくなっていた事に気付き、ごめんなさいな状態です。………だから開き直ったとも言いますけど、???なところは見過ごして下さいませ!

 と言う事で、また、蝸牛並みの歩みで書いていきますので、気長に読みにいらして下さいね。

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