表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/92

76 英才教育? いいえ、個性に合わせた教育です。

 クリスティに魔法の授業を始める前に、カヴィヨンがフェンリル母様に作ってもらった魔法修得一覧表を借りて、私がフェンリル母様に授業をしてもらう事にしました。私の持つ魔法の知識には独自性が多く、私の魔力量の関係も有って、この世界ではあり得ない結果を出す物も少なからず有るので、先ずはフェンリル母様に習う事にしたのです。


 『この魔法修得一覧表の推奨年齢は何を基準にしてあるのですか?』


 表を見ながら質問すると、


 『カヴィヨン様の魔力量ですね。だからカヴィヨン様に合わせて考えたこの表と、クリスティ様に合わせて作る表では変わって来ます。ですからこの表はあくまでも参考にしかなりません。逆に考えるとクリスティ様に合わせて作り直せば、一般的な基準が作れるかもしれませんね。』


 成程。ベルトラン様に相談ですね。初等学校で教える基準が有れば、クリスティにそれを合わせるのも有りです。取り敢えず教えてしまった魔法については、覚えているとしても使わなければ問題有りませんよね。


 現にカヴィヨンはかなりの魔法を使えますが、フェンリル母様の指導のお陰で過大な能力を隠す必要を認識していますから、考え無しに使ってはいません。沢山の魔法が使えるのは女神様のご加護のお陰と、本人の気質と努力の賜物ですね。


 カヴィヨンは弟妹達に気を遣って無詠唱で魔法を使う様に成りましたので、周囲には余り気付かれなくなりました。ホント、私の子供には勿体ないくらいに良く出来た息子で、カヴィヨンと、指導してくれているフェンリル母様には尊敬しか有りませんね。…無詠唱が凄い技術だと言う事には眼を逸らす事にします。


 クリスティにはルールを決める迄は魔法を使わない様に言い含めました。その為、私とフェンリル母様の言いつけを守って、あれから一人で魔法を使っていません。と言っても、生活魔法のライトとクリーン以外には興味も無さそうなので、勉強が始まらなくてもあまり残念がってはいませんね。


 この処、カヴィヨンがお菓子作りにハマっている所為か、ニイサマ大好きのクリスティも厨房に付いていく事が増えて、最近は粉を混ぜたり、型抜きに興味を集中させています。魔法以外にも興味を持ってくれている。と言うか、カヴィヨンが興味を逸らしてくれているので、この間に基準表を定めてしまいたいです。


 フェンリル母様と相談した結果、クリスティの魔力量に合わせると、5歳迄は生活魔法を、それ以外はその先に。となりました。ベルトラン様に相談したら、やはり一般的な標準は既に有って、貴族なら初等学校に入学後、個人に合わせて各家庭で教え始めるそうです。


 初等学校に入っても、平民は魔力量の問題もあって、一緒には教えられないそうです。そう言えば私も勝手に使っていたのがアラン父様にバレたから、有無を言わさず上の学校に入れられましたね〜。私の子供時代の話を聞いて、


 『周囲に魔法を使う人が居ると、真似して使う子供が出てくるので、貴族は個人的に習得する場合が多いです。平民でも魔力量が有ると分かれば学校で教えますが、初等学校では平民の魔力量を意識してまでは教えませんね。使える程魔力量の有る子ばかりでは無いですから、授業にならないのですよ。』


 とベルトラン様が言いました。私が上級学園に行ったのは魔力量が多過ぎて、魔力暴走を恐れてなのですけど、普通は魔力量を調べてから魔法を教わるのですね。でも、私に手解きしてくれたラメール母様は貴族でしたし、本を読んでほぼ独学になったものの、最初は母様に教わったのですから、間違いでは無かったかな?


 『一般的な貴族の標準を教えてもらっても良いですか?子供達の勉強の参考にします。』


 とお願いして、ベルトラン様の使っている一覧表を用意してもらう事にしました。


 後日届いた表をフェンリル母様やハリシエダ様と一緒に見ましたが、仮に貴族対象の魔法教室を初等学校で開いたとしても、カヴィヨンには必要ない事が分かりました。うん、大丈夫。私も通って来た道です。

 

 クリスティとジャレットには生活魔法のライトとクリーンを教える事にしました。クリーンはカヴィヨンも使っている、私のクリーンを教える事にします。一般的では無いのですが、こちらの方がサッパリしますから。


 属性魔法については初等学校に入学してから教える事にして、クリスティには他にも眼を向けられる様に魔法以外の勉強も始める事にしました。ジャレットの希望も入れて礼儀作法などは二人一緒にする事になりました。


 そう言えばお菓子作りも3人でしていますが、クリスティはカヴィヨンにベッタリなので、ジャレットは少し寂しい様に見えます。たぶん、カヴィヨンは二人とも平等に接してると思うのですが、双子達はそれぞれに嫉妬しているようにも見えるので悩む所です。


 ジャレットから見ると、何時も一緒にいたクリスティがカヴィヨンにベッタリ。同じように見てくれていたカヴィヨンに対してはクリスティに取られたようにも思える。でもクリスティからすると、ジャレットが一緒にいるのは当然でも、カヴィヨンがジャレットの方を見るのは嬉しくない。そんな風に見えています。


 二人とも兄様大好きなだけの可愛い嫉妬で終わってくれる事を祈りましょう。拗れるようなら介入しなくてはなりませんが、基本仲良し兄弟なので取り越し苦労で終わると信じています。


 そうそう、ジャレットがビーズ手芸に惹かれたのは私が付きっきりで教えるからなのかもしれませんね。幸い、カヴィヨンの興味範囲外のせいかクリスティも気にしてませんし、ハリシエダ様が手を出さない分野なので、二人とも男の子のやる事とは思えないみたいです。


 ジャレットは手先が器用なので細かいビーズ手芸は合っています。私やカヴィヨンに贈られたモチーフもとても上手に出来ていました。


 『ジャレット、もし良かったらなんだけど、ヴィクトリア様に贈ってみない? 沢山練習して、だいぶ作るのにも慣れて来たから、かなり良い物が作れていると思うのよ。』


 と、完成させたアクセサリーを見せてもらいながら話すと、


 『ホント? わたしも、上手にできた。とおもえるの、イッパイあるんだけど、わたしがおもっているだけかな?って(笑) かぁさまにほめてもらってうれしい!

 わたし、トリアねぇさまにおくりたい! それでトリアねぇさまがよろこんでくれたらうれしい!』


 沢山のドレスや絵本を譲ってもらっていて、ヴィクトリア様が大好きなジャレットは早速、自分の作品を仕舞ってある箱を取りに行ってもらってます。これ迄に沢山作ったので侍女が管理してくれているのです。


 『かぁさま、コレがねこのまえに作ったの。でね、コッチがわたしが気に入っているの。ドッチもおくりたいけど、いくつまでならいいのかな?ドッチがトリアねぇさまよろこんでくれるかな?』


 自分の作品を前に、ニコニコとジャレットが聞いて来ます。


 『そうねぇ。何個か贈るならセットになると使い易いかな。ブローチでもブレスレットでも、ジャレットが一番贈りたい物に合わせると良いわ。』


 ジャレットに考えさせながら、私もクリミアナ義姉様に何か贈りたいと思いました。ジャレットが贈る物に合わせて作りましょうか。親子でお揃いなアクセサリーはきっと喜ばれます。ワイヤーアクセはまだ細いワイヤーを作る技術が拡がっていないので、新しい物に敏感なクリミアナ義姉様に喜ばれそうですね。



 カヴィヨン企画のカトリーヌとセドリックのお誕生会が無事に終わって、学校設立に向かってハリシエダ様が燃え尽きかけています。来年、カヴィヨンが入学する事を今から考えているので、力の入れようが凄いのです。お尻を叩いていたサリシン義父様がここに来て呆れています。(笑)


 『基本は王都の学校に合わせるで良いのですよね。でしたら、もう充分だと思います。特色を出したいと言う事で寄宿舎も建てましたし、給食?も準備しましたし、職業学校?も教師役は定員以上に集まりました。ポーション用の薬草園では、ミスティーヌ様に教えてもらった水魔法を使う水遣りのお陰で、良質の薬草がどんどん生えています。』


 ベルトラン様が来週に迫る開校式の打ち合わせに来て苦笑しています。


 『此方の準備には満足していますが、初年度の入学希望者が予定以下だったのがね。ヴェルムは想定通りで、ほぼ全員入学で良いんだけど。

 フェーブルとシャフェーの行政を放りっぱなしにし過ぎたなぁと反省しているんです。グランダイに良いようにされていたと言うか、最初にキチンと見なかったツケが大きく残ってしまったなぁ。と。

 たぶん、今年入学や編入した子達から話を聞いて、来年には好転すると思っています。と言うより、税額の差からもグランダイの方が優れているとは思っていませんので。』


 ハリシエダ様の苦笑に私もそっと眼を逸らしました。他領の批判をした上に堂々と嘘を教え込まれているのに気付かず、子供達を放りっぱなしにしていたのです。領民にそっぽ向かれている罪が有るとするなら私も同罪です。領民が被害に遭っているのに、知らなかった。で済ましたりしたらグランダイ侯を誹れませんね。私もハリシエダ様の隣りで反省します。


 『まぁ、優秀な子達をあちらの学校が手放さない悪足掻きをしていますが、気にしなくても良いですよ。子供達がヴェルム領を蔑むように教育されているとは言え、卒業してヴェルムに戻って生活する様になれば現実が見れるでしょうし、大人達だってそんなに馬鹿では無いと思いますよ。

 元々、新体制に変わって定着してからの行政には問題有りません。税制を取ってみてもヴェルムの方が税金は安いし、物価も安いので暮らし易いと言えます。特に、冒険者に関してはグランダイからまで流れて来る者も増えて来たと言う噂を耳にしています。』


 ベルトラン様が力強く慰めてくれます。冒険者の件は、サルカンドに来ていた冒険者から初心者支援の話を聞かされて、伝手を探してヴェルムに流れて来たらしいと聞いてます。お金を持たない新人の為に、ギルドでは無料から低料金の宿泊施設を作ったのです。その話を聞いて宿舎の必要性に気付いたのですけど、ハリシエダ様は忘れたのかしら?


 フェーブルとシャフェーの行政執行官達は優秀ですし、リーバスさんに扱かれて、商業ギルドはキチンと機能し始めています。キュラスの工房にも技術提供と言うか、修行をお願いしに来たり、ギルド経由で商店の支店開設の依頼が来るなど、ヴェルム領内での交流が増えています。


 『そう言えば、職業学校の話が職人を通じて広がっていたようで、工房の関係者は漏れなく入学するみたいです。今回の教師役はキュラスの職人がほとんどですが、ビーズ工房や服飾工房などはシャフェーからも職人が来ているので、そこから話が広がったようですね。』


 お茶を飲みながらベルトラン様が話を続けています。


 『シャフェーは職人が来ていたからギルドには職人学校の話を流しておきましたが、フェーブルからは特に申請が無かったのでそのままにしていたのです。フェーブルの商業ギルドにも声を掛けておいた方が良かったかな?』


 ハリシエダ様が少し考えています。


 『今年は手探りな状態で始めるのですから、次年度の検討要項に残しておけば良いと思います。初年度で結果なんて見えて来ませんから、今考える事では無いでしょう。』


 ベルトラン様は目先の重要性を告げました。遠い未来の話も大切ですが、入学式の話に戻したいです。


 『入学式の挨拶にはどなたをお招きしますか?来賓のご挨拶をお願いする方は何人位考えていますか?』


 ハリシエダ様とベルトラン様が顔を見合わせて、


 『私にベルトラン様を紹介して下さった、グスタフソン先生にはお願いしてあるのですが、後は、父上かマジェンダ兄様かで悩む所です。』


 『サリシン様ですか。確かにグスタフソン先生と並ぶにはお似合いですが、お忙しいのでは?』


 そうなんです。後10日で入学式なのです。私、学校に関してはハリシエダ様に一任でしたので、何も言われないから流石に焦ってました。因みに入学式を飾り立てるお花の手配はリーバスさん経由で終わっています。経済的に私が用意しない方が良いと言われてしまって、ダンジョンは諦めました。


 時間が無いのでモリーノに頼んでお二人の予定をお伺いした処、サリシン義父様が行く気満々でスピーチの準備も終わっているそうです。モリーノったら、


 『あ、そう言えば、その日リストランテまでお迎えに呼び出されていたんだった。てっきりカヴィヨンのクッキーを食べに来るのかと思っていたから気付かなかった。』


 と笑っていました。来賓祝辞に気が付かなかったら、当日、呼ばれてもいないのに来ていた。って事?失礼な事にならなくてホッとした瞬間の話でした。モリーノ、笑って誤魔化してもダメだよ。ホウ・レン・ソウをよろしく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ