表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セカンドライフ〜インベントリって素晴らしい  作者: 清香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/92

62 

 流石に私も悪阻の時は動きが緩慢になります。今回は今迄より眠気が強いのが不思議。フェンリル母様に三人を頼んでお昼寝タイムを取っています。年齢的に落ち着いたのかもしれないね。と思っていると、


 『ミスティーヌ様。安定期に入られたら、少しだけ、採取活動をしますか?以前の様に1時間は取れませんが、30分位を毎日熟す事をお勧めします。大丈夫です。ハリシエダ様対策は私がします。』


 と、フェンリル母様に意外な提言をされました。フェンリル母様が言うには、


 『ミスティーヌ様は伯爵夫人を頑張り過ぎて、ストレスが溜まり過ぎているせいで体調がおかしいのだ思います。カヴィヨン様の時にはこっそりと冒険者活動をして息抜きしてましたが、クリスティ様とジャレット様を出産した後からは、冒険者活動に出掛けていません。

 今回の眠気は、身体よりも精神が疲れている現れだと思いますよ。』


 と言うのです。無意識のうちに我慢していたのかなぁ?思いも拠らない提案に驚きましたが、言われてみると、ストンと落ち着く提案でした。


 採取活動の内容は、人の余り入らない山の中でもそんなに魔獣の出ない場所を探して、植物採取をメインに、危険な行為をしない事。だそうです。とは言え、範囲指定結界を張れば何処にでも作れますね。人目のつかない場所なら何箇所も知っていますし。


 そうですね。クリスティとジャレットを妊娠した事が分かった、悪阻に苦しんだ頃に中止したまま、まだ一度も採取活動に出掛けていませんでした。ダンジョンで溜め込んでしまった不良アイテムの整理整頓を始めた事もあって、私にしては珍しく街の外に出掛けていませんでした。それにハリシエダ様が立ち上げた工房のフォローの件とか忙しくしていたから、ずっと頑張っていた事にすら気付いていませんでしたね。


 『ずっと、邸の中での育児や領主夫人の仕事ばかりで、私は息抜きが出来ていなかったのですね。クリミアナ義姉様の真似をする事ばかり優先してきたから、私らしさを自分で忘れていました。』


 あんまりにもキョトンとした表情だったようで、フェンリル母様に笑われてしまいましたが、とても嬉しくなりました。妊娠した事で、何時ものハリシエダ様の過保護が見え始めていますが、『眠いから、子供達と部屋で寝ます。』と言えば時間は捻出出来そうです。フェンリル母様が付き添ってくれて、ハリシエダ様対応をしてくれるそうです。


 カヴィヨンは最近先生についての勉強が増えて来ましたし、ハリシエダ様に付いて領主の仕事を見る。と言う修業も始まりました。クリスティとジャレットはまだまだお昼寝タイムは必要ですから、私と一緒に寝てフェンリル母様に見ていてもらえば良いのです。


 女医さんの診察を受けて、悪阻が終わって安定期に入ったら作戦を決行しましょう。と言う約束を内緒でフェンリル母様として、私の気分は浮上しました。眠気は取れませんけど。


 悪阻中でも、体調を見ながら邸内で出来る仕事を片付けています。一日中寝ているなんて苦行はしたく有りません。まだお腹の膨らみは有りませんが、今の内にマタニティウエアの確認をしましょう。カヴィヨン達の時に作った服はマリアナ母様にねだられて、サルカンドの被服工房に見本として下げ渡してしまったので、また新しく作るのです。リーバスさんを呼んで、マタニティウエアの相談をしなきゃ。


 私の妊娠を聞いて固まっていたハリシエダ様ですが、妊娠を知ってまた超過保護発言をし出したので、フェンリル母様に連れて行かれました。意外と学習しない様ですね。暫くして、私は現在悪阻が酷いのと、今回は眠気が強いので、ハリシエダ様が心配する様な行動が取れない事を理解させられて戻って来ました。


 『今回は無理をしないで、母体を第一に過ごしている事は分かったよ。ミスティーヌもベテランお母様だものね。私を安心させる為にも邸の中で穏やかに過ごしてね。』


 と穏やかに釘を刺して、仕事に戻って行きました。おかしいなぁ。ハリシエダ様もベテランのお父様というか、妊婦の配偶者の筈なんだけどなぁ。過保護過ぎるのもダメだと何故学習してくれないのかしら?



 そろそろ悪阻も落ち着きそうなので、まだお腹はぺちゃんこですが、リーバスさんを呼んで、マタニティウエアーの製作を依頼する事にしました。3人の子供達の時に既にいろいろ作ったので、目新しい物にはならないと思います。ただ、26歳になったので、少し落ち着いた色を選ぶつもりです。


 職人さんを連れて来てもらって、生地見本も色々と用意してもらい、久し振りに洋服を頼んで作ります。最初の時は付与魔石を縫い付けましたが、後に改良して、取り外しの効くアクセサリーに変りました。ブローチでは針が外れて怪我したり、無くしたら大変。とばかりに最初は縫い付けるのが主流だったそうです。でもペンダントタイプが出てからは、服は服。付与魔石はアクセサリー。と棲み分けが進んだそうです。


 ……それと、シャツの下に隠してしまえば男性でも使えるから。と出産後に旦那様に贈り、夫婦で使う事を提案したら、一気にペンダントが流行ったそうです。夫婦で使えるというコンセプトはお財布の紐を緩める一番の販売ポイントだったのですね。庶民向けにはお値段がネックだったそうですが、目の付け所が良いというか、一家の財産というアピールが良かったようです。


 私は自分で魔石を用意して自分で付与出来ますから、今回も服だけを作ってもらう予定です。基本としてはウエストを締め付けない為の服なのでワンピースが主流だそうです。でも、私はこっそりと採取活動をしたいので、ズボンタイプでもウエストは締め付けないで済むように、吊りズボンとブラウスを組み合わせた服のセットを提案してみました。


 ウエストに紐は通しますが、緩く縛るだけにしたいので、落ちない為に共布で幅広い紐を作り、背中で交差させてズボンを吊るのです。元々、スカートもズボンもウエストを紐で縛るのですが、紐で吊るのは小さい子供服ばかりで、大人用に使うイメージは無かった。と、笑われましたが、問題無いでしょう。


 此方は眠る時に着るような物で、人前では着ないので。と一応断りを入れています。動きやすさを強調したいのですが、子供服のデザインと言われると否定出来ません。歳を考えろ。と言われないように、常識は持っています。をアピールしてみましたけど、成功して無さそうです。


 当然ですが人前で着る貴族向けのドレス擬きも作って貰いますよ。常識は持っていますからね。此方は違う職人さんに依頼する事になりましたけど。職人さんにも庶民向けと棲み分けがあるのは当然でしたね。


 王都のブティックに依頼した方が最新の流行で作ってもらえるそうですが、私はそこまで必要性を感じなかったのと、少し王都の響きに抵抗を感じたので、クリミアナ義姉様の専属の方にお願いしました。…元平民としては、貴族専門のお店だと、敷居が高く感じてしまうのです。一見さんお断り。とか、注文通りにしてもらえない。とか、偏見が、ね。アネトール義母様の紹介で、婚約者時代に一度だけ連れて行ってもらったお店の対応がそれだったので。……あれ?抵抗を感じたのは王都では無かったのかも?


 珍しく、クローゼットに、私以外の人が作った服が沢山並びました。縫い目が丁寧で綺麗です。見ているだけでも気分が上がります。これまでに作ってもらった服などは体型が戻るまでは来ませんし、よそゆきのドレスなどは『着られるようになるまでに流行が変わるから。』とクリミアナ義姉様に教えてもらったので、気に入った物以外は欲しがる方に譲ってしまいました。


 私ももう少し落ち着いて丁寧に縫えば、コレに近づけるかなぁ〜と、自分で縫った物とお気に入りのドレスなどを、つい見比べてしまいそうです。ガッカリしない為にもしませんけどね。



 妊婦服に付ける為に、結界や回復の付与をした魔石のアクセサリーを幾つも作り、時間を潰しています。診察にいらした医師から、


 『安定期に入りましたので、大事にし過ぎないで、少しは動いても大丈夫ですよ。適度な運動は母胎と胎児にも良い影響を与えますからね。でも、遣り過ぎはダメですよ。』


 と、忠告入りのOKをもらいました。ズボンタイプの妊婦服も届いていますし、フェンリル母様からOKが出たら久し振りの外出をしましょう。因みに、初回は両親の墓参りも兼ねて、あの丘に飛びます。採取はその近辺で済ませます。スライムや一角兎程度を狩る予定です。胎教の為にもGは出ない事を祈りましょう。


 クリスティとジャレットを連れて、フェンリル母様が部屋に来ました。二人とも眠そうです。さて。3人でお昼寝タイムですね。二人がぐっすり眠るまで、フェンリル母様と、お腹ポンポンをして子守唄を歌います。二人が夢の国に旅立ったら、私も転移して出掛けます。


 因みに、何故1時間では無いのかと言うと、フェンリル母様の見立てでは、今回も魔力を2種類感じるからだそうです。今度も男女のペアなのかな?なので、軽めに30分で。という事です。


 久し振りに来たお墓は、結界がキチンと張られたままで、花畑も含めて綺麗です。キュラスからは少し離れていますが、此処は伯爵家の私有地なので、結界は私の家族以外は入れない設定になっています。仮に、両親の親族が来ても、私は家族と思っていないので入れません。…遠い記憶に在る父方の祖父母だけは入れるかもしれませんけど、それ以外は無理です。


 グリードパパとラメールママに子供達とハリシエダ様の話をして、新たに宿っている生命の報告をしました。今日は花畑で、ポプリ用の花びらを摘むだけで帰りましょう。家に帰ったら火魔法と風魔法を使って乾かしてポプリにしたら、小袋を沢山縫ってサシェを作るのです。


 結界の中でゆったりと30分程過ごし、沢山の花びらをインベントリにしまって帰宅しました。フェンリル母様が見守る中、二人は気持ち良さげに寝ています。まだお昼寝タイムなので、私も少しだけ仮眠を取る事にしました。


 『かー様から良い匂いがする〜』


 というカヴィヨンの声に起こされました。花畑で花びら沢山摘んでいたので、花の香りが服に付いているのでしょう。カヴィヨンが来たのにも気づかない程、グッスリと眠っていたようです。


 『おはよう、カヴィヨン。お勉強は終わったのかしら?』


 と聞くと、


 『はい。今日はとー様のお仕事を見てました。フェンリルとー様が持ってきた書類を沢山読んでいるのを見ていました。りょー内の方からのお願いが書いてあって、とー様が考えてお返事するのだそうです。』


 と真面目な顔つきで話してくれました。ハリシエダ様もカヴィヨンに尊敬の眼差しを向けられての仕事はさぞや捗った事でしょう。



 郊外での採取活動は内緒ですが、領内に出向いての買い物はハリシエダ様も許容範囲なので、サシェに使う布などを買いに街へ出かけましょう。マリエッタが嬉々として馬車の手配をしています。カヴィヨンが産まれてから、フェンリル母様がカヴィヨンの専属のように張り付くようになってから、ついでのように私の事も手配してしまうので、マリエッタと一緒に何かをする機会が減ってしまっているのです。


 『久し振りにミスティーヌ様の専属らしい仕事が出来ました。』


 と喜んでいる姿に、少し反省してしまいました。一緒に手芸店で材料を選びながら、マリエッタに待遇について聞いてみると、


 『今ですか?侍女長の下で仕事をしているので、邸全体の侍女のまとめの役割を任される事も増えてきてます。逆に、ミスティーヌ様の専属の仕事から離れ気味で申し訳なく思っています。』


 と謝られてしまいました。と言っても、専属の仕事が少な過ぎなのです。ドレスを着る。とか、非日常な事以外はほぼ自分で済ませてしまうので。


 私はほとんど夜会に出ませんし、お茶会も必要最低限しか参加しません。出ても、元平民と侮られるか、利用しようと近づいて来る貴族ばかりが目立つので、不愉快だから行きたく無いのですよ。幸い、ハリシエダ様を始め周囲の理解が深いので、出なくても許されています。それにヴェルムはリストランテの中に守られているので、お茶会はクリミアナ義姉様にお任せ状態で自分で開かないで済んでいますし。


 『ごめんなさいね。私の専属としてのお仕事が基本的に少ないから、マリエッタのせいでは無いの。私が貴族らしく無いから悪いのよ。

 いっその事、侍女長を目指してくれると助かるくらいなのよね。』


 王宮で働いていたマリエッタには物足りないでしょうね。と、少し気落ちしていると、キョトンとして、


 『ミスティーヌ様は、貴族の前にミスティーヌ様ですからね。少なくとも淑女教育を完了しないとお茶会は開けないでしょうし、カヴィヨン様に付いている侍女長がいれば、私は他の仕事が出来ますし、そうですね。私、侍女長を目指した方が良いですか?』


 たぶん、フェンリル母様は何時迄も私に構っているつもりは無いと思うのですよ。マリエッタはカヴィヨンに付いていると思ってますが、本当はモリーノの教育の為なのですよね。既にフェンリル父様はフェードアウトモードに入っているのですよね。マジェンダ義兄様に公爵位を譲ったサリシン義父様がハリシエダ様に付いてくれているので安心ですから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ