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60 みんな大好きチョコレート。美味しいは正義ですけれど、制限も有ります。

 フェンリル夫婦にプレゼントされたランティス様経由で、チョコレートの存在が王家にバレました。王家ならカカオやコーヒーの存在など知っていて良い筈なのに、可笑しいなぁ?プリシラ様から呼び出されてしまいました。


 『ミスティーヌ、私達に内緒で美味しい物を食べているなんて、ランティス様がおっしゃっているのだけど、本当かしら?』


 目が笑っていません。食べ物の怨みと言った事でしょうか。理性的では無さそうです。私は心の中でため息を吐くと、インベントリからチョコクッキーやチョコケーキを取り出して渡しました。


 『此方はプルメリア国の商業ギルドから紹介されて取り寄せた、カカオから作りました。王都のギルドとも少量の取引が有ると聞いてます。余り安価では無いので市場には出回っていないと聞いてましたが。ただ、食品としての面よりも薬草としての取り扱いになっているそうです。』


 南国、プルメリア国の商業ギルマスから伺った話を伝えると、早速、医局へ伝令が走りました。


 『ミスティーヌはプルメリア国とも取引をしているの?』


 美味しそうにチョコケーキを食べながらプリシラ様が尋ねてきました。


 『改変する前のダンジョン素材で、大きなファイアタートルの甲羅を持っていたのです。国内では需要が見つからず困っていたら、プルメリア国の方で探している話を聞き付けた公爵様が間を取り持って下さって、プルメリア国で引き受けてくれる事になりました。その時の縁で、何か珍しい素材は有りませんか?と言う話しの流れで紹介してもらったのです。

 彼方でも、薬として取り扱うだけで、砂糖やミルクと混ぜて食べ易くする工夫はされていなかったそうで、私のレシピを逆に広める事になっています。遅からず、此方にも輸出されると思いますよ。』


 と告げると、嬉しそうに笑いながら、


 『うふふ。ミスティーヌのお菓子を模倣した物が入って来る前に、オリジナルを食べれて良かったわ。これって、幼児には良くないらしいってランティス様が聞いて来たそうですけど、どうしてかしら?』


 『食べ過ぎなければ、少量なら大丈夫なんですけどね。興奮剤になるので、食べ過ぎると鼻血が出たりするので、余りお薦め出来ないのです。カヴィヨンが私に隠れて料理長におねだりしまして、チョコケーキを食べ過ぎて大変でした。アレに懲りて、料理長の甘やかしが減ったのは良かったのですが。』


 シャツが赤く染まり、鼻を押さえたカヴィヨンの姿には驚愕しましたよ。チョコケーキをホールの半分も食べさせた料理長は流石に謹慎減給処分しました。アレ以降カカオもコーヒーも私のインベントリで管理しています。……そう言えばリーバスさんへ料理長を貸し出した結果報告を聞いてませんね。輸入品の前にヴェルムの銘菓として売り出されそうですよね。


 『カーライトはカヴィヨンより大きいから大丈夫かしら?リヨンにはたぶん無理ね。』


 私が遠い目をしていたので、何かを悟ったプリシラ様がコソッと聞いて来ましたので、


 『カーライト様にはチョコケーキを1ピース。リヨン様にはクッキー2枚程度から様子を見てあげて下さいね。』


 と告げて帰宅しました。勿論、チョコとコーヒーのお菓子の入ったマジックバッグをロレーヌ様に贈っておきましたよ。下から上に献上するなら、プリシラ様を経由しないで、私が直接した方が何かと良いですからね。どちらが先と言う時間的な誤差には目を瞑って頂きましょう。王家に伝わっていなかったなんて知りませんでした。で言い切りますとも。それに、コーヒーはプリシラ様には渡していません。ロレーヌ様だけに贈ったので、何かの時には言い訳に使いましょう。


 当然の様に王宮の料理長に捕まり、作り方の説明をお願いされて、カカオとコーヒーのレシピを譲りました。医局に有った素材は古びていたので廃棄してもらい、私のインベントリから出した素材で作って見せました。試食は料理長のみですよ。他の人にまでは流石に量が足りなくなりますからね。大体、陛下をはじめとして、食べていない方が殆どなのです。ホントに自分達で素材を用意して下さいな。甘え過ぎです。


 私が料理長と一緒に作ったお菓子は、早速、陛下と王太子殿下に出されたそうです。私はロレーヌ様とプリシラ様にしか出していませんから、その旨を伝えて、料理長から出してもらいましたよ。王子様達には秘密です!と厳命するのは忘れません。健康被害を出したく有りませんから。



 邸に帰って、リーバスさんを呼び出すと、


 『料理長と何か作っていた様ですが、もしかして、チョコやコーヒーで、何か考えてますか?』


 と聞きました。案の定、商品化を目指しているそうです。


 『あんなに美味しいお菓子を知って、売り出さないなんて考えられません。主材料は輸入に頼らざるを得ませんが、ヴェルムの名を上げる一品になる事間違いありません!』


 と鼻息が高いです。やっぱりね。知ったらこうなるよね〜と思いながら、


 『それは止めませんけど、子供に与える際の注意を徹底して下さい。アレは興奮剤なので、幼い子供の身体には悪影響が出ます。蜂蜜のように、幼児には毒になるぐらいの認識で良いと思いますよ。』


 と注意点を指摘すると、


『主材料のカカオとコーヒーの値段が高いので、庶民にはそんなに手が出せるとは思えません。でも、クッキーなら形を小さくすればどうかなと思っています。ケーキ程カカオを使いませんし。

 当面はクッキーの袋売りをメインに、ケーキは受注生産で考えています。もっとも、ホールにしてしまうと値段が高くなり過ぎるので、1ピース毎の受注で、数が揃った時点で生産する事を考えています。

 王都のギルドにバレると、王都に支店を出せとせがまれるかもしれませんね。その時までには決まり事を全部制定してしまう予定です。

 という訳で、クッキーの専門店を出す予定で動き始めました。』


 アレェ?既に動いているのですか。私が少し睨むと、


 『ハリシエダ様に、お店を開店させてからと頼まれてしまって、言い出せませんでした。』


 と言うでは有りませんか。詳しく聞くと、今回の材料は私に頼らずに手配出来る為、ハリシエダ様が領の顔となる商品として売り出したいのだそうです。


 『分かりました。私は何も聞かなかった事にして動いて下さいね。開店を心よりお待ちしております。』


 と、ニコニコして告げると、リーバスさんもホッとしてしたようで、


 『ミスティーヌ様の手柄を取り上げて!と叱られるのかと苦悩しておりました。ミスティーヌ様の忠告もキッチリと伝えて、年少の子達への販売には注意致します。』


 と、キリッとした表情で帰られました。



 さて。教会に行って、女神様とお話ししましょう。


 『前世のチョコやコーヒーより、興奮成分が強い様に感じます。同じ感覚で作ると、大人しか食べられない気がしました。』


 『元々、薬草の中で、カカオやコーヒーに似た物を探して、同じような味付けをしましたからね。全く同じでは有りませんよ。それに、チョコレートの食べ過ぎは良くないと、彼方の世界でも言われていませんでしたか?寝る前にコーヒーを飲むと眠れなくなるとか。』


 女神様がチョコケーキを食べながら、当然でしょ?と言う顔でおっしゃっています。そうですよね。


 『私もそうは思っていたのですが、カヴィヨンの鼻血事件では驚いてしまって。あんなに吹き出すのかと驚愕しました。ですから、売り出す際には幼児に対する健康被害を確実に伝えようと思っています。』


 『こんなに美味しいのですから、沢山食べたくなりますけど。…ミスティーヌ、チョコレートは太る。って覚えていますか?此方基準でも、その点がパワーアップしているのですよ。ホント、女性の美の敵です。』


 1ピース食べ終えて、辛そうにフォークを置いた女神様が呟いてます。エッ?女神様も太るの?私の怪訝そうな表情を読み取った女神様が、


 『私は概念の存在でも有るので、チョコレートが普及して、食べ過ぎると太ると言う概念が定着すると、私の外見に反映されないとも言えないのです。元のカカオは滋養強壮を目指して作った薬草ですからね。それを加工したなら、当然付いて来る効果でしょ。』


 と残念そうにおっしゃいました。その後は、カヴィヨンやクリスティ、ジャレットの近況報告と、クッキーの専門店をハリシエダ様が出す予定になった。と話して帰りました。



 カヴィヨンの誕生パーティーでチョコレートケーキを発表する事になりましたが、主材料の問題で販売予定は有りません。と最初に宣言しました。元々家族近親しか集まっていない為、マリアナ母様さえ押さえれば良いのでアラン父様に特に頼んでおきました。


 半年が過ぎて、ヴェルムにクッキーの専門店が開店しました。目玉はカカオとコーヒーのクッキーです。結局、大きめのサイズにして、1枚売りになりました。お手頃価格のミニクッキーの袋詰めは、紅茶葉やドライフルーツを混ぜた物や、ジャムを挟んだ物など、従来の食材で作った物です。


 チョコケーキは悩んだ結果、裏メニューになりました。カカオの値段が高いので庶民向けでは無いと言う事で落ち着いたのです。一応、クッキー専門店と銘打ちましたからね。


 そして、1枚売りのクッキー2種類に付きましては年齢制限が付きました。価格の問題もあって、そう安易に子供に与えないとは思いますが、万一があってはいけないので、キチンと説明文も掲載されていて、店員も必ず注意してから販売する事を徹底しました。


 買い占め対策で、個数制限も指定していますし、リーバスさんの対策は万全の様です。それと、店員さんの中に、顔立ちの特徴が目立った方が紛れていました。なんと、プルメリア国からの研修生だそうです。プルメリア国でも、ギルマスの肝入りで始められたらしいのですが、私から教わった方が正しい。との見解に至ったそうで、プルメリア国で売り出す為に来ているそうです。主材料のカカオもコーヒーもプルメリア国から輸入しているので、お互いにウィンウィンの関係の為の政策なのだとか。そこはハリシエダ様に丸投げしました。フェンリル父様が良い仕事をしたと聞きましたけど。


 …フェニックス様が時折、来店されるそうです。人化して。見事な赤髪の偉丈夫で、彼が来店すると売り上げが上げるそうです。そして、フェンリル父様が必ず一緒にいるそうです。ダブル美男子の看板息子効果と言う事でしょうか。


 モリーノに聞いたら、フェニックス様の好物はカカオなのだそうですが、苦味が苦手に感じていたそうです。意外と子供舌かしらと思って聞いていたのですが、聖獣様は全体的に苦味は嫌いだそうです。毒に繋がる味覚だそうです。でも、カカオの滋養強壮成分には勝てず、諦めていた処に、私がチョコレートを開発した。で、それを知って、聖獣繋がりでフェンリル父様に連絡した。という事なのだそうです。


 モリーノは、強くて厳しいフェニックス様が得意ではないそうで、いつも隠れているのだとか。フェンリル父様は強くて厳しくとも、モリーノを優しく指導していますからね。お父様は平気でも、見知らぬ大人は苦手なのかもしれません。子供ですからね(笑)


 ヴェルムでクッキー専門店が開店して、3ヶ月が過ぎました。王都でも噂が広まった様で、リーバスさんの元に王都のギルマスが来たそうです。王家では私のレシピで作られていますが、一般に売り出す訳もなくて、皆さん、初めての味に心惹かれているそうです。因みに、王家には開店時に献上させて頂きましたよ。ハリシエダ様の名前で。


 プルメリア国からもチョコレートとコーヒーの商品の輸出が始まったそうです。でも、ケーキは日持ちがしないのでクッキーやチョコレート、飲み物としての商品がメインだそうです。そして、注意事項が徹底されているそうです。薬草のままでは売上げに繋がらなかったのに。と、嬉しい悲鳴が上がっているとか。


 評判を聞いた王都のギルドとしては、王都出店が4番煎じと言う事で苦い顔だそうですが、私は知りません。主材料の関係もあり、何故、王都に出店しなきゃならないのか理解出来ませんよ。少ない材料を使うのに自分の領地を優先するのは当然だと思います。リストランテとサルカンドに出した支店は順調に運営しているそうですし、私は自分が関わらない所まで責任は持てませんもの。


 リーバスさんも、王都のギルマスの言い分にムッとしたそうです。当然ですが輸入品の材料については王都の商業ギルドで扱ってもらう事にしました。自分達の勉強不足を悔いてくれれば良いと思います。まぁ、頭を下げられたら協力はしますけど、言い出しっぺは彼方です。基本は網羅して伝えますが、真剣に受け取らなかった時は、彼方の責任です。



 ブリアさんに頼まれて、エンシェントトレントを納品に行きました。やはり、納品した家具を見て欲しがった方が多かったそうです。ただ、材料の問題でお断りした方もいらしたとか。キエランさんを通さないと無理だった方でも、逆に其処で止められたり、と、多少の忖度が動いたそうです。


 …などと忙しく過ごしていましたら、体調を崩しました。この症状は悪阻ですね。流石に3回目ともなると直ぐに気付きます。ハリシエダ様が煩くなるのは諦めなくてはいけないのでしょうね。毎回ですものね。対策として、自重しましょう。と言っても、双子を妊娠した頃から冒険者活動は休止していますし、極めて普通の生活を送っていますから問題無い筈です。


 一応、女医さんの診察を受けてから、クリミアナ義姉様にお手紙を出しましょう。サリシン義父様はカヴィヨン達の処に頻繁にいらしているので、その時にでも伝えれば良いでしょう。問題はハリシエダ様ですね。そろそろ落ち着いてくれると良いのですが。寝室で、


 『妊娠しました。次は男の子と女の子のどちらでしょうね。』


 と、何気なく告げてみました。反応を待ちます。…固まってますね。

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