表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/92

52 妊娠発覚しちゃいました。/せっかくだからお片付け?しましょう。

 盛夏も半ば。お腹も大きくなって来て、カヴィヨンの時よりも膨れたお腹に、どうやら双子らしいという事が判明しました。魔力が見えるフェンリル母様が言うので間違いは無さそうです。


 フェンリル母様の見立てでは魔力の質から男女の双子っぽいのですが、此ればかりは産まれてみないと分かりません。カヴィヨンの時より膨れたお腹にハリシエダ様の過保護が炸裂していてとても煩い。と言うのが今の実感ですね。


 今は、サリシン義父様から正式に公爵位を譲られた為に、マジェンダ義兄様は領都から離れられないそうで、代わりにクリミアナ義姉様が様子を見に来て、ハリシエダ様の過保護過ぎる行為を叱ってくれました。


 …実は、ハリシエダ様の纏わりつきが余りに鬱陶しくなってしまって、最初は双子出産経験者のエルーシャ義姉様に説得をお願いしたのですが、


 『私は平民なので、伯爵様のハリシエダ様に意見なんて言えません!』


 とあえなく逃げられちゃったのです。カヴィヨンの時もお世話になったので、クリミアナ義姉様に相談した処、快く来て頂けました。一通り説得が終了して、私が日常の行動をしても問題無いと理解出来て、ハリシエダ様もやっと落ち着いてくれました。


 部屋で過ごす事が増えたので、インベントリに眠っているいろいろなアイテムをチマチマと整理しています。ただ、売りに出したいなぁ〜とリーバスさんやサイトバル兄様に相談しても、


 『希少価値の高いアイテムばかり、大量に放出して市場の価格を乱す事は出来ない。』


 と言われて数量を絞られるので、余り減った気がしません。


 今日はクリミアナ義姉様に久し振りに会えたので、フェンリル母様を誘ってアクセサリー作りをする事にしました。素人の手作りとは言え、材料は私のインベントリに有る希少価値の高いアイテムを使っていますし、お二人ともセンスが良いので、充分売り物になりそうな出来栄えです。


 フェンリル母様は人化した時に使うネックレスを、クリミアナ義姉様は髪飾りとブレスレットを作って満足されています。こっそりと出来上がったアクセサリーの魔石に、結界や状態異常解除、回復などの付与をしていると、カヴィヨンに会い…教育に来ているサリシン義父様が覗きに来て、過剰な付与内容に気付いて呆れていました。


 状態異常解除の付与は、王宮の食事に毒を盛られていた事について、内々に陛下から相談されて、女神様にお伺いを立ててから試行錯誤して出来ました。最初は毒物排除だけだったのですが、女神様と調べて行くうちに、魔獣に寄って引き起こされる麻痺や石化などにも話しが及び、なら、なんでも有りの方が楽?とはっちゃけた結果です。


 相談された時に聞いたお話では、なんでも、カーライト様の誕生までにプリシラ王太子妃様は二度程流産なさっていたそうです。調べた結果、常時?胎児にのみ反応する微量の毒が、お茶や食事などに仕込まれていたらしいのです。


 事態を重くみた陛下が王太子夫妻専用の医師団を新たに任命して情報管理し、侍女や料理人なども一部変えた結果お産まれになったのがカーライト様だそうで、毒を看破ったランティス様のお陰だそうです。…私の料理が基準になったランティス様が、なんで王宮の食事が美味しく無いのか調理場を調べた事がきっかけと知らされて、なんとも言えなくなりましたけど。


 結果、ハリシエダ様の邸の料理長が一時期王太子夫妻の料理を作っていたのですが、私は裏事情を知らなかったので、ランティス様の食事の為に貸し出されたという大義名分を信じて、食いしん坊の聖獣様を紹介してしまって申し訳ありません!と反省⁉︎ した事を思い出しました。


 王太子妃様を快く思っていない貴族の陰謀という事が公になると、あちこちで問題が生じるだろうとの判断で、ハリシエダ様と私には真実は伝えられなかったそうです。


 閑話休題。何はともあれ、ハリシエダ様の意識改革をして頂いたお礼のアクセサリー作りだったので、付与はオマケです。気付いてしまったサリシン義父様には付けた付与の中味を内緒にして頂いて、楽しい時間を終えました。


 …羨ましそうに見ていらしたので、状態異常解除のブレスレットを、サリシン義父様とマジェンダ義兄様とハリシエダ様の3人だけのお揃いにした事までが内緒です。(笑) アネトール義母様とナイジェル義兄様、面識の無いロヴェニア義姉様にまで、わざわざ作って贈りたいとも思えませんし。


 流石に状態異常解除の付与は遣り過ぎたと思っていますので、王家と身内にしか贈っていません。私の家族にも贈っていないのに、あちらの方々に秘密を明かす必要も感じませんから、気付かないフリです。強請られた時に考えたら良いかな?作りたくは無いけど。


 マリアナ母様と違って、直ぐに『売りに出そう!』とならない処が公爵家の方々の良い処ですね。…どちらかと言うと、『遣り過ぎは良くないから。』と隠されてます。これまでも、ダンジョン由来?のアイテムなどで、毒や麻痺、石化の単体での解除や効力無効などは無い訳では無かったようですが、数が少なく、殆ど市場には出回らない物のようです。


サリシン義父様に私の出来る付与の範囲?を聞かれたので、


 『私が使える魔法なら殆どが付与出来ます。』


 と答えると、頭を抱えていらっしゃいましたが、何故でしょう?私がキョトンとしていると、


 『以前、ランティス様経由で王太子妃様に贈られた、ミスティーヌが作ったと思われるアイテムは、現在、王家の秘宝扱いになって、宝物庫に殆ど入っている筈だ。』


 と切々と諭されました。つまり、状態異常なんて括りで、一括して無効化出来るアイテムなんて一般的に聞いた事がないそうです。アレ?


 了解です。差し上げるブレスレットは陽の目を見ないアイテムとして、リストランテ家の秘密にして下さい。『希少な付与が掛かっている!』と声高に叫んで自慢しなければ、パッと見にはちょっとお洒落なアクセサリーです。問題有りません。多分。


 それにしても、価値の少ない魔石などは在庫が無いのに、希少価値のあるアイテムの多い事!我ながら、その歪さに苦笑してしまいますね。売りに出せない物が多いのは何故でしょう?と言うより、そこまで価値を上げる必要があるのかと、そちらに疑問を持ってしまいました。


 サリシン義父様が居る内に。と思って、ハリシエダ様に頼んでリーバスさんを呼んでもらいました。私がそこまで収益を望んでいないので、付加価値を付けない素の値段を教わりたいと思いました。と言うより値段を下げる提案?でしょうか。


 『お呼びたてしてしまい申し訳ありません。実は、私の持っているアイテムについてご相談があります。

 同じアイテムをお持ちの方の迷惑にならない様にしたいと思いまして、適正価格を教えて頂きたいと考えました。アラン父様やサイトバル兄様にも言われているのですが、私の価値感との擦り合わせが必要かな?と考えているのです。

 私は魔力が豊富な為、付与に苦労を感じた事が無いので、皆さんが思っている程価値を感じていないのが問題らしいと…』


 と話し出すと、『今更そこからか。』という呟きが聞こえて来ました。リーバスさんが


 『一般的な立場から述べますと、ミスティーヌ様のお持ちのアイテム、付与は、有り得ない物が多く、価値を決めるのさえ困難な物が多いですね。オークションで売りに出すものの、高位貴族の方でしか購入出来ない程の物が多く、一回に出す出品を操作して限定品の目玉扱いが殆どです。

 オークションでは適正価格が決まっていませんね。仮にマジックバッグのみの限定数量での常設扱いにしたとしても、性能が違い過ぎて、他の職人さんの利益を考慮すると、安くは出来ません。』


 『私も派閥の貴族に融通している事が多いな。幸い、他国との取引きに関わっていないから国内のみでシラを切っているが、マジックバッグは時々泣きつかれているよ。』


 と、サリシン義父様が笑って?います。ハリシエダ様は、


 『私は困ったら王太子様ですね。ミスティーヌだって、王太子妃様や王妃様に贈っているではないか。』


 と安価なんて無理と言わんばかりの澄まし顔です。私が溜息を吐くと、


 『グローリーのようにダンジョンを持っていると対処が楽なのだが、リストランテにもヴェルムにもダンジョンは無いから、無い物ねだりにしかならんな。

 処で、ミスティーヌの悩んでいるアイテムは何なのだ?それによっては答えが変わるぞ。』


 サリシン義父様が顔付きを変えました。私もダンジョン産の上位アイテムに困っているのです。


 『神託に依ってダンジョンレベルが下がり、下層階にも降り易くなって、アイテムが取得しやすくなったものの、下位変換されたようなんです。例えば、ガーネットリリィの透明度が下がったりとか。ファイアタートルの甲羅の大きさも小さくなったでしょ?その為、私が改変される前に採取していた物を提出すると、改変後のアイテムと比較されるのか、思わぬ高値になってしまうようなのです。

 だから、それをどうにか出来ないかなぁと思いまして。』


 ファイアタートルに生えているガーネットリリィの方が質が良かったので、つい、乱獲したのです。だから、10M以上の甲羅がまだ幾つか有るのですよ。因みに今では5M前後らしいです。リーバスさんが、


 『いっそのこと、甲羅の加工が出来る職人を他国から借りて来て、防具に加工して売り出しますか?前回、キエランさんが甲羅の件で見えた時に、一次加工をミスティーヌ様が出来るのですから、加工してから売り出した方が利益が上がる。と話していたのですよ。

 今回の事でキエランさんが伝手を作ったでしょうから、職人を呼び寄せて、内密に工房を作る事も可能かと思います。』


 リーバスさんの話しを受けて、ハリシエダ様は、


 『ヴェルムでするとミスティーヌに繋がり易いので、リストランテの…リュムレー子爵辺りはどうですか?確か、ミスティーヌの知り合いが婿入りする筈です。彼なら上手く隠してくれそうです。』


 と言い出しました。それはガスパール様でしょうか。カシューに迷惑を掛けられた同盟。と、オリハルト様の披露宴で盛り上がっていましたね。


 『甲羅でしたら、大きさは10〜13Mぐらいですが、残り17個ぐらいは有ると思います。ガーネットリリィが綺麗なので、つい、倒し過ぎましたね。』


 とハリシエダ様にコソッと言うと、サリシン義父様の目が輝きました。


 『マジェンダにやらせた方が良いとは思うが、アレも忙しくさせているから、第二案としてリュムレーを上げておくか。早速キエランに知らせよう。ヴェルムとの取り分の相談はリーバスに任せる。』


 鼻息荒く仕切ってますけど、私の相談事から方向が多少ずれてますよ。


 『話しを戻しますが、私の趣味で使う以上のアイテムが売れずに残っている件なのです。アラン父様やサミュエル兄様経由では、私に入る原価以外がサルカンドの利益になってしまうので、ヴェルムの為にはハリシエダ様やリーバスさんに頑張って頂きたいのですよ。ただ、それだけでは処理しきれない分をサリシン義父様にもご協力頂きたいので集まって頂いたのです!

 …私としては、価値を落とさずに一般的な価格に抑える。もしくは、会員価格のような特殊な価格設定が出来ないかなぁと言う事を相談する予定だったのです。』


 話しがこれ以上逸れない内にと一気に捲し立ててしまいました。3人ともキョトンとしています。サリシン義父様が一番先に気を取り直したようで、


 『ミスティーヌ、自ら利益を損いたいと言うように聞こえたぞ。まぁ、目的によっては多少値段を引いて売る事が無い訳では無いが、それは他方でそれを上回る利益を見込んだ時だけだ。

 ミスティーヌは自分の価値を安売りしたがるが、伯爵、伯爵夫人となった今は、その考えは悪手にしかならないから辞める事だ。貴族なんて、身の丈以上に大きく見せる事に価値を見出す者が多い。自分を安売りするのは愚の骨頂だ。出自が平民かもしれんが、ミスティーヌは価値の高い貴族で有る。と認識しないと、周囲の者も困るぞ。』


 と説教されてしまいました。あーっ。確かに貴族意識は未だに無いです。教育は受けて伯爵夫人らしい所作は覚えたのですが…貴族。難しいですね。見下げられたり、一方的に利用されるのは嫌いですが、威張る?のは苦手なんですよね。


 『ミスティーヌ様の仰る会員価格って、どう言う事でしょうか?

 例えば、冒険者ギルドや商業ギルドに加盟していないと、アイテムの売買に差が付きますが、そう言う物でしょうか?

 大きな商会によっては、割引券を出している処も有るとは聞いてますが、ミスティーヌ様は商業ギルドには入ってませんよね?それとも、これから入会してお店を立ち上げますか?』


 リーバスさんは会員価格に引っかかったようです。この世界にもあったのですね。あっ!私、サルカンドで工房主ですが、サミュエル兄様に立ち上げてもらったので、私の取り扱いは気にしていませんでした。商業ギルドに加盟しているのでしょうか?一度、サミュエル兄様に聞いておかなくては。と思いつつ、今までのやり取りを思い出すに、多分加入してるなぁ。と考えています。


 『そうですね。商会の割引券に近い物を考えていました。

 定額で会員権を購入してもらって、その代わり安価で品物を購入する。といった言った感じでしょうか?会員権は年間パスポートのような期間限定か、回数券のような数量限定にして、会員価格を変えるのもありですね。もしくは、業者会員権と一般会員権で差別化かな?』


 とリーバスさんに言うと、


 『つまり、相手は選ばないが、限定された人にだけ利益が与えられる。という事ですね。ですが、限定の仕方が問題になると思うので、多方面に想定が必要ですね。

 私としては、買えるアイテム毎に、貴族、業者、一般の3タイプが良いような気はします。会員権の金額を変えるのです。そして、期間で区切るより最高購入数の方が混乱しないでしょう。

 そう考えると、ミスティーヌ様がお店を出すよりも、ヴェルムの商業ギルドに領主様のブースを出して、ギルドで運営すべきですね。ハリシエダ様、どうでしょうか?』


 と、ハリシエダ様に答えを求めました。私もギルドに丸投げ出来るなら一番楽ですので問題ありません。にっこりと笑ってハリシエダ様を見ると、


 『そうだね。現実的で良いと思います。数が多いならリストランテのキエランさんに加わってもらえば更に安心かと思います。』


 『それは助かるね。キエランも喜ぶだろう。ミスティーヌさえ良ければ、その案で話しを進めても良いと思うが、どうかな?』


 『私は今持っているアイテムのリストをお作りすれば良いですか?正直なところ、私のカードに死蔵されているお金の使い途で悩んでいるので、これ以上増やしても?と悩んでいます。

 今回預けるアイテムに付いては、領地経営に活かして貰える事も考えてみて下さいね。』


 とお願いして会談は終了しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ