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5 困ったお花畑が花盛り?

 工房長と冒険者をしながら上級学園に通う私。工房長は内緒でも冒険者は周知の事なので、先生方からは授業で使う薬草の採取や魔石の依頼が入ります。休日はそんな依頼で消えてしまう事が多いですが、それでも授業は楽しく成績は常に上位にいます。すると、余計な人達も引き寄せるらしく、3年に上がって鬱陶しいグループに目を付けられました。


 放課後の図書室で自習をしていると、同級生のカシュー様がオリハルト様やガスパール様を引き連れてやって来ました。『酷いですわ、ミスティーヌさん。こんな処に隠れていらしたのね。』いきなり大声で叫ばないで頂きたいのですが、何があったのでしょうか?『何が酷いのか分かりませんが、図書室ではお静かにお願い出来ませんか?』と返事をすると、更に『酷いですわ!』と睨まれてしまいました。周囲で勉強している人達の注目も集めています。私が座ったまま動く気配を見せず、立ちあがろうとすらしないからか、オリハルト様とガスパール様に両腕を掴まれ、引き摺られる様に廊下に連れ出されました。このまま何処かに連れて行かれては不味いと思い、『何でこの様な事をされるのですか?』と少し大きな声でお二人に問うと、『カシューがお前の不正を追及すると告げたら逃げ出したそうではないか。』『疾しい事があるから隠れていたのだろう。』と言い掛かりを告げて来ました。『私は不正などしませんし、カシュー様とお話しした事も有りません。図書室へは普通に自習しに来ているだけで、隠れた訳ではありません。』と反論すると、カシュー様がまた『酷いですわ!私が嘘を吐いていると言うのね!』と叫びます。学園内では貴族と言えども平等と言われていますが、カシュー様は子爵家、お二人は伯爵家の双子です。平民の私一人では到底太刀打ち出来ません。


 幸いにも騒ぎに気付いた先生が来てくれて助けてもらえました。彼女達の主張は、『平民の生徒が貴族を押し退けて上位の成績が取れるのは可笑しい。絶対、不正をしている筈だ。と調べたら、薬草や魔石を先生に賄賂として渡している事が判明した。』という事でした。これを聞いた先生は私達を学長室に連れて行きました。そこで学長先生から、『授業で使う薬草や魔石を、ギルド経由で冒険者の私に依頼して、学園に納入してもらっているだけだ。』と説明をしてもらったのです。それを聞いてもカシュー様は私の成績評価に不満がある様で、『何らかの不正も無しに、平民が高成績を取れる訳が無い。』との主張を学長先生相手に繰り返すのです。ホントに困りました。最後は先生方が怒ってしまって、慌てたオリハルト様とガスパール様に止められてました。


 学長先生から、『今後、この様な騒ぎを起こしたら親に連絡する。』ときつく言い渡されてましたが、カシュー様には最後まで睨まれたまま、謝罪はされませんでした。先生に言わせると、彼女は授業態度も成績も悪くて問題児らしいです。私とは薬学と魔法学で同じクラスだそうですが、あまり記憶にありません。私はいつも前の方で授業を受けていますが、彼女は一番後ろで寝ている事が多いそうです。後ろに目は付いてませんから私が気付かなくても仕方なかったようです。『起きていたら授業中の先生とのやり取りを聞いている筈ですから、私への評価を認めて頂けたでしょうか?』と先生に質問したら、『授業内容が理解出来ていないのだから、却って、贔屓されている現場をクラス中が見ていた。と言い掛かりの項目が増えただけだろう。』と疲れた様に返答されました。


 しばらくは気配察知を使ったりしてカシュー様の動きには気を付けて、すれ違ったり、近寄ったりしない様に気を遣いましたが、途中から取り巻き⁉︎のお二人が押さえてくれる様になったので楽になりました。先生から聞いた情報では、カシュー様のお祖父様が侯爵様なので、お二人はカシュー様を叱れず、甘やかしているらしい。との事です。私には関係無いので巻き込まないで欲しいです。此処は王都では無いため貴族の子弟は少ないのに、ピンポイントで絡まれるとは思いませんでしたね。ホント遠慮したいです。


 学年が上がるにつれてクラスの人数が減り貴族率が上がります。そして、お花畑症候群に罹患したお貴族様が、増える?


 最終学年に上がり、ほぼ学年トップを貫いて来た私は、基本的に平民の女生徒に囲まれて過ごしています。3年の時の件以降も思わぬ絡まれ方をするので、あれ以来、校内では薬学のチームが一緒に居てくれる様になったのです。彼女達も一緒に勉強する事で成績が上がるのでwin win なのだそうです。確かに1年の時のポーションの発見はセンセーショナルでした。でも、あれ以来は特出せずに普通の学生として学んでいるのですが、先生達の期待は強いままでした。目立ち過ぎない為にも彼女達には感謝の証として試験前の復習などの成績上げには超協力させてもらってます。


 魔法もとうとう上級魔法が教われます。ラメールままが生きていたら教えてくれたでしょうか。わくわくしています。友人達と教室で先生を待っていると、先生の後ろから誰か、もう1人入って来ました。王都から来た魔法学の助手さんだそうで、ナント公爵様の3男で、ハリシエダ様とおっしゃるそうです。美形の登場にカシュー様が大騒ぎしてますね。今日は珍しく起きているみたいです。というか、お隣りのお目付役に起こされたみたいですね。彼女達も大変そうです。


 あ、オリハルト様とガスパール様は4年生に上がる時に王都の学校に転校されました。あの一件が伯爵様の耳に入ったそうで、『あの子爵家の娘と一緒に学ぶのは息子の為にならない。』と学長先生に掛け合われたとアラン父様に聞きました。実は、伯爵家から冒険者ギルドに依頼される事がある関係で、アラン父様とお知り合い?なのです。学長先生から詳しい経緯を聞いた伯爵様がアラン父様に謝罪されて、その時に『ミスティーヌさんも一緒に王都に転校させたいのだが、どうだろうか?』と打診されたのですが、私は『お二人にはまだ恐怖心が有るので。』と言い訳してお断りしています。本心ですか?必要以上に貴族と関わりたくない。ですが、物は言いようですからね。王都の学園(お花畑が咲き誇っているかもしれない様な危険な場所)に誰が好き好んで行くものですか!と思いましたよ。…被害妄想では無いですよ。たぶん。


 ポーションや付与魔法の様にやらかした物が無い。と思っている魔法学だったので、何処か油断が有ったのでしょうか?ハリシエダ先生に目を付けられていたみたいでした。後で知りましたが、犯人は、伯爵家のお2人でした。王都の学園でアクセサリーの魔石に付与が掛かっている物が話題になった時に、私が授業で初めて付与したのが回復で、しかも1回で成功したのだ。と話したそうです。ハリシエダ先生が『回復の遣い手は滅多に居ないのですよ。だからミスティーヌさんに会いたかったのです。』と教えてくれました。幾ら珍しかったとは言え、自慢なら自分の事を語れよ!なんで私を巻き込むのかな!お花畑の人達は!と、此処で怒ってももう遅いのですが。その話しを伝え聞いただけで此処まで来てしまうハリシエダ先生にも驚きですね。何がしたいのでしょうか?ホント、私にお花畑の脳内は理解出来ません。


 オリハルト様とガスパール様が居なくなって、代わりにお目付役が付いて静かになっていたカシュー様ですが、王都からハリシエダ先生がいらしたせいでまた絡んで来る様になりました。対策として他の授業は今まで通りに前列で受けて、魔法学だけはカシュー様達の後方で受ける事にしました。彼女が授業中に寝ないのは魔法学だけなので。すると、ハリシエダ先生が黒板の前で無く、教室の後ろから補助を入れる様になったのです。授業中だというのにカシュー様が騒ぐので、迷惑この上無い状況に怒ったシニア先生が、カシュー様とお目付役、それにハリシエダ先生を学長室に連れて行ってしまいました。


 自習になってしまったので取り敢えず教科書を読んでいましたが、『分からない処があるの〜』と友人が聞きに来たので説明を始めました。他の人もノートを手に聞いていたみたいで、いつの間にか戻って来たシニア先生が感心していました。あ、お目付役の人達も戻って来ていました。カシュー様は謹慎3日になったそうで、お迎えが来るのを待っていて、ハリシエダ先生も学長室でまだ叱責されているそうです。シニア先生のお陰で呼び出されずに済みましたが、カシュー様は今回も『ミスティーヌさんは酷いですわ!』を連発なさっていたそうです。お取り巻きのお2人が王都の学園に転校なさったのも、ハリシエダ先生が私に誑かされて⁉︎カシュー様に構わないのも、全部私のせいだ!と主張し、話しにならなかった。とシニア先生が怒っていらっしゃいました。


 家に帰るとアラン父様とマリアナ母様が揃って待ってました。カシュー様に似た顔立ちのおじさんが『君がミスティーヌさんだね。娘が迷惑をかけて済まなかった。』と声を掛けて来ました。アラン父様からカシュー様のお父様だと紹介されました。2年前は伯爵様に謝罪されたものの、子爵様からは何も無かったのでちょっと驚きました。前回はカシュー様が隠していて知らなかったのだが、今回は学園に呼び出されて初めて娘の行動を知った。と言い訳されてます。うーん、伯爵家の双子が転校までしたのに?その後のお目付役の彼女達は誰の指示で付いているのでしょう?子爵様が言い訳をなさるにつれて、アラン父様とマリアナ母様の眉間の皺が深くなっているような…?


 結局、謝罪では無く、言い訳に来ただけの様なので、『今後、一切の干渉はご遠慮願います。更に不利益を被る様でしたならば、ミスティーヌの親としてだけで無く、ギルマスとしても対峙させて頂くとお考え下さい。』とアラン父様が念を押して子爵様には早々にお帰り頂きました。やっぱりこの親にしてこの子有り。って事ですね。自分の欲の為に不利益が生じると直ぐに誰かのせいに責任転嫁する。こんな親の背中を見て育ったならカシュー様の対応は当然なのかも。


 謹慎が解けて登校なさったカシュー様は、相変わらず睨んでますが、近づいては来ない様子です。私はシニア先生に言われたので、以前の様に前の方に座って授業を受けています。ハリシエダ先生は後方で見回り、呼ばれた時だけ前に来て補助をしてます。お陰で後方に座っているカシュー様も静かになり、授業がスムーズに進んでます。当たり前の授業風景に戻りましたね。


 学園でいろいろ学んだ結果、机上論と実際に私が使っている魔法の間にズレというか、何でダメなの?という箇所を見つけました。実際はダメなのでは無く、魔力量の問題で使えないだけと分かったので、魔石に魔力を溜める事で補助出来るのでは?と思い、錬金術のランドール先生に相談してみました。魔法の付与が可能なら魔力も干渉出来るのでは?と考えたからなのです。


 ランドール先生は早速大型魔獣の魔石を取り寄せると、シニア先生を巻き込んで魔力操作の実験を始めました。私ですか?ソッとフェードアウトしましたよ。当然では無いですか?子供ながらの好奇心で夢見がちな発想をしただけです。15歳ですが、成人の儀をしていないのですから、充分に子供です!…シニア先生にはカシュー様の件で多大な恩恵に与りましたからね、お礼がしたかったのです。魔石に付与はランドール先生の分野ですが、魔力操作なら繊細なシニア先生の協力を仰ぐと思ったのですよね。ランドール先生はオオラカですから(笑)


 ハリシエダ先生に授業の殆どを任せて取り組んだお陰で『魔力蓄石』と名付けられた魔石が論文と一緒に発表され、王宮で表彰されました。華々しい先生方の活躍のお陰で、私は平穏に卒業致しました。となる筈だったのですが!何故かハリシエダ先生からプロポーズされまして、カシュー様が大騒ぎなさいましたよ。式が終わって両親と帰る時だったのが救い⁉︎でしたけど。


 いくら三男とは言えハリシエダ先生は公爵様です。対する私はラメールままを掘り起こしても男爵にしかならない平民です。当然、両親からストップが掛かり、ハリシエダ先生は王都に帰って行きました。いつの間にカシュー様のお花畑から種が飛んでいたのでしょうか?

抜けていた単語があったので訂正しました。更に名前の間違いを訂正しました。

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