4 ミスティーヌとして生きる
『ミスティーヌさん〜 計算終わりました。』受付で呼ばれたので、防音魔法の掛けられた窓口へ向かいます。『ミスト、支払いはどうする?』『ラキアさん、銅貨だけ下さい。それ以外はカードにお願いします。』『了解。ホント、ミストって堅実よね〜いい事だわ。流石、ギルマスの娘ね。ハイ。明細と銅貨ね。今回は魔石がいつもより多かったけど、無理して怪我なんかして無いでしょうね?まだ学生なんだから、学業優先の約束は守るのよ!』『もう、ラキアさんったら。ちゃんと約束守って優等生をしています(笑)』何時ものやり取りをして、笑って手を振りギルドを出ました。
冒険者ギルドのギルマスをしているアラン父様に、私のやらかし対策の為、8歳を待ってギルドに仮登録してもらいGランクの冒険者になりました。いろいろ訳あり過ぎ⁉︎で独り暮らしをして、調子に乗り過ぎてた時にこっそり?やらかしてたのを、『仕方ないなぁ。』と優しさで抱き込んでくれたアラン父様。私のヒーローと言っても過言では無い!ここ大切です。それと、私がインベントリに薬草や魔獣の皮などをいろいろ隠し持っているのを知っているのも、アラン父様だけ。なので『一気には売れないけど少しずつ売ってお小遣いにすれば良いだろう。』との心遣いも有っての登録でした。実際は不足気味の薬草が欲しかったらしいのですが、理由を聞いて、試しに作ったポーションをアラン父様に見せた処、『まだ出すんじゃ無い!せめて上級学園を卒業してからにしなさい。』とダメ出しされました。10歳になったので本登録になり、Fランクに上がって週末冒険者になり、やっと薬草以外に魔獣の皮や魔石も出せる様になりました。因みに、今12歳ですけど私のランクはD。下から4番目ですね。Cランクになると街を出て泊まりがけの護衛とか、下手すると指名依頼が来ちゃうので、学生の内はDランクから上げられ無いって事で、アラン父様の監督の元、実質ソロで活動してます。だって、パーティー組むには私の秘密が多過ぎるのと、同世代では能力が違い過ぎて、メンバーが見つからないのです。後3年。上級学園を卒業して成人するまではこのランクのまま貯金とレベルアップに励みます!『備えあれば憂いなし。』って言うでしょ⁉︎アラン父様達に恩返しをしつつ、自立しなきゃ!というのが私の目標かな。…5歳で自立してたけどね。
初級学校は8歳から10歳迄の基礎講座で誰でもが通います。私も近所の仲良くなった子達と一緒に通いましたが、既にラメールままから教わっていた事や、その下位互換の内容だったので、この3年は図書室の為に通ったようなものでした。体力的にも知識的にも競える相手が居ない。ってキツイですよね。仲良しの友達も近所の子以外には特に出来なかったし。
11歳から15歳迄が行く上級学園は、学びたい者が自由に通える仕組みらしいのですけれど、何処にでも例外は有るらしく。私はそれに引っかかってしまいました。前世の知識がある上にラメールままから教わっていたので学業は優秀です。しかも全属性持ちです。私は隠していたつもりでしたが、所詮は子供でした。アラン父様にも注意されていましたが、複数属性持ちが先生方にバレていて、基礎講座を卒業したらさっさと冒険者活動をして、家族にして貰った恩返しをするつもりだったのに。魔法は上級学園でないと学べず、知らずに使うと魔力暴走を引き起こす危険が有る。という理由で強制的⁉︎に進学させられ、応用講座を受講することになりました。
だってね、薬草を探すのには鑑定を使えば直ぐに見つかるし、手の届かない物は風魔法で落とせば簡単に採れます。魔物に見つから無いように採取活動するには気配遮断を張るし、怪我をしたら治癒魔法で治すでしょ?冒険者の私が使える魔法を使うのは悪くないと思うのです。結局、隠し足りなかったけど。でも、ラメールままから学び損なった魔法を学べるのは魅力的かもしれません。という訳で、学業優先の冒険者。をしている傍らで応用講座の中から薬学と錬金術と魔法を学びました。
薬学はラメールままから手解きを受けてますが、まだ初級ポーションしか教わって無かったのです。あの伯父のせいで! せっかくだからラメールままの代わりに上級ポーションまで作りたいのですよ。だから、薬学の教室では楽しく学んでいます。図鑑を使って独学で自作していたので、ポーション作成自体は簡単でした。でも、私が作ると初級ポーションの筈が、上級もしくは特級に成ってしまうのです。どうして普通の初級や中級が作れない?と先生と研究する事になり、みんなとの違い探しをした結果、私が事前に素材や機材にクリーンの魔法を掛けている事に辿り着きました。ラメールままに教わったいた移動中の馬車の中では、貴重な水で洗うより、クリーンで浄化してしまった方が楽ですし、薬草の成分が水に溶け出さずに済みます。つまり、成分と使う魔力の差がポーションの質の向上に繋がっている。と解明されました。魔力を豊富に使う程、良質のポーションが作成出来る。という研究結果が発表され、一代センセーショナルな話題になりました。コレは先生の名前で、研究室の成果として発表してもらい、私の名前が出ない様にお願いしました。私は冒険者になりたいのであって、研究者になりたい訳では無いのです。アラン父様からもお願いしてもらって、先生にご理解頂きました。
錬金術の講義では付与魔法をゲットしました。私としては普通の錬金術が学びたかっただけで講義を受けていたのに、全属性持ちを知っている先生が、『付与位出来るよね〜』と軽く耳打ちして来るのです。言い方に、馬鹿にされてる⁉︎と感じた私は、フフン。と鼻で笑ってさっさと付与してしまい、『出来ましたが何か。』をしてしまったのが運のつき?でした。せっかく作った回復の付与が掛かった魔石が勿体無い!とアクセサリーを作って『付与魔法を習って初めての作品なんです。』とマリアナ母様にプレゼントしたんです。此処までは問題無かったのです。喜んだマリアナ母様が自慢した場所が問題でした。アラン父様に自慢しに行った先は冒険者ギルド。マリアナ母様の話しを聞いていた冒険者達からの注文⁈というか依頼が相次ぎ、ギルドとしては仕方無く、その場に居て、尚且つ魔石を自力で用意して来た人だけに限定した上、他言無用の契約の元で依頼として受けた分だけに付与しましたが、結局、回復の効果のクチコミを商業ギルドが聞きつけて乗り出して来てしまい、アラン父様と商業ギルドのギルマス立会いの元、製作者不明。秘匿厳守。との約款を取り交わす商談に発展してしまったのです。口の軽い冒険者達のせいでバレてしまいましたけどね。(怒)
実は魔石に付与自体は私以外にも出来る人は普通にいます。契約後、思ったより依頼数が多くなって来たので、私は魔石をアクセサリーにする技術を供与する工房を立ち上げ、魔法付与出来る人材を確保して、商業ギルドに丸投げしたのでした(笑) だって、まだ11歳の学生に求める仕事量じゃないンだもん! 私は学業優先を盾に主張しました。うん。私は正しい。処が!回復の属性持ちは希少な為に見つからず、結局、工房長として回復の付与は私の担当となり、戻って来ました。はぁ。
工房には、上級学園を卒業したばかりの双子のサリーナさんとダニエルさん、サイトバル兄さんのお嫁さんのエルーシャ姉様の3人が居ます。ダニエルさんは錬金術を使う彫金が得意で 、魔石をアクセサリーにする技術を覚えてもらいました。私達3人は魔石に付与をしています。冒険者さん達は自分の装備に付与魔石を使う事が多いので、自力で魔石を用意しての依頼になります。その為、魔石の付与のみが多いからの配置です。つまり、ダニエルさんの扱っている魔石アクセサリー類の大半が商業ギルドの依頼品になります。それの販売対象には冒険者以外にも一般人も居るので、付与魔法も多岐に渡ります。その中でも『祈り』と名付けた特殊魔法の付与が話題なのですが、それの付与を出来るのが、私が教えたエルーシャ姉様という事が一番の秘匿事項だったりします。エルーシャ姉様は結界の付与が出来るので、精神的な魔法に強いのかな⁉︎と思って試してもらったら出来ちゃいました。時々失敗するし、数は出来ないそうですけれど。防御系の付与に強いですね。本当は回復も出来ないかなと期待したのですが無理でした。サリーナさんは攻撃系魔法の付与が得意で、防御系は弱いかな?炎系や風系の魔法を主に付与してます。更に、重ね掛けを覚えて、ほぼ、増強しまくってます(笑)
水系と土系、それと回復が私の担当かな。その内、出来る人を探して来なきゃ。そしたらエルーシャ姉様に工房の運営も全面的にお願い出来ると思うのですよ。今だって12歳の私の代わりに、交渉の場に代表として出ているのだから、工房長を名乗るべきだと思うのです!
話が反れましたが、魔法は法則は確かに有りましたが、やはり、想像力が決め手になりました。難しいとされている無詠唱ですが、私にとっては詠唱する方が恥ずかしくて、発動しなかったのです!こんな事は初めてだと驚かれましたが、前世の化学や科学の知識のお陰で現象は理解し易いし、医学の知識が適応されているのか、想像力のお陰か、回復系は追随する者が居ませんでした。ただ、聖女扱いされたくないのでこれだけはキッチリ隠しました。…私の中ではね。回復は使えるけど、聖属性の魔法は使っていないから大丈夫だと思うのですよ。
そう言えばギルドカードってどちらのギルドでも共通なの!銀行⁉︎カードにも使える便利なカードな上、身分証にもなるから1枚に集約する方が利にかなっているのよね。多分。ただ、工房を構えると別です。人を雇った時点でカードが分かれて、工房長は商業ギルドの管理下に置かれるの。たぶん過去に使い込んだり、何かやらかした人がいたのでしょうね。って、あれ⁉︎伯父はギルド登録して無かったのかな?それとも工房と商店は扱いが違うのかな?伯父は祖父の商会の支店を任されただけだから店員扱い?でも、お店のお金を横領出来ちゃう店員って有り?うーん分からないけど、関わりたく無いし、今更知りたくも無い事ですね。もう忘れよう。




