31 ダンジョン 5
21階層では珍しいガーネットリリィが咲いていました。…ファイアタートルの背中に。今はまだ気付かれていませんので悩む処です。22階層に向かうには方向がずれていますし、ガーネットリリィの採集依頼を受けている訳でも有りません。ワザワザ闘いに行く必要は無いのです。遠くから眺めて満足出来ましたし、素直に階段に向かいましょう。採取するなら、22階層には群生地が有った筈です。
マップに鑑定を掛けて進んでいると鉱石の反応が有り、掘ってみるとガーネットが出て来ました。深い赤色で綺麗です。アクセサリーにするには此方の方が良いですね。あまり人の来ない階層なので、多少多く採っても問題無いかな?量を控えめに出せば、アラン父様も怒らないですよね⁉︎
興が乗ってしまって時間を掛け過ぎました。さて、22階層に降りる階段を見つけたら、野営の準備をしましょうか。此処は熱いので、テントにはコールドを重ね掛けして温度を下げます。結界には何時もの雷を張りますけど、コールドを重ねて嫌がらせも有りでしょうか?私にとっては快適な空間を作り、夕飯を準備出来たらモリーノを呼びましょう。快適な条件には楽しい会話も必要です。
22階層は溶岩流が沸いていて、マグマゲーターやレッドリザードが居ます。炎耐性の革の最高峰です。コレらは溶岩流から突然飛び出すので、マップに鑑定を深めに掛けて進んでます。流石に、初撃の際に滴るマグマは遠慮したいのです。自然の物理攻撃?には防具の効果が薄れるので、ちょっと?結構熱い上に火傷までするので嫌なんですよ!
この二種類の魔獣は溶岩流の中で進化したせいか、地上に出るとスピードが落ちます。つまり、初撃を躱せばなんとかなります。って言ったらサイトバル兄様に、『初撃を躱せたとしても次の炎攻撃がヤバいだろう!』と怒られました。懐かしい思い出です。と思いながら絶対零度で凍らせて倒しましたがアイテムは肉でした。此処は革が出て欲しい処だったのに。
ガーネットリリィを探しながら魔獣を狩って進んでいると、やっと芳しい香りが漂っています。暑さを忘れさせてくれる清涼たる香りが、ガーネットリリィの存在を知らしめてますね。喜んで近づいていくと…ファイアタートルの登場です。何故?ガーネットリリィの群生地に居るのでしょう⁉︎
亀なのに回転しながら炎を吹くって、有りですか⁉︎ガーネットリリィは炎に強いので大丈夫でしたが、一瞬、燃えちゃう?とヒヤリとしましたよ!怒りに任せて絶対零度で凍らせたファイアタートルは、アイテムとして甲羅を残しましたが、コレは嫌がらせですか?嫌がらせなんですね!一応持ち帰りますけど。防具をあまり着ない私は嬉しくは無いです。一応レア物らしいですから、王都での嫌がらせオークション対象に決まりですね。アラン父様に叱られるかも?ですが。
一面のガーネットリリィを採取して、今度は23階層へ降りる階段を探します。炎系のボス部屋に居たのは火の鳥だったでしょうか?取り敢えず、扉の前に結界を張り、今夜の休憩をします。夕飯の支度が終わる頃にモリーノ達がやって来て美味しそうに食べてます。
ガーネットリリィはその名の如く、深紅の百合、生きる鉱石です。芳しい清涼な香りは清楚な百合そのままで、美しく匂いたっています。アクセサリーに加工して、是非とも女神様の髪を飾って頂きましょう。と思い立った私はテントに籠り、髪飾りを作り始めました。ミスリル銀をベースにした細い針金をレース状に編み、中央にガーネットリリィ、その回りをガーネットで飾ります。深紅を囲む紅が綺麗です。金だとゴージャス感が目立ちますが、私はミスリル銀の清楚さが好きですね。
さて、今日はボス戦からのダンジョン攻略です。出来上がった髪飾りをインベントリにしまい、モリーノ達と朝食を摂って、後片付けをしました。
ボス部屋に居たのは前回の記憶と違い、ファイアタートルとレッドドラゴンでした。今回はファイアタートル祭りなのでしょうか?私はアクセサリーを作るのにも使えるので、火の鳥を期待して降りて来たのですが、ハズレ?ました。
炎を吐かれると面倒なので、絶対零度を使います。先にファイアタートルを倒し、レッドドラゴンに向かいました。すると、足元からファイアラットが出て来るではないですか。ボス部屋で途中から魔獣が増えるなど、こんな事は初めてで驚きましたが、軽くアイスランスで刺して倒し、残るレッドドラゴンの向かいます。此方は尻尾の攻撃と火を吐くのが注意なのですが、無敵の絶対零度で無事に倒しました。最後に出て来た宝箱からは四角い甲羅が出て来て、鑑定するとマジックハウス改とありました。熱耐性、強度UPとありますが、何処で使えと?
24階層に降りる階段の前でマジックハウス改を出し、テント代わりに使ってみる事にしました。20階層以下に私以外の冒険者の気配が無いので、ボス部屋で野営しても文句は言われない筈。扉を出てないからリポップもされない筈。仮にリポップしたとしても結界に引っ掛かって気付くでしょう。
やりたい放題だなぁ。と自分でも思いつつ、夕飯の支度をします。マジックハウス改の中は温度も快適なので、モリーノに頼んでフェンリル様も呼んでもらい、賑やかな夕飯になりました。数日前にフェンリル様から『ソロソロ、ミスティーヌのご飯が食べたい。』とモリーノに伝言があったそうで『次に涼しい階層に着いたらお呼びする。って約束をして来たからね!』と、独断で返事していたとの事。『伝えるの忘れてた?』と、サラッと流すのはやめて欲しいですね!偶々お呼び出来て助かりましたけど、モリーノには反省が必要です。フェンリル様も同意見だそうですので、モリーノだけデザートがアイスのみにしました。他の聖獣様方はチョコパフェです。
モリーノからランティス様経由でお聞きした、王太子様ご夫妻のお話しが出て来ました。王太子妃様はモリーノから、私が楽しく暮らしていて、今はダンジョンで伸び伸びしていると話しを聞いて安心したせいか、以前の様な笑顔に戻られたそうです。ホントによかった。王太子様はそれを横で聞いていて、『ミスティーヌなら最深部にまで潜るのだろう。踏破したなら王宮に、土産話しに来る様に伝えて下さい。妃の部屋に転移でこっそりと来れるでしょ?』と悪い?笑顔でおっしゃっていたそうで、それをモリーノがマネしようとするので、更に笑ってしまいました。
フェンリル様ご夫妻から見たハリシエダ様の近況報告も受けました。私に会えないせいで?一時期は病的なまでに痩せたらしいのですが、ご夫妻の指導の元、仕事も食事もする様になり、『ミスティーヌを探す為に。』と仕事のスピードが上がっているそうです。なんで探すのかな〜と思いながら取り敢えずお話しは聞きました。
ランティス様から伝わって来た話しでは、リストランテの義両親とマジェスタ義兄様は、ハリシエダ様を見限るか検討中で、表面上は私を探す事も無く、凪いでいらっしゃるそうです。私の態度如何で決めるらしく、フェンリル様と同じ立ち位置のようです。此処まで我が儘を許されるなんて、Sランクは凄いのですね。と思ったのですが、リストランテの義両親はちょっと違うらしいです。
快適なマジックハウスのお陰で、夜はゆったりと楽しめました。朝ご飯を終えて、オネダリされたお弁当を差し上げた聖獣様方と別れ、私は24階層に降ります。
なんで忘れていたのでしょうか?脳が記憶を拒んだからでしょうか?生理的に受け付けない物を目にした私は、ホーリーを撒き散らすと、次の瞬間、サルカンドの私の部屋に飛んでました。
24階層にはゴーストとレイスが、25階層にはゾンビやグールがいて、26階層のボスは…思い出すのを脳が否定しています。前回、この3階層だけはサイトバル兄様に手を引いてもらって、魔獣の位置を教わってホーリーを放っていたのでした!
私一人で攻略なんて絶対無理です。聖魔法の結界を張って、サイトバル兄様に手を引いてもらってやっとの思い出抜けたのです!誰がなんと言っても、アンデット系だけは苦手なんです!
物音に気付いて、マリアナ母様が部屋を覗きに来ました。布団の中で丸まってる私に、『ミスティーヌなの?顔を見せて?』と声を掛けて来ました。『ダンジョンにアンデットが居るのを忘れて、突っ込んじゃったの!怖かったよぉ!』と抱きつくと、『ミスティーヌが唯一苦手なのに出会っちゃたのね?お疲れ様。』と抱きしめ返してくれました。
頭を撫でてもらって、やっと落ち着いたので、下の居間に降りました。せっかくなので、マリアナ母様と一緒にランチを作る事にしました。ダンジョンでお肉を沢山仕入れてあるので、それを使おうと思います。マグマゲーターやレッドリザードの肉は淡白で、唐揚げに合います。モリーノ達の好物なんですよね。それと、家族にレッドドラゴンのステーキも食べてもらいたいです。
試食と言う名の摘み食いでランチを済ませて、午後も二人で調理していると、ミラードがアニス義姉様と帰宅して、私の姿に驚いていましたが、お肉の美味しそうな香りに気付いたようで、ニコニコ顔になってます。
せっかくなので、キュラスのサイトバル兄様達にもお届けしましょう!でも、夕飯はサルカンドで食べる。と、ミラードに約束させられました。エルーシャ義姉様の工房に、認識阻害を掛けて飛びます。前回の納品の時はハリシエダ様が来てしまい、キチンと話せなかったから、ダニエルさんの件の話しが気になっているのです。
工房を覗くとサリーナが来てます。気配も消したまま、そっと近付いて話しを聞く事にしました。
『ダニエルがね、イージャに好かれている事で勘違いが止まらなくてね。魔力畜石の専門工房として勝手に登録し直したのよ。私に何の相談も無くよ!ダニエルの言い分はね、エルーシャさんが居なくなって、祈りの魔石のアクセサリーが作れなくなった。だったら、魔力畜石の専門工房で良いだろう。って。私は炎系と風系の魔法しか付与出来ないのに!頭に来たから、辞める!って怒鳴って飛び出して来たのよ。』
サミュエル兄様が困っていた件の理由が判明しました。私はエルーシャ義姉様にそっと姿を見せると、一旦部屋の外に出てノックをしました。エルーシャ義姉様に招き入れてもらい、『ドアの向こうで話しが聞こえちゃって…』と言い訳をして、話しに加わりました。
エルーシャ義姉様は『工房をダニエルさんに売る時に、商業ギルドとの契約を守る事も条件に含んで於いたのに、何を考えて登録を変更したのかしら?』と不思議そうに呟いています。私は『サミュエル兄様に頼まれて、かなりの数の付与魔石を売りましたよ。工房から入荷しない。って、怒ってましたね。』と教えると、サリーナさんが『そうでしょ!私が付与する為に購入した魔石まで、魔力畜石に変えていたのよ、あの馬鹿は!』と怒ってます。
私はエルーシャ義姉様とサリーナさんの話しを聞きながら、『いっその事こと、サリーナさんが新たに工房を作って、ギルドに登録しませんか?』と提案しました。『だったら、ミスティーヌが立ち上げなさいよ。昔の私の立ち位置にサリーナを据えれば良いわ。どうせ、ミスティーヌの事だから、魔石が余っているのでしょ?』とポンっと手を叩いてエルーシャ義姉様が言いました。
『私が代表を名乗るには、場所が遠過ぎるから、サリーナが代理工房長。ミスティーヌなら、一日中付与すれば1ヶ月分ぐらいの在庫が作れるでしょ?後はサリーナの付与用の魔石を補充してくれれば良い訳だから、簡単。サミュエル義兄様も助かる。良い事尽くめね。』と笑うエルーシャ義姉様。
それも有りかも。と言う話しになったので、『じゃあ、サミュエル兄様に相談して決定ね〜』となり、詳細はサルカンドで決める事になりました。夕飯のお料理は、サリーナさんの分も入れて4人分を渡して、私はサルカンドに戻りました。
夕飯を食べながらミラードに話しを聞くと、やはり、付与魔法の仕事に就きたいから、錬金術を学び始めたけど、上手くいかない。コツとか、何かアドバイスがもらえないか?と言う事でした。ミラードは両親に似て真面目だなぁ。と嬉しくなって、学生時代を思い出しながら話しました。
名前を間違っていましたので直させて頂きます。
イージャ(✖️) サリーナ(○)




