19 良いのかなぁ〜⁉︎ 私で。
父様とハリシエダ先生…ハリシエダ様がいろいろと条件を書き綴った契約書を読んだマジェンダ様は、『ミスティーヌさんはSランクだから本人に問題は無いと思う。後はハリシエダが地位のある文官に成れば、王家からの横槍は防げるんじゃ無いかなぁ?Sランクって言う事は、望めば法衣子爵の地位が得られる位の力を持っているんだ。ハリシエダが仕事を頑張って、結婚の祝いとして子爵位を貰うのも有りだな。』なんて言ってます。
私は純粋な平民ですから!と言いたい処ですが、相手は生粋の貴族です。『やっぱり、私が嫁ぐのに無理は有りませんか?』とボソッと口にすると、お二人とも慌てて否定して来ました。マジェンダ様が伝えたかったのは、Sランクになった私は既に下級貴族並みの力を持っている。と言う事だそうで、逆にハリシエダ様が力を付けねば!と言う事だそうです。
王都のハリシエダ様のお家には、何故か私の⁉︎部屋が既に用意されていて、今夜はその部屋に泊まる事になりました。鍵の掛かってる扉の向こうはハリシエダ様の部屋で、廊下を通らずに行き来出来るそうです。ハリシエダ様は兄様に、結婚する迄は鍵を開けない。と誓約書を書かされていました。兄様は客間に通されてます。マジェンダ様ご夫妻は公爵家のお家に帰られました。
夕飯は無理を言って台所に入り、シェフさんと作りました。『帰りに討伐したホーンディアのステーキを食べたい。』とリクエストされたので。野菜と肉のこびりついた⁉︎骨を煮込んでスープも作り、サラダとデザートに果物を用意して、一通り準備が終わると、モリーノはこっそりと陰で2人分を受け取り、パールの洞窟に行ってしまいました。使用人の方にも行き渡るように大量に作って、後はお願いして着替えに戻りました。
材料が新鮮だったのと、豊富な香辛料のおかげで、何時もより美味しく仕上がってました。『シェフさんの助言のおかげですね。ありがとうございます。』とお礼を言うと、『私の方こそ美味しい食事をありがとうございます。』と返され、お互いに笑ってしまいました。ハリシエダ様も『ミスティーヌさんの手料理が食べられるなんて、感動しました‼︎』と、過分な反応をされてしまい、『そこまで感動する程じゃ無いよねぇ〜』と兄様にこっそり伝えた私が居ました。
学園で1年間交流はあったものの、私はカシュー様のせいで授業以外の関わりを避けていた事も有り、まだ、気持ちは付いていけてない状態です。私としては理不尽に殺された両親の分も頑張って生きてきただけなので、特別な事をして来たつもりはありませんし、何故此処まで執着されるのか?と不思議に思うばかりでした。でも、サルカンドから護衛に付いて来たこの数日で、受け入れても良いのかな?喜んでも良いのかな?と前向きに考えられる様になった気がします。前世の様に恋愛結婚に憧れはありますし、公爵家と言う背景にさえ目を瞑れば、ハリシエダ様本人はとても素敵過ぎる方です。…私との婚姻のせいで貴族籍を抜かせるのがネックでしたが、マジェンダ様のお話しでは新たな貴族家を起こすのも有りみたいですし。ただ、私が貴族籍に入る事になりますが。
今日、ハリシエダ様がお仕事に行った時に、朝イチで婚約の届け出を王宮に提出して来るそうです。『婚約者?許嫁?と言う感じで居れば良いよ。穏やかに愛を育てて行こうね。』と微笑んでお仕事に出掛けられました。私はお兄様と相談して、今夜も泊めて頂いて、明日サルカンドに帰る事にしました。最終的には転移して帰っても良いので、こっそりと、北の辺境伯の納める領地の山で狩りをする予定です。ハリシエダ様には内緒ですけど(笑)
王都のお店での買い物は楽しめました。流石に香辛料の種類が多く、サルカンドでは手に入れられない品物を数点入手出来て、ホクホクしていると、モリーノが影から僕の甘味も忘れないでね!とお願いして来ます。可愛いオネダリに早速お菓子屋さんに走りましたとも!
兄様に付き合って武器屋さんに行くと、ソルトンさんに会ってしまいました。ちょっと身構えてしまいましたが、お一人だそうです。王都には商人さんの護衛で来ているそうですが、兄様が居ないので、他のパーティーと組んで来たそうです。あの2人はそちらのパーティーメンバーと近くの森に狩りに行っているそうです。ソルトンさんは剣の刃こぼれの修理と、予備の剣を買う為に別行動をしているそうです。兄様は剣の修理だけ頼んでました。
お店を出て、軽く露店を回って食べ歩きでもしようかと兄様と話しながら歩いていると、商業ギルドのギルマスが走って来ました。お腹がタプタプ揺れて…と見ていると、私の処に来て『王都に来ているなら、ギルドに顔を出して下さいよ!さぁ、行きましょう。』と手を引かれてしまいました。門で警備隊に盗賊団を引き渡したのですが、助けた商人から私の事を聞いて、探していたそうです。
ギルマスの部屋に案内された私と兄様ですが、座るより早く『以前売って頂いたアクセサリーですが、全く同じ物でなくても良いので、また売って頂けませんか?実は、金貨6枚で売ろうとギルドに飾った処、希望者が多くなり過ぎてしまいまして、急遽、オークションを開く騒ぎにまでなってしまって。金貨6枚から始めて、どれも金貨50枚前後の値段が付きました。問題は買えなかった方の貴族様が…王都在住では無く、初めて王都に来た一見の行商人だった。と説明をして、ミスティーヌさんの事は隠し通しましたが、何とかして手に入れろ!との要求が強過ぎるのです。』一気に訴えて来ました。『あ、手数料等を差し引いた残りの金額です。』と、金貨175枚を渡されて驚きました。
やっぱりなぁ。パールビーズとマガ玉で作ったコサージュは、簡単な割りに見応えの有る品で、前世でも良く作っては友人に贈りまくっていました。実は、前回しくじった!と思って鍛冶屋さんに飛び込み、ワイヤーとピンを作って貰ってました。なので、サルカンドでギルドに登録してもらい、知る人ぞ知る手芸⁉︎材料になってます。
今回はサルカンドで揃えた物だけで作ったアクセサリーを出しました。ただね、目玉商品が有るのですよ。モリーノの涙。此れを使いたくて、いろいろ探したり、工房でダニエルさんに頼んで作ってもらったりしたのです!前回の失態がありますからね。彼に否やは言わせませんでしたよ。元々、彫金師として雇ったのですから、此れぐらい熟してもらわなくては。
土台にした革はレッドサーペントとワイバーン。裏側に付けた金具でコサージュとロープタイの2種類に分かれますので、男女ペアで売り出せる様にセットになってます。レッドサーペントはハート形で中央にモリーノの涙。周囲を水晶で囲んでキラキラしています。ワイバーンは菱形で中央にモリーノの涙。周囲は黒い鉱石です。ただ、モリーノの涙を使っているので3セットしか出しません。安売りはしたく有りませんからね。前回の様なコサージュは、魔獣の角を加工してビーズにした物と水晶などの鉱石を加工したビーズで作りました。それから、回復の魔石とビーズのブレスレット、結界の魔石を革に縫い付けたチョーカー等も出しました。ブレスレットとチョーカー、付与魔石を使ったアクセサリーは後に工房の商品として売り出す事に決まりました。ダニエルさん、お仕事が増えて良かったね!
モリーノの涙を使った3セットはオークションに出して売った金額をそのまま貰う事になり、コサージュは金貨5枚。ブレスレットとチョーカーは其々金貨3枚で売りました。もらった金貨110枚を持って、武器屋さんに戻り、兄様に剣を、私は短剣を買いました。
露店で野菜等を買い込んだので、カフェに入り休憩しました。兄様が先程ソルトンさんと話していた事を教えてくれたのですが、レインボーは解散して、ソルトンさんとデュオを組む相談をしていたそうです。レインボーを立ち上げた時にはパーティー内でカップルになれたら〜なんて考えも有ったらしいのですが、兄様がエルーシャ姉様とさっさと結婚してしまったのでそんな空気も消えたままずっと活動していたのだそうです。前回の態度でケイトさんは無いけど、コルディさんは有りだな。と思ったソルトンさんは密かに行動を始めた。そうです。
『じゃあ、ケイトに恨まれ無い様に立ち回らなきゃだな。』と言って別れたそうですが、『自己中の塊みたいな印象が有るので、持ち上げて、持ち上げて、フェードアウトしないと危ないかも⁉︎』と言うと、兄様も同じ事を考えていたと笑いました。
ハリシエダ様のお家に戻り、台所を借りて料理を始めると、シェフさんが隣に来て手伝い始めてしまいました。そんなに特殊な事をしているつもりはないのですが、皆さん、私の料理が気になるみたいですね。(笑)当然、皆さんの分も作ってますよ。
サイトバルと会えたので、俺はある計画を打ち明けた。俺もそろそろ身を固めて良い頃だと思う。ケイトとコルディだって、行き遅れと言われても可笑しくない歳だ。だが、俺の友人や知人はケイトより年上だし、あの性格を知ってるから付き合おうとは思わないだろう。ミスティーヌちゃんに噛み付いたアレには驚かされたからなぁ。まぁ、流石に誰にも話しちゃいないけど。俺だってコルディなら恋愛対象に見るけど、ケイトは勘弁して欲しい。正直、知り合いの誰かに紹介なんて無理だ。
って思ってたんだけど、今回の護衛依頼でサイトバルが抜けた替わりに他のパーティーと組む事になって、年下の連中と組んだんだが、ケイトが姉さん風を吹かしてすっげえ面倒見てる。お陰でスムーズに事が進む。しかもリーダーに慕われていて良い雰囲気になっている。これって有りなんじゃねえか?サルカンドに戻るまではずっと一緒に行動するし、このままの流れでレインボーが解散する事になれば、ケイトはあいつらのパーティーに入りやすそうだ。
狩りから帰って、機嫌の良いケイト達と夕飯を食べ終えてからコルディをこっそり呼び出すと、告ってみた。『コルディさえ良ければ、俺と結婚して欲しい。』すると、泣きながら抱きつかれた!『パーティーを組んだ時からずっと好きです。』って言われて、もっと早くに伝えれば良かった。と反省したよ。
翌朝、同じ部屋から出て来た俺たちを見て、ケイトが目を丸くしていたが、『俺達、結婚する事にした。』とだけ告げた。帰りの護衛の間、ケイトは俺達よりも、あちらのパーティーと一緒に行動していたので、目論見通りになりそうだ。と内心思っていた。
サルカンドに帰り、レインボーは解散した。コルディは引退して家を守り、俺とサイトバルはペアで行動する事にした。




