表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セカンドライフ〜インベントリって素晴らしい  作者: 清香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/92

18 本気でプロポーズされたみたいです。

 鞣した革を防具屋さんに持ち込み、オーダーしました。レッドサーペントには炎耐性が有るそうです。綺麗ですし、出来上がりが楽しみです。で、当然⁉︎のように、『是非とも!代金はレッドサーペントの革でお願いします!』と頼み込まれてしまいました。半分戻して貰ったので、まだ残ってますからね、もう一人分の革を出しました。此処で全部は出しませんよ。私もお財布とか、何か作ってみたいですし、サイトバル兄様にもお裾分けしたいですからね。


 防具屋さんから出て来て孤児院に向かっていると、私の名を呼ぶ声がしました。誰だろう?とキョロキョロすると、走って来るハリシエダ先生が見えました。卒業式の時に、王都に帰って王宮の文官になると聞いていたのですが、サルカンドに何か用が出来たのでしょうか?


 『会いたかったです!ミスティーヌさん。』私の両手を掴んでにっこり笑うハリシエダ先生。『お久し振りです。お元気そうでなによりですね。処で、手を離して頂けませんか?』プチパニックを起こしても許されます。よね?いきなり手を繋がれたのですよ!処が、何がどうなったのか、片手は離してくれたものの、残った片手は、所謂恋人繋ぎと言う?指を絡ませた握手?のままです。えっと、私はどうしたら良いのでしょうか?ハリシエダ先生は嬉しそうに微笑むと、私の手を握ったまま歩き出しました。この方向は、冒険者ギルドに向かっているのでしょうか?


 『ミスティーヌさんはアラン様からもうお聞きになりましたか?』歩きながら私に話し掛けて来ます。私は繋がれた手に神経が行ってしまって聞いてませんでした。『えっ?なんでしょうか?』聞き返しましたが、ハリシエダ先生は微笑んだだけで前を向いてしまいました。


 やはり行き先は冒険者ギルドでした。私達が中に入ると、アラン父様が部屋で待っている。とラキアさんが伝えて来ました。2人で部屋に行くと父様が苦い顔をして私達を見ています。なんで?と思って視線を辿ると…手!まだ離してもらっていませんでした‼︎『ハリシエダ先生!良い加減手を離して下さい‼︎』顔が暑くて恥ずかしいです!ハリシエダ先生は私の顔を見つめて、ニコッと笑うと、やっと離してくれました。


 父様の横に走り寄って先生と距離を取ると、父様が頭を撫でてくれました。ハリシエダ先生は私を見つめると、『やっと、私を男性だと意識してくれましたか?きっと、ミスティーヌさんの方が強いでしょうが、それでも、私はミスティーヌさんが好きなのですよ。』優しく語りかけて来るハリシエダ先生に、更に私は赤くなった気がします。卒業式の時も恥ずかしかったのですが、今日はなんか恥ずかしいけど、それだけじゃなくて言葉が出て来ないけど、動揺?しています。


 『ハリシエダ様。お手紙をありがとうございます。王家からは何も言われてませんが、王宮ではその様な噂でも流れているのですか?』父様が真面目な顔でハリシエダ先生に聞いてます。噂ってなんでしょうか?『まさか!万が一、そんな話しが出たら父に頼んで引き下げて頂ける様に時間稼ぎをしている間に速攻で既成事実を作って2人で逃げます。』父様の顔が真っ赤になりました。怒っているみたいです。『ハリシエダ様、つまり、あなたは何をしにいらしたのですか?あのお手紙では巫山戯た王命が出るかのように書かれていましたが⁉︎それともハリシエダ様がミスティーヌに巫山戯た真似をしようとおっしゃるのですか⁉︎』父様の声が地を這うように低く響いてちょっと怖いです。


 しまった!と言う表情になったハリシエダ先生は、『落ち着いて下さい。』と父様に声を掛けて説明を始めました。王太子様の結婚式の後で、マジェンダ様から私がSランクに上がった事を聞いたそうです。『王太子様の結婚式で浮かれていて今は気付かれていませんが、落ち着いたらきっとミスティーヌさんの話題が王宮に流れると思います。そうなった時になんの対策もしてなければ遅いのです!あれから半年経ちました。私はずっと返事を待ってましたが、何の反応も返って来ないので、もう待ち切れません。ミスティーヌさん、私と結婚を前提に婚約して、お付き合いして下さい!』はぅ⁉︎何故いきなりそうなるのですか?訳が分からない私はその噂に付いて説明を聞くと、例えSランクと言えど王族に対し、平民では妾にしか成れないそうです。その身勝手な言い分を聞いて『否、その前に私は王族に嫁ぎたいなんて思いませんし、わざわざ日陰者の代名詞のような妾を自ら選ぶなんて、私を馬鹿にしていますか?』と、父様と一緒に私まで激怒してしまいました。


 『ですから私との婚姻です。公爵を継げない私自身は貴族籍しか持ちませんが、私は筆頭公爵家の家柄を持っています。あなたを守る盾になれます。』晴れ晴れと胸を張るハリシエダ先生ですが、それって『虎の威を借りる狐』って言いませんか?ニコニコと、反論されるなんて有り得ない。と満足気に私を見つめるハリシエダ先生。父様まで毒気を抜かれたかのような表情になってしまいました。


 父様が『ハリシエダ様は本気でミスティーヌを好きなのですか?先程のお話しでは、ハリシエダ様は平民の様な立場だから、ミスティーヌと結婚したい。と受けとれますが、それはつまり、正妻として結婚したい。と言う事でしょうか?』真面目な顔に戻って質問しています。私がハリシエダ先生の正妻ですか?以前マジェンダ様の護衛をした時に、このまま邸に住んでくれて良いんだよ。と言われた事はありましたが、マジェンダ様ももしかしたら本気だったのでしょうか?


 ハリシエダ先生には1年間、魔法学を教えて頂きましたが、物静かで丁寧な教え方から、学者肌の方。という印象が有ります。が、カシュー様に絡まれた原因でも有るので、相手をすると厄介な方。と言うイメージも結構強く残ってます。卒業式の日に騒動を起こされたのも…正直な話し、嬉しいと言うよりかは迷惑に思った位でしたし。


 父様とハリシエダ先生が真面目に色々と話し合った結果、私は婚約した方が良いと言う話しに傾いて来ました。後は私の気持ち次第だそうです。ハリシエダ先生は、『ミスティーヌさんが今後、愛する人と出会ってしまったなら、その時は私は諦めて婚約解消をしますから、今は私と婚約してもらえませんか?結婚はミスティーヌさんの気持ちが私に向くまで待ちますから、是非、お願いします。』と訴えてきます。


 『そこまで言ってもらえるなら…』と父様が私に向かって話し出しました。『条件を書類にまとめて、契約書にしましょう。基本的にはお互いに対等の立場での婚姻が私の望みです。』とハリシエダ先生に言うと、今まで話し合った内容を書き始めました。私とハリシエダ先生も覗き込んで、それぞれ条件を確認して、署名しました。


 正直、私は恋愛が分かってません。前世でも夫に対して、正直で優しいこの人となら、生涯を一緒に暮らせるかな?ぐらいの感覚で穏やかな感情しか持っていませんでした。それに、私はまだ16歳です。この世界では成人ですが、前世ならまだ高校生になったばかりなのです。ハリシエダ先生は私の一つ上の筈なのに、凄く大人っぽく思いました。


 3通書かれた契約書。私も1枚、インベントリにしまいました。ハリシエダ先生も1枚持って、大切そうに署名を見ています。『ミスティーヌさん、私は王宮で仕事をしてますので、サルカンドで暮らすあなたとは離れて暮らさねばなりません。でも、私の気持ちは変わりませんし、他の誰かに心を奪われるなんて考えられません。ですから、王都であなたを待ってますね。』私を見て、微笑みながら、王都においで宣言をするハリシエダ先生に、父様が『ハリシエダ様、ミスティーヌを王都には行かせません。婚姻するならハリシエダ様がサルカンドに来る様に。と了承されたのでは⁉︎』と釘を刺してます。うーん、モリーノが転移出来る事を父様も知っているし、私はハリシエダ先生が王都で仕事していたって問題無いと思って納得しましたが、ハリシエダ先生にはまだモリーノの事を話していないのですよね。まぁ、私も自分で転移出来るから、無理して話す必要を考えていないのですが。私の気持ちが追い付いて、ハリシエダ先生の事を良く知ってから打ち明ける。でも良いでしょう。


 慌しく王都へ帰るハリシエダ先生を護衛さんと一緒に送って行く事になりました。たまたま、サイトバル兄様が帰って来た処を父様が捕まえて、『サイトバルと一緒なら、王都まで送って行ってあげても良いでしょう。サイトバルの都合を聞いて頼んでみなさい。』と言ってくれたので、ハリシエダ先生が喜んで拝みまくって頼みました。私と婚約した話しを道々聞かされた兄様は、『ミスティーヌが貴族に取られるのかぁ?って言うか、誰でも許さん!と言いたい位だが、まぁ、大切にされるなら貴族もアリかもな。』と私を見ました。


 兄様は、二人乗りした馬の上で、『インベントリやモリーノの事を話したのか?』と小声で聞いてきましたが、私は『ハリシエダ先生を信頼出来る程まだ知らないもの。』と返事しました。インベントリも転移も便利過ぎる能力です。価値のある事は秘匿が基本なのぐらい私でも知ってます。結婚したら伝えるかもしれませんが、今はまだ早いでしょう。


 ハリシエダ先生と護衛さんが2人。それに私達で合計5人。パーティーの様な人数で素早く行動しやすいですね。途中で襲って来た魔獣は、私が窒息させたり、凍らせたりして瞬時に無効化してマジックバッグに仕舞うと見せ掛けて、インベントリに仕舞ってしまうので、護衛さんは『暇だぁ〜』と呟いています。『来る時はどうしていたのですか?』と聞くと、『ゴブリン以外は基本的に逃げてやり過ごしていましたね。早くサルカンドに着くんだ。ってご希望でしたから。』と笑ってました。


 王都付近で、商人を襲っている小さな⁉︎盗賊団を眠らせて捕縛した程度で、ほぼ何事も無く王都に着きました。護衛さん達は、私の規格外さに呆れてましたけど。野営時の結界に雷を這わせるやり方はとても羨ましがられたので、手持ちの魔石に結界と雷を付与して売りつけ?ました。『王都のギルドでも売っている筈。』と話したら、人気が高過ぎて一般には手が届かない。と言われました。『こんな処で手に入るなんて!ハリシエダ様の護衛に着いて来て良かった‼︎』と喜んでますが、『私の存在を誰かに話したら、石の効果を消滅させますよ。』と脅してしまいましたよ。だって、誰でも構わず来られたら迷惑じゃないですか!…因みにこの2人は公爵家の私兵さん達だそうです。


 王都に着いたら、当然のようにハリシエダ先生の家まで連れて行かれましたが、其処は、婚約者になったのですから、ご家族に挨拶は必要かも⁉︎と諦めました。ただ、ご両親は領地でゆったりと隠居⁉︎しているからと、マジェンダ様ご夫妻が待ち構えていらしたのは何故でしょう?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ