13 …そうなりますよね⁉︎
そう言えば、あのパーティーメンバーは幼馴染で組んでいる。と言ってました。兄様のパーティーもそうです。私は小さい頃からソロで活動していましたし、今更、幼馴染を探すのも無理。大体、同年齢で同じ能力持ちを探して、友好なパーティーを組むなんて…無理です。やっぱり私はソロでいるのが良いですね。と言っても今はモリーノという仲間がいるから厳密にはデュオ⁉︎
水辺で採った薬草でポーションを作ったら上級の毒消しが出来ました。薬草に鑑定を掛けると、聖水を使えば浄化のポーションが出来ると出ましたが、取り敢えず今は良いかな?私がポーションを作っている間はハンモックが定位置になったモリーノは既に寝ています。私も片付けて寝ましょう。
今日はサルカンドに帰ります。モリーノが他の人の眼に見えない事は、昨日のパーティーのメンバーが証明してくれたので安心です。問題は会話でしたが、モリーノの声が頭に響いて話す事が出来たので大丈夫。果物を多めに使った朝食を摂ってテントを出ると、基本の⁉︎Gとオークが息絶えてましたので処理し、川に沿って林を進みました。初日にサーモンを乱獲した処に着きましたが、今日の水面は静かです。ちょっと残念。先日の遭遇が幸運だったみたいです。草原では薬草や一角兎を獲りつつのんびりと街を目指して帰りました。
北門から街に入る時に、門番さんから中々帰ら無い事で心配されていたと聞かされましたが、みんな、私の見た目に騙されているだけだ!と、私が叫びたいですよ。能力的には一応Sに近いAランクなんだけどなぁ。小さくて痩せているからとは言え、子供扱いが過ぎませんか?
『ラキアさん、ただいま。依頼達成のご報告です。』効率重視で先に解体所に魔獣を預けてから窓口に並びました。あ、解体師さんは涙目でしたね〜グリズリーの親子⁉︎とか何匹か大型もいましたからね。窓口で望月華を始めとした指名依頼品を出そうとすると止められ、『どれだけ納品出来る?』と聞かれました。『えっ?でも依頼は20本ずつだったよね?』と聞くと、ギルマスの部屋に連れて行かれました。そこで『どうせ抱えられるだけ、数えもしないで摘んで来たんだろ⁉︎50本ぐらいなら出せるか?』とアラン父様に聞かれました。
月光草と言い、月夜野草と言い、望月華と言い。何故か夜になると花が輝いて来るのですよ。どれも綺麗ですが望月華は神秘性と採取の困難さから、価値がダントツに高いそうです。今回依頼して来た貴族は王太子の結婚祝いに使う為に私を指名した様で、それを聞きつけたマジェンダ公爵様が『私を差し置いて依頼を通したのですか?』と呟いた。と、王都のギルド経由で聞かされたそうです。うーん、私はいつからマジェンダ公爵様の専属になったのでしょうか?
取り敢えず、望月華を80本。それ以外を150本ずつ特製のマジックバッグに入れて納品しました。おそらく全部が王太子様の結婚式を飾る事になるでしょうから、状態は良い方が望ましいでしょう。夜になり花々が輝き出すとかなり煌びやかな光景が見られると思います。
面倒な事はアラン父様に押し付けて、私は孤児院にお土産を渡しに行きましょう。林の中の陽だまりや湖の周りに咲いていた、香りの良い花や種をインベントリから出してカゴに盛ります。食べ物は一角兎を渡すつもりです。そのまま渡して、男の子達に解体の稽古をしてもらうのです。お肉は食べられるし、角や鞣した皮を売ればお小遣いになります。素材剥ぎを覚えてもらうのに丁度良いのです。解体が出来ると冒険者になった時に収入が上がりますからね。マジックバッグが無いなら鮮度や持ち歩ける総量に強制が掛かりますからね。解体して不要な部位が捨てられる事は重要です。
孤児院に着くと、子供達が駆け寄って来ました。『ミスト姉ちゃん、お土産は何?』口々に待っていたよ。という表情で群がって来ます。その後ろからシスターがやって来て『お帰りなさいが先でしょ!みなさん、挨拶を忘れてますよ!』と叱ると、一斉に『お帰りなさい!』と満面の笑顔で迎えられました。
外の水場で一角兎を2匹出して解体を指示すると、慣れている年長の子を主体に道具を用意し始めたので、今度は女の子達を連れて花壇に行きます。根ごと抜いて来た香りの良い花を植えるのです。コレでポプリの種類が増えます。今、一番の収入源ですからシスターも大喜びです。しかも今日は一角兎も有ります。『夕飯は久し振りに肉入りシチューだぁ!』という声が遠くから聞こえますね。
種をシスターに預けると、隣りの修道院に向かいます。聖水の件でお願いと提案が有るのです。湖で採取した薬草ですが、修道院に池を作り育てられれば、浄化のポーションが何時でも作れます。しかも採りたての薬草で作るのですから効き目も上がる筈です。ポーションは上級に上がる程買取価格も上がりますから手間を掛ける甲斐が有ります。池を作るのは、場所を空けて貰えば私が土魔法で作れば直ぐですし、シスター達の仕事はそんなには増えないと思うのです。
シスターに説明をすると、孤児院側の裏庭に案内されました。此処なら一般の信者の方も来ない場所なので秘密を守り易いそうです。『薬草の採取依頼はギルドへの常時扱いにしてもらっては有りますが、ミストさん以外では余り納品されず、たまに納品されても品質がイマイチでして。それなのに浄化のポーションの催促ばかりされて…』と愚痴を溢されました。
私はG対策でいつもクリーンを掛けているので問題有りませんが、中には倒しても剥ぎ取る物が少ない腹いせに、そのままで放置で埋める事すらしない冒険者も多くいます。すると、その場所が穢されて植物が育たなくなったり、魔獣が生まれ易くなったりします。その為に浄化のポーションが必要とされますが圧倒的に足りていなかったので、教会でも困っていたみたいですね。…内緒ですが私のクリーンには浄化の効能が付いているので、周囲に誰か居る時は水を入れた瓶を浄化のポーション代わりに振り撒いた上でこっそりクリーンを掛けてます。
因みに、池の水には井戸水を使ったので、こっそりクリーンを掛けてあります。所謂聖水擬きにしました。植物が育ち易いので有りでしょう(笑) そう言えば、私の出した水魔法の水にクリーンを掛けて鑑定すると『聖水』と出るのです。自然界の水にクリーンを掛けると『擬き』…誰も知らないから問題はないと思ってます。気付かなければみんな幸せ。という事です!出来上がった池に薬草を植えて、種はシスターにお任せして帰宅しました。
夜になり、帰って来たアラン父様に捕まり、『Sランク決定だ。』と溜め息を吐かれました。私も同じ気持ちですけど、今はモリーノの事が先です。マリアナ母様にも部屋に来てもらって3人が揃うと結界を張りました。コレで音も漏れません。モリーノに許可をもらい姿が見えるようにしてもらいました。『モリーノ、アラン父様とマリアナ母様です。そして、このカーバンクルが私の守護獣⁉︎になってくれたモリーノです。』と紹介しましたが二人ともポカンとしてますね。モリーノは何時もの様にマイペースで『僕ねミスト大好きだから、ずっと一緒にいるね。と言う事でよろしくね。でも、普段は姿を見せないつもりだからごめんね。』とだけ言うと転移で何処かに飛んで行ってしまいました。まぁ聖獣様が自由なのは何時もですからね。
モリーノが消えて、正気に帰ったアラン父様の第一声は『秘密だ!漏らすな!』でした。(笑) 『知らない方が平和で良いわ。』と宣言され、マリアナ母様はササっと部屋を出て行ってしまいました。アラン父様にギルドでの扱いを尋ねたら、『過去に前例が無いと思う。』と言われ、『モリーノが隠れていたいなら、ワザワザ外部に話さなくてもいいだろう。』と秘匿の方向で話しは決まりました。
夕飯はサーモンのシチューです。定番の一角兎のシチューと同じ作り方ですが、見た目の彩りの美しさはサーモンの方が上かな?美味しさに舌鼓を打っていると、ちょっと疲れた感じでマリアナ母様が『ミストがねSランク確定だそうよ。お祝いはいつしましょうか?』と切り出しました。ミラードが『ミスト姉さん、凄い‼︎サイトバル叔父さんを抜いちゃったね!』と叫んでます。何故そうなるかを知っているサミュエル兄様は、アラン父様と顔を見合わせて苦笑いです。
今回のお花騒ぎの件で、いっその事、王家とギルド以外の指名依頼を断れるSランクにしてしまおう。と、王都のギルマスから提案と言う名の決定通知が来たそうです。用は、花持参でと言うか、花を運ぶ依頼を受けて王都のギルドに来い。と出頭指示が来たのでした。
一応、最初の依頼品は其々の貴族や商人に売り終えていて、それ以外の提出品についてのみなのですが、ギルドから先は其々の保管技術に依る訳で…多分、差が出るなぁ。と思いながら王都を目指しています。サイトバル兄様と2人で。モリーノは私が1人の時だけ影から出て来ますが、誰かが居ると隠れてしまいます。時々パールの処にも遊びに行っているらしいのでホッとしてます。
今回は誰かを護衛している訳では無いので馬での移動です。サイトバル兄様と二人乗りですが、私の索敵で魔獣を避けているので、普段より更に早いです。荷物は全部私のインベントリに入っているし、私は勿論!兄様も重くは無いので、休憩の度にポーションを飲み水に混ぜてもらっている馬に疲れは見られません。3日目にはモリーノも兄様を認めた様で挨拶を交わしました。モリーノに出会ったきっかけを聞いた兄様の呆れた様な笑いはなんでしょうか?『ミストの料理は美味いよな。』って頷き合う2人に納得出来ない感情が湧き上がるのは何故でしょう?
モリーノがパールを呼んでしまい、兄様の怯えた目が…でも、私を見つけたパールがさっと美女に変身してデザートを強請るのを見て、壊れた様に笑い出しました。って言うか、壊れた⁉︎ 仲良く食べる2人を横に湖の時の話しを聞いていた兄様は、よく無事に…と絶句してますが、あの時の私はそれどころでは無く諦観してましたね。私の水魔法が何処まで通用するのかな?と。ただ、モリーノが居たから最悪は考えずに居ましたけど。
パールはデザートを堪能して洞窟に帰って行きました。モリーノは、私と兄様に渾々と説教されましたよ。前から感じてはいたのですが、モリーノってまだ子供よね⁉︎ 毎回考え無しの行動を取っては叱られるイメージが有ります。可愛いから良いのかなぁ〜?
明日は王都に着きます。ギルドに行くのは3日後なので早く着き過ぎでしょうか。サイトバル兄様に相談すると、モリーノから湖に行く提案されたので、モリーノの転移で飛んでもらい、キングサーモンをゲットしたりして2日程遊び、日程通りに王都のギルドに向かいました。…パールも毎晩遊びに来てはデザートを貪っていたのが解せませんが。




