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10 揉め事は…要らないわよね〜

 商業ギルドから依頼された付与魔石を工房で作っていたので、暫く冒険者ギルドに顔を出さないでいたら、アラン父様に『そろそろ依頼が溜まっているから頼みたい。』と呼び出されました。ラキアさんに確認しに行くと、指名とは言え採取依頼も多く、まとめられる物で分類して貰いました。近隣の森や山で採れる物の依頼の中に、パーティー扱いで受けられる物を発見したので、サイトバル兄様にお伺いを立てました。


 3日の予定で用意して山頂の金環鳥の生捕りをメインに、ついでに⁉︎薬草の採取、魔獣の捕獲をして帰る計画を立てました。金環鳥のオスは輝く鶏冠が綺麗な鑑賞魔獣で人気が有りますが、声が大きくて五月蝿いのが難点です。ですが、番の2羽で居ると囁く様な優しい声になり、一転して心地良い音楽を奏でるかのようになる習性が有ります。なので、番での生捕りの依頼です。スリープで寝かせて鳥籠にご招待する予定ですが、問題は体長が50cm以上有るので私では番2羽を持てない可能性大なんです。一羽なら寝かせたままリュックに入れて山を駆け降りる事も考えたのですけど、番2羽ではきっと無理です!何故なら、生き物はインベントリに入らないので。そこで、荷物持ちのお手伝いをサイトバル兄様にお願いしたのですよ。何時もの様に兄様と2人で行くつもりだったのですが、ギルドにはケイトさんやコルディさんも来て、いつの間にかソルトンさんが仕切ってくれて、また、臨時メンバー扱いになったのでした。


 レインボーの皆さんにはインベントリ持ちと教えて有りますから、薬草採取や魔獣討伐なんて何時しても鮮度に問題無いと分かっているので、メインターゲットの金環鳥の捕獲のついでに採取してしまうつもりです。往復でルートを変えれば採れる種類が増えますから、無駄が少ないでしょう。と言う訳で鳥籠は背負いカゴみたいに背負える様に作り直して、兄様とソルトンさんが背負って山を降りてくれる事になりました。


 麓の森を歩きながら索敵を掛けていると、ホーンディアが居たので、気配を消して近づき、コルディさんにスリープを掛ける練習をしてもらいました。レベル差が有ると掛かり易いのですが、このホーンディアには失敗したので、私がウォーターボールで顔を包み窒息させました。コルディさんには何度も掛けて練度を上げれば成功率が上がる。と教えたので、まず、スリープを掛けてから戦闘に入る作戦をしています。ケイトさんの索敵も私と一緒に常に薄く広げて掛けてもらい、魔力の消費量を抑えて探る練習をしています。所謂、魔力操作ですね。前回の護衛の時に教えたので、『あれから外に出る度にしてるのよ。』とおっしゃる様に、前回よりは範囲が広くなってますね。私は索敵に鑑定を載せて薬草なども摘んでます。索敵で出るマップに有益な採取物がチェックされて便利なんです。ケイトさんは鑑定は持っていないので、羨ましいと言われました。


 森を抜け、山の麓に出た処でお昼休憩です。皆さんの余分な荷物は私のインベントリに預かっているので、『何時もより身軽だから距離も捗る。』とソルトンさん達が喜んでます。土魔法で簡単な机を作り、温かなスープの鍋を出すと、真っ先にコルディさんが飛びつきました。彼女は素敵なお姉様なのですが、食欲に正直過ぎる点が彼氏が出来ない理由だ。とソルトンさんがこっそりと教えてくれましたが、コルディさんはそんな処も可愛いので問題無いと思うのです。


 スープでパンを食べ、食後のデザートに果物を食べて、一息吐いたので索敵を再開しました。森の中では薬草が多かったのですが、山に入ったら果物や木の実、キノコなどの食料用の採取物が目立ちます。トレントは居ませんが、堅い木が目立つのでウィンドカッターで間引く様に倒し、インベントリに収納していると、兄様達が呆れてました。


 夕陽が赤く輝く頃に山頂付近に到達しました!薄暮の中でテントを2張り建てて野営の準備です。土魔法で簡単な竈門を作り、水を張った鍋を掛けます。空いてる場所にフライパンを乗せ、パンケーキのタネを流し込みます。網の上にはオーク肉のベーコンを載せて焼き、鍋の中にはトマトと玉ねぎとキノコと干し肉を入れて煮込んでます。スープの味は少し塩を濃いめにして、後からパスタを足してパスタスープにしましょう。何時もは兄様に手伝ってもらいますが、今回はケイトさんとコルディさんが両隣りで頑張っています。パンケーキのタネはトロトロっに混ぜた状態でインベントリに仕舞って置いたので、バターを塗ったフライパンに流し込んで焼くだけ。という超お手軽レシピですし、スープの具材は大きくても文句を言う人は居ないでしょうから気楽に作れます。…私には。


 野営なのでお酒は出しませんが、美味しい夕食になったので良しとしてもらいましょう!食べ終えて使った食器などを洗い、綺麗にした鍋に水を張り、コーヒーを沸かしてコップと一緒に用意しました。前半の見張りは男性陣が、後半と言うか、3時ぐらいからが私達になりました。朝食を用意する都合も有るからの分け方ですね。


 此処からは隠密行動になります。寝る前に夜にしか採取出来ない物をササッと集めてインベントリに仕舞い、テントに戻って来ると、お姉様2人がご機嫌斜めです。私が1人で採取に出掛けてしまって声を掛けなかった事が不満だと言うのと、私が出掛けた事に気付かなかった事が不甲斐ないと、そう言うのです。ですがコレには私もムッとしてしまいました。私は仕事で来ているのであって遊びに来ている訳では無いからです。『今回の採取に関して、私宛の指名依頼が本来の目的である事はご理解頂けていると思っていたのですが、私の思い違いでしたでしょうか?』とつい、キツイ言い方をしてしまいました。


 気配を察したのかサイトバル兄様が覗きに来て、仲裁に入ってくれましたが、2人の対応に私はどうしても謝る気にはなれませんでした。


 見張りを交代し、朝食の用意をしてる際も、私からは話し掛けず距離を取りました。食後も行動は兄様と一緒か、単独です。最低限のフォローはしますが、それだけです。金環鳥の番も1人でさっさと済ませ、籠に入れて兄様にお願いして、残りは自分で背負います。…が、流石にソルトンさんから苦笑混じりに説得されて、お願いしました。


 昼食は私のインベントリから調理された物を出して食べた後、お2人がやっと謝りに来られましたが、既に冷え切っていたので、『私は年下では有りますが、だからと言ってお2人に無条件に従わされる謂れは有りません。今回の仕事に於いても私が直接お願いしたのは兄様だけで、パーティーに加入させて下さいとお願いした訳では有りません。親しき仲にも礼儀有り。と言いますが、それを踏まえても、残念ながらそれ程親しくは無いと思っていますので。』と距離を置く宣言をしました。私の存在は何かと便利ですからそこにつけ込まれるのが一番許せないのですよ。


 メインの捕獲が済んだし、私が個人的に必要な採取も済んでいるので、午後はソルトンの意向で魔獣の捕縛を中心に行動しました。ケイトさんの索敵で魔獣を見つけ、コルディさんのスリープを先頭に討伐をする。麓に着く迄には2人ともレベルを上げた様です。私はサイトバル兄様の補助に回り、何時もの様にアイスボールで魔獣の足を止めたり、ウィンドカッターで羽を切り落として地上に落としたりして、兄様がとどめを刺す手伝いだけをして過ごしました。


 一応、予定通りの3日目に帰ってき来て、ギルドで依頼終了の報告をし、依頼品の納品を済ませ、解体場に魔獣を出し、其々の精算が済んだので、私は臨時メンバー扱いを取り下げ、ギルドをさっさと後にしました。アラン父様には、ソロで受けられない指名依頼は無理だから断ってもらう様にお願いしました。申し訳ありませんが、兄様と一緒でも、レインボーとの共闘はもうしたく有りません。私へのメリットが見つかりませんし、いくら謝られても不愉快な思いが残っているからです。



 一緒に護衛をして慣れたと、甘く考えていたと反省させられた。ミスティーヌは意外と人見知りな処が有り、今迄は俺だけとしか行動して居ないから、今後パーティーを組む為にと、今回はレインボーに同行を頼んだんだけど。ケイトもコルディもミスティーヌを気に入っていたから大丈夫だと思ったのに、初日に遣らかすとは思わなかった。ミスティーヌは気遣いが出来るから一緒に仕事をするとかなり快適に過ごせるけど、それに頼り過ぎるとスッと引かれるんだ。ソルトンは気付いたみたいだから、何時も感謝の意を忘れずに示してくれてたからミスティーヌも受け入れてたけど、あの2人はちょっと違った。ミスティーヌの才能などに嫉妬があったのかもな。でも、教え方が良いから表面上は素直に教わっていたけど。夜間に1人で勝手な行動するな!って頭ごなしにミスティーヌを叱るなんて馬鹿か⁉︎としか言えない。お前らが足手まといになるから、1人で採取して来たんだ。1日中2人の世話をしながら採取や魔獣捕縛、その上に料理まで教えてどれだけ疲れてたか。自分達は楽だったから気付かないのか。ミスティーヌの仕事に便乗させてもらっての依頼なのに、遊びに来たのと勘違いしていた位だったからなぁ。


 ミスティーヌを家に送り届けてから、ソルトンを探してホームに行くと、2人を説教していた。やっぱりソルトンは分かっていてくれたんだなぁ。『よっ。どうだった?』『もう二度とごめん。だってさ。』顔を見合わせてため息を吐いた。『やっぱりなぁ。ま、約束通り秘密は守るよ。ケイトとコルディもそれぐらいは守れるよな‼︎ ギルマスに誓約書も出して有るしな。』コルディは話しについて来れなかった様な顔をしている。『あの、何を言ってるの?二度とごめんって、何の話し?』それを踏まえてケイトは『やっぱり我が儘な子供だったのね。自分だけが偉いと思ってんじゃ無いの!私がせっかく謝ってあげたのに、態度悪い。コッチこそお守りはもうごめんよ。秘密なんて守る必要無いんじゃ?商会の会長とか、貴族にでも情報売れば高く買ってもらえるでしょ。』と言い出した。カチンと来たらしいソルトンが睨んでいる。


 コルディに俺が居ない間どんな話しをしていたか聞くと、『ミスティーヌちゃんは小さくてもAランクの冒険者だし、今回の依頼は本当は私達では受けられない物で、配当も、本当はもらった半分ぐらいが相場だ。ってソルトンが。それに採取品や魔獣の買取にしても、凄い金額だったでしょ?ケイトは当然と思って受け取ってるけど、前回も今回も配分が不相応なのよ。だってミスティーヌちゃんのお陰で良質だったから高価買取してもらえたのよね。でも、ケイトは、自分が索敵して見つけた魔獣だから、私の手柄よ!当然の対価よ!って。ドンドン意固地になってしまって。』


 と、そこまで聞いた時に、ケイトと話していたソルトンの押し殺した声がした。『分かった。ケイトはパーティーから離席の上、身分剥奪で良いんだな。』と凄んでいる。慌てて間に入り、『少し落ち着こう。なんでこんな話しになった?』と聞くと、『みんなミスティーヌの肩ばかり持って、私を悪者にしたがってるからよ!有益な情報を高く売るなんて誰でも考える事じゃない!』とコルディが叫んだ。ソルトンが『俺はそんな事は言ってない。誓約書を破る事になれば、そうなる。と言う話しをしただけだ。』と言う。『ケイトは、ミスティーヌがインベントリ持ちだと言いふらしたいのか?国に隷属させられて、戦争に加担させられて。ミスティーヌを殺したいと思っていたのか⁉︎』思わず、俺までカッとしてしまった。『ケイト、そんな可哀想な事考えていないよね?』コルディがケイトに縋り付いて訴えると、『そんな、そんな事になるなんて考えた事無いわよ!って言うか、そんな大袈裟に言って脅かさないでよ!』コルディに助けられた。つい、俺までのぼせては話しにならない。


 『一旦、落ち着こう。』とソルトンもお茶を沸かしに行った。此処で台所を使うのはソルトンなんだよなぁ。お茶を飲んでヒートダウンし、改めて話し合いをした。俺は、『ミスティーヌがソロで進む事を決めたので、もうパーティーには誘わないし、誘っても来ない。』と伝えた。コルディは残念がったが、『自業自得ね。』と寂しそうに言った。ケイトはソルトンに『さっきのは売り言葉に買い言葉って奴で、本当は秘密を漏らす気は無いから。』と言い、俺に『心配させてごめんなさい。』と謝った。付き合いは長いし、俺たちはそれで手打ちにした。

読み直して、伝わり難いかな⁉︎と思って、少し書き直しました。

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[気になる点] いきなり視点が代わるので、視点が代わるときはもう少し改行を入れるか、「―――」のような罫線で区切るなどしたほうが良いんじゃないかなぁと。
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