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ファムファタルな君  作者: 一稀美
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Part5

こんばんは〜!

最近こんな話を書いているからかラブソングを聴くことが出来なくなってきました。若者の言葉でよく使われるエモいっていわれる歌はどれも聴いてたら胸が苦しくなってしまいます。

私息吸うのと同じくらいの感覚で音楽聴くのが好きなんで死活問題です(´・ω・`)

「ゆうはくん!!」

え……。どうして君がここに?

状況に理解ができず何も言えないでいる俺に君は笑いかけてくる。君が名前を読んだ声が耳の中で木霊する。

俺は今幻を見ているのか?ライブの後の夢見心地?

突然現れた君に小さくパニックを起こしてちゃんと頭が働かない。

頑張れポンコツな頭。


「ゆうはくん?」

あ、え、やっぱり幻じゃない。目の前に君がいる。相も変わらず崩れたメイクと汗かいた髪。出会った時と同じ。

とりあえず返事くらいしなくちゃ。声を出そうとして口の中の唾液が見事に全部失われたいた事に気付く。

「久しぶり。」

「久しぶりだね!!1ヶ月ぶり?」

「それくらいだね。」

「ゆうはくんのことがだから今日来てるんじゃないかなって思ってたんだぁー!」


変わってないな。テンションが高めであどけない子なんだよ君は。

あ、でも全然違う。君の纏っている服はバンドTシャツを除いて綺麗なモノトーンで揃えられていた。どうして?どうして君は元の柄柄な派手なスタイルに戻ってないのだろう?どうして俺が好きだって言ったスタイルのままなの?


せっかく一大決心と共にこの恋のお葬式を終えて清々しくなっていたのに、悪気もなくまたひょっこり目の前に現れた君に腹が立った。

「どうしたの?また連れとはぐれた?」

ちょっと嫌味を言ってしまう。

「ううん多分噴水の前にいると思う!会場を出ようとしたら逆方向に走っていく人がいて、あれ?ゆうはくん?ってなったから追いかけてきたの!」

「へぇ。よく気がついたね。」

「もちろんだよ?私がゆうはくんに気付かない分けないじゃん!」

そう言って得意げに右頬を上げた。小悪魔のような笑みの君に明々と光る物販のライトが味方をする。


俺の嫌味にビクともせず倍くらいの威力のある言葉を放り投げてくる君との第2ラウンドが始まった。


再び君に会えた動揺と再沸しそうな気持ち必死で抑え込んでいるのを悟られない様に冷静を装う。

俺の顔、にやけないように。

俺の声、うわずらないように。

俺の手、君に触れてしまわないように。

俺の口、閉じ込めたの気持ちを言ってしまわないように。


「ゆうはくん、この後予定は?」

……。この言葉の意味は?誘ってるのか?俺を?

「もう帰るだけだよ。お腹すいたからなんか食べようかと思うけど。」

「それならさ!打ち上げしない??」

「打ち上げ??え……でもいいの?連れの人ほっといて。」

思わず本音が出てしまった俺の言葉に君がキョトンとした顔をみせてから満足げに微笑む。

「あのね皆でこの後打ち上げしないかって話になってるんだ!このライブ熱すぎたから語り合いあおうって!」

「そういう事ね。」

「どう?来ない?」

「じゃー行ってもいい?」

「やったぁ。うれし!」

俺は何を期待したんだろう。彼女はもう俺のことをちゃんと過去の出来事として終わらして、元いた位置に俺を置き直しているんだ。隣を歩く君は何がそんなに嬉しいのか手を大きく振りながら軽やかな足取りで顔を綻ばせている。違う。手をおおきく振りながら歩くのは君の歩き方の癖だったのを思い出した。ただその手の振り幅が今日は一段と大きいような気がしてならない。


俺と君の心の余裕の差に心臓が小さな針を刺れた様に微かに痛んだ。今はそれが悲しい訳じゃなくて悔しさだと思うことにしよう、と自分に言い聞かせた。


「あ、いた!」

噴水の前に4人ほどのグループがこっちに向かって手を振っているのが見える。正しくは彼女に向かって。俺にとってみたら全員が初めましての人だった。ただ見覚えがある人が1人いたけど。

「ごめんね!急に別行動しちゃって!」

「ん、大丈夫。」

「あのさ友達のゆうはくんなんだけど一緒に打ち上げしたい。」

彼女の言葉に一人の男が反応する。唯一見覚えのあるその男性が優しそうに彼女を見ていた目を俺の方に向けて頭を下げてくるから慌てて挨拶をした。

「初めまして。ゆうはです。」

「初めまして〜。水沢です。是非一緒に打ち上げ行きましょう。」

そう言って笑ったこの男はいかにも落ち着いた大人の雰囲気をまとっていた。君の彼氏、写真で見るより何倍も素敵だよ。それが俺の心をより一層痛くさせた。


俺と彼女の関係をこの男はどれくらい知っているんだろう?

いつか彼氏をお目にかかることがあったら洗いざらい全てさらけ出してやりたいと思っていた。

彼女と僕は何度も愛し合いましたよ。

あなたが彼女を寂しくさせるからですよ。

本当に彼女のことを愛しているのは、大切にできるのは僕ですよ。

って。言ってやりたいと思っていた。本当はこの彼氏に非はないのが分かったいたし、この横入りの恋が反則なのも分かっていたし、勝手に本気になった俺が一番悪いのも分かっている。

分かっているんだけど、俺はこんなに苦しいのに、君の彼氏であるあなたは何も知らずに、悠々と幸せに美緒をひとり占めしていることが俺の中で許せなかった。完全な負け惜しみ。

負けで良いよ。認める。完敗。ところで。

ところで君は本当にこの彼氏に俺のことはなにも言っていないの?

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