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更に4年経過した。

当然俺は、10才になったのだが、母さんが倒れた。

母さんは、俺とルシアに食べさせるために、問題がない食べ物を選んで購入していたのだが、問題がないものであれば、手にはいる量が少なかったのだ。俺は、母さんが倒れるまで自分の能力のことについて伝えなかったことに後悔した。

しかもだ、俺の能力により強くなっていた父さんが失踪した。


このところ、村に来る冒険者仲間に、

「俺は、こんなところで縛られていい男じゃなかった。」

や、

「俺は、世界を救うことが出来るはずなんだ。」

とか、

「俺の助けを待っている人がいるはずなんだ。」

なんか、酒を飲みながら愚痴るように言っていたそうなんだ。


父さんは、自分の力は元々強かったと勘違いしてしまい、1番助けがほしい人が、わからないようになってしまったのだった。


これも、俺が能力を伝えなかったことにより発生してしまったことだと思った。

だから俺は、母さんに、

「母さん、俺、今まで秘密にしてきたことがあるんだ。信じられないかもしれないけど、聞いてほしい。」


「なんだいフォル?改まって。」


「あのさ、俺にはちょっとした能力があるんだ。」


「能力?ルシアみたいに魔法が使えるとかかい?」


「まあ、魔法は使える。ルシアに魔法を教えたのも俺だ。ただ、能力は、それじゃない。」


「じゃあなんだい?」


「俺の能力は、食べ物がどんな人でも食べれるようにする能力だ。」


「料理が出来るってことかい?」


「まあ、料理は勿論出来るけど、そうじゃないんだ。ちょっとみてもらった方がわかるかな。ちょっとこれ見てくれるかな?」

俺は、アイテムボックスからブラッドベアーを取り出した。


「なっ、なんだい?今何処から出したんだい?しかも、これブラッドベアーじゃないか?こ、これをど、どうするって言うんだい?」


「まあ、こうするんだよ。」

俺は、ブラッドベアーのお腹回りの肉を解体し、一口サイズにしたものを、アイテムボックスから取り出した串に刺して、魔法で肉を水で流してから、更に魔法で焼いていった。


「そ、その肉をど、どうするんだい?」


「食べるよ。」

「や、やめとくれ、死んじまうよ。あ、あぁ~。」

俺は、母さんの制止を気にせずにその肉を食べたのだ。


「あんちゃん、美味しそう。ルシアにも頂戴。」

ルシアは、森でこんな風に何回か食べたことを知っているどころか、一緒に食べていたものだから母さんを気にせずにねだってきた。

「な、何言ってんだい。フォル、す、すぐに吐き出すんだよ。ほら、体調が悪く・・・なってないね。どうしてだい?いや、確かに、フォルの説明通りだけど、いや、え?、本当に?」


「嘘ついてどうするんだ?だから、今から俺が、料理してくるからさ、気にしないで食べてくれよ。食材なら、沢山貯蓄してきてたからさ。いい?」


「あ、ああ、わかったよ。まだ、頭で整理できないけど、フォルの言うことは、信じるよ。ちょっと横にならしておくれ。」

母さんは、そのままベッドで横になった。


俺は、母さんと俺の横で物欲しそうな顔をしているルシアのために、料理をしようと思う。

ただ、調味料がまだこの世界に少ないのだ、近くの山で取れた岩塩と、森の中で取れたハーブ、胡椒、唐辛子くらいは確保してはいるのだが、それしかない。

大豆に似た豆なんかは、売ってはいるのだが、今までは、俺が購入すると不思議に思われてしまう可能性があったため、購入していなかった。

購入していれば、味噌、醤油、豆板醤なんか作ってもよかったかもしれない。

でも、今は、それらはないのだ。無い物ねだりするわけにもいかないので、ビックボアの肉を薄くスライスして、トマトに似た野菜、テメトに巻いて串に刺していった。

他にも、ジャガイモに似た野菜のテテト、それをスライスして丸めたものをさらに肉で巻いていった。

この世界は、見た目はほとんど同じで名前の違う野菜が多く、今手に持っているのも、アスパラガスににたミドリタケと言うものだ。これも肉巻きにする。

次に、ビックボアのにくを縦横2センチ、厚み1センチほどにカットして、串に刺す。

次に、鳥、ドドードリという見た目鶏、サイズは1メートルくらいの鳥だ。この鳥から、胸、モモ、内臓、手羽を捌き、残った鶏ガラから出汁を取った。鍋には、ネギ、正式には、草だと思われていたらしく、名前がないから、ネギって呼んでいるが、長さを5センチほどにカットして、一緒に鍋に入れた。

出汁をとっている間に、ハツ、ズリ、キモを丁寧に洗い、食べやすいサイズにカットして、串に刺した。

皮は、半分は、そのまま串に、残りの半分に葉物野菜とハーブを混ぜた物を、皮で包んでから串に刺した。

さっきから、串に刺してるのが多いと思っていると思うが、この世界、調理器具なんか全然無いんだ。

かろうじて鍋らしきものはあるのだが、包丁がない。

ナイフか、剣の折れたものを使ってカットしているぐらいなのだ、当然のようにオーブンなんかもないので、パンに近いものが小麦粉捏ねて、鍋で焼いたもの位だ。

鍋も石が積んである上に載せているだけなので、バランスが悪い。このあたりから変えていかないといけないとは思っているのだが。

まあ、串に刺し終えた物を、火の回りに挿していく。

串は、見た目焼き鳥だな。


鍋の出汁が取れたようなので、鶏ガラとネギを取り出し、麦を投入していく。

流石に米は、この地方にないらしく、この前行商に来ていた商人に殻がついたままで取引したいと伝えている。

この商人、数年前から俺と個人的に取引をしている。

最初は、俺が買い取ってほしいって言っても信じてもらえず、盗品だと疑われていたのだが、ちょうど狩りをしていたときに、魔物に襲われていた商人を助けたことで信じてもらい、それから取引をしているんだ。

魔物の素材を何度か売却したから、お金は結構たまっている。


この麦、水分を含むのが早く、あっという間に火が通り、柔らかくなる。

もう少しで、串の方も火が通りそうなので、麦粥の味を調えようと思う。

まずは、塩と胡椒で味を調え、次にアイテムボックスから、ドドードリの卵を取り出し溶き卵にして、鍋に流し入れる。

最後に、ネギをみじん切りにして上に散らす。


「よし、これで完成だ。」

俺は、出来上がった料理を母さんが寝ている部屋に運び込んだ。

アイテムボックスから、森で作っておいたテーブルを取り出し、母さんの横に置いて、料理を並べた。


「なんだい、いい臭いだね。フォル1人でこれを作ったのかい?へ~え、大したもんだね。それじゃあ頂くよ。」


ルシアと母さんは、食べ始めた。

ルシアは、食べなれているから躊躇せずに口へと運んだ。

「う~ん、美味しい。流石あんちゃん。」

母さんは、やはり躊躇して串を見つめていたが、意を決したように目をつぶって口へと運んだ。

「あら、本当に美味しい。すごいもんだね。」

1度食べ始めた2人の手は止まることがなかった。


「いや~、食べたよ。フォル、あんたすごいね。今まで食べたことのない料理ばかりで、よく、考えつくね。あの人も帰ってこないみたいだから、この家は、フォルの好きにしな。これから家長は、フォルだよ。年齢がまだ成人には、2歳足りないが、それまでは、あたしがフォローするからね。」


「わかったよ、母さん。これから、生活が豊かになるようにしたいと思うから協力して。」

俺は、これから生活が豊かになるように、環境を整えていこうと思う。


評価、感想頂けると嬉しいです。


もしかすると、返事が出来ないかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

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