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ルシールさん達が帰ってからしばらくすると、アイテムボックスにしている倉庫に、いろいろな種や苗が大量に届いた。
種類も多いが、それぞれの量も大量なのだ。
「まあ、種類がいろいろとあることは嬉しいからね。少しずつ取り出して確認していくしかないか。」
アイテムボックスを確認していくと、手紙が一緒に届いていることがわかった。
「えっと、なになに?」
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フォル様へ
この度は、お嬢様共々大変お世話になりました。
先日お譲りいただいた船も大変高性能で、安全に海を渡ることが出来ました。
まあ、あの船の説明を関係各所にお嬢様は行っておりまして、お約束しておりました種などの送付が遅くなってしまいました。大変申し訳ありません。
今回お送りしました種の中には、家畜用として栽培されているものも含まれております。
フォル様も家畜を所有されていたと思いましたのでお送りいたしております。
この手紙と同封しております一覧に家畜用と表示しておりますので、ご確認下さい。
先日は、まことにありがとうございました。
追伸
お嬢様は、そちらに行くために魔王様に承認をもらうため、日々努力されておられます。出来るだけ早く行きたいと思いますので、その際には、また、よろしくお願いいたします。
ミッシェル
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ミッシェルさん、手紙かたいな~。
砕けた感じで書いてくれればいいのに。
まあ、家畜用でも俺の知識で違う使い方が出来るかも知れないしな。
とりあえず、家畜用を見てみようかな。
家畜用の一覧を見てみたのだが、基本的に名前がついてない。
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家畜用1号
家畜用2号
家畜用3号
家畜用4号
家畜用5号
家畜用6号
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って感じだ。
特徴さえ書いてないから、どれなのかもわからない。仕方ないので、家畜用でないものを見てから、残ったものを確認していこう。
・・・といって、確認したものの名前を確認しただけでは、なんの野菜かわからないし、名前と種は一致することは出来るけれども、どんな野菜になるかわからない。まあ、バンバンだけは、わかったが、注意事項に粒のまま温め禁止って書いてあるから、爆裂種であることもわかった。
とりあえず、どれが家畜用かわかったのだが、中には、な、な、なんと、種籾があった。
米が、家畜用として栽培されていたのだ。
まあ、精米技術がないと、一粒一粒籾殻を外して玄米にするまでが精々出来ることだろうし、鍋の文化が無かったのだから、その玄米を炒めていただけでは、食べづらい。
粉にすることも出来るが、小麦を粉にするよりも手間がかかりすぎる。
そのため家畜用になってしまうのだ。
しかし、ありがたい。家畜用なだけはあって、量も大量に送ってもらっている。少しだけ精米して食べてみたいと思うよ。(後でね)
次に、サトウキビの種だ。
確かに、サトウキビを直接食べようとして食べれるものじゃないよね。
やはりサトウキビは、搾って砂糖を作るしかないと思う。
今流通している砂糖は、基本的に甜菜糖が主流であり、ごく一部ダンジョンで発見されたものが流通されているものだ。
魔人国で、サトウキビの必要性がわかれば流通革命起こすに違いない。
あとは、育ててみなければ分かりにくい。
他にも大小様々な種や苗、苗木が送ってきているがはっきりとどういったものかわからない。
これだけの量があるのだから、普通の畑はなんとかなったとしても、稲を育てる田んぼと、サトウキビを育てる畑の確保、更に以前から育てたいと思っている山葵これらの栽培が問題がある。
幸い、ここからすこし離れているところに川があり、そこの開拓をすれば、田んぼと山葵は問題ないはず。
ただし、1年を通じて水量が豊富であるかは確認していない。
近くに貯水池を作る必要がある。
まずは、貯水池を作成したいと思う。
貯水池をまずは作成だ。
ある程度の水量は確保しておきたいので、水深5メートルは確保出来るように堤防と地面を魔法で掘り固め、幅150メートル四方の貯水池を作成する。
この程度であれば、半日もあれば作成可能だ。
次に、貯水池から下流へ流すための水路に、田んぼと山葵田に流すための水路を別々に作成する。
山葵田が貯水池から近く、田んぼが離れた位置になる。山葵田の後の水路は、田んぼの水路と合流して、川の下流に流れるように作成する。
ここまでの作成は、山葵田の作りに手間がかかり、かつ田んぼは広めに作成していたので、1月ほどかかった。
ここまで作成が終われば、上流と貯水池をつなげるための水路を作成していく。
ちょうど川と合流する場所は、緩やかに曲がっている場所につながったため、川の氾濫などは起きにくそうだ。
実際この周辺に氾濫したことがありそうな形跡は見当たらない。
すぐに水が流れ始めたが、貯水池に水が一杯になるまでには1月ほどはかかると思われる。
それまでの間には、家の裏側の土地を整備して、サトウキビを植えるための畑を整備したいと思うし、それ以外の種を蒔くのと、苗木を植えていきたいと思う。
家の裏側の伐採は、すでにルシアが完了しており、母さんと畑に向けての整備は開始しているようだ。
しかしながら今回は、家族で誰も知らない野菜の栽培になるので、発芽するまではそれぞれ別々に見守らないといけない。
発芽までは、温室で行っている。
今回ルシアが、
「あんちゃん、ルシアに任せてよ。」
って、ルシアから言ってきたし、
「フォル、ルシアも成長してるんだからね、私も手伝うから、あの子に任せてあげておくれよ。」
母さんからもそうお願いされたので、今回は、ルシア主体で行っている。
すでにかなり発芽しているものがあり、畑の方に植え替えているものもあるそうだ。
なにも聞いてこないから、助言もしていない。
ただし、サトウキビは俺がすることになっているから、直で植えてある。
かなり順調に成育しているので、楽しみにしている。
ルシールさんが、次来るときまでには、送ってもらっていた収穫は、一通り出来るようになっておきたいと思っているのだった。




