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知らない天井だ。って、もう産まれてから10日ほどが経っただろうか。
やっと視力がついてきた。
やはり、産まれて間もない頃は、全然見えなかったものだ。
手もやっぱりちっちゃいな。
とりあえず、時間だけはあるから、魔法の制御の練習しとくかな。
すぐに神様から教えてもらった方法で、練習を開始したのだが。
やばい、お、お腹が、
「うぎゃ~ん。」
この体、お腹がすくと自分で泣くのを止めようがない。
まあ、赤子だから仕方ないのだろうけど。
お腹いっぱいになると、すぐ眠たくなってしまって練習が継続出来ないんだが。
「◯#&*?♪¥\+」
ほら、女性が駆け込んできた。
まだ、なに言っているか全然わからないのだけれども。
この女性が、母親だということはわかる。
ダークブラウンの長髪で、青い目をした綺麗な人だ。
この女性の胸に吸い付いているのに、ムラムラしないからな。
だから、母親に間違いないと思っている。
父親は、少し離れたところから慎重にこちらを覗きこんでいる、せっかく泣くのが落ち着いて、飲んでいる俺に配慮しているのだろう。
父親は、黒髪でかなり体格のいい、この母親に似合わない男だ。猟師でもしているのだろうか。まあ、見た目ちょっと怖い。
まあ、それでも俺を愛してくれているのだろうと、わかる目をしているから、そんな覗きこむようにしなくてもとは、思うんだが。
それから3年たって・・・
俺には、今1才の妹がいる。
あ、ちなみに俺の名前は、フォルトデノールって名前だ。みんなからは、フォルって呼ばれている。
この世界の言葉で、光あるものって意味らしい。
で、1才の妹は、ルシアデノールで、豊かなるものって意味らしい。略称は、勿論ルシアだ。
母さんに似てダークブラウンの髪で、ものすごく可愛いのだ。
ルシアは俺に近づいてきて、ちっちゃな手で俺の手を握ってくれるのだ。
ルシアのためにも、食べ物に困らないようにしてあげたいと思うんだ。
家族全員が食べているものは、俺が配膳をしているから、問題なく食べれている。
でも、親父は冒険者で、そんなに実力があるわけでもなく家が裕福なわけではないのだ。
だから母さんは、切り詰めながら料理の材料を買ってきている。
本当は、俺の能力を話して何でも食べれらことを教えてあげたいのだけれども、今まで食べれていなかった家族が急に食べれるようになったら、俺の能力に気がついて悪用しようとする人が出てくるかもしれないから、まだ、教えれてないんだ。
ただ、父さんが狩ってきた動物を、勝手に捌いて、干し肉なんかにして、食べれるものが収納されているところに追加していたりはしている。
これを食べている父さんは、少しずつ力がついていると思うんだ。
この間も、ブラッドベアーって熊の魔物を1人で狩ったらしく、村で英雄だ~って言われていたからね。
母さんは、エレノアールって名前だ。
このところ少し痩せ干そってきていて、少し心配だ。
あまり栄養も足りてないらしく、あの綺麗でサラサラだったダークブラウンの髪もバサバサになっていたのだ。
ちなみに父さんの名前は、ガーフノリアで、他の村人からガーフって呼ばれていた。
今俺達が住んでいるこの村の名前は、ポーネ村だ。
かなり前に、開拓村として出来たらしいのだが、切り開くことが出来ず、村としては、寂れた村になっている。
ただ、冒険者には人気があり、この先の森に討伐や、採取に向かう際に宿をとるために、よっていくらしい。
父さんも以前は、そうだったらしいのだが、母さんに惚れてこの村の移住したという話だ。
その父さんも、今他の冒険者と一緒に森の奥に入っていっている。
まあ、そのうち紹介できれば紹介したいと思う。
更に3年後・・・
俺は、6歳になった。
「あんちゃん。ねえ、あんちゃん。」
今俺を呼んでいるのは、ルシアだ。
「なんだ、ルシア。」
「ねえ、あんちゃん。お願いがあるの。」
「お願い?とりあえず聞くだけ聞くが。」
「えっとね、あんちゃんに教えてほしいの。」
「教えてほしい?何を?」
「えっとね、魔法。」
「一応魔法使えるだろ。」
「うん、使えるけど。でも、あんちゃんみたいに使えない。」
「まあ、いいけどな。」
「あんがと、あんちゃん。」
「ただ、母さんや父さんには使えることは内緒だそ。それじゃあ、右手の上に火を出して、左手の上に風を出してごらん。魔法は使えるんだから、それを同時に使うんだ。それが出来たら次に行くぞ。」
「わかった、あんちゃん。」
「どうしたらいいのかがどうしてもわからなかったら、質問しろ。それまでは自分で考えるんだぞ。」
「わかった、あんちゃん。」
普通の子供じゃ4歳で魔法は使えないんだがな。ルシアは、生まれついての天才のようだ。俺も神様に使えるようにしてもらってなければ、全然使えなかっただろうからな。
俺は、いつでも食料を確保しとけるように、森の中に罠を仕掛けていた。
罠と言っても、魔法を使った罠であり、普通の人が仕掛けに触っても発動しないものだ。
罠の内容も、仕掛けに乗った動物や魔物が土の中に足が埋まって動けなくなるものだ。
「よし、罠はこのくらいでいいか。昨日仕掛けていた罠を確認に行こうかな。」
「あんちゃん、うまくいかないよ。」
「2つ一緒に考えるからいけないんだ。それぞれ別々に魔法のことを考えてから、同時に発動だけするんだ。」
「別々に同時?あんちゃんよくわかんない。」
「順番を考えろ。右手の魔法のこと、左手の魔法のこと、発動のことって順番だ。」
「あんちゃん、まだよくわからないけど、頑張ってみる。」
「おう、頑張れ。」
罠を仕掛けたところから、10分くらい離れたところに昨日仕掛けておいた罠があったので、そこまで移動すると。
「グ、グワァ、ガー。」
そこには、4本の足とも地面にめり込んで動けなくなっているブラッドベアーがいた。
ブラッドベアーは、近づいてくる俺達に気が付き、
「ガァァァァァァァァァ。」
威嚇をしてきた。
ただ、どんなに威嚇をしてこようとも、今の体勢は、レンコン畑に初めて入って両手両足泥に埋まって動けなくなってしまった人みたいなので、全然怖くもなんともない。
「よし、ルシア。このブラッドベアー、とどめを刺して帰ろうか。もう、母さんも待ってるだろうから。」
「は~い、あんちゃん。」
俺はブラッドベアーの眉間に、ナイフを突き立ててとどめを刺した。
そのまま、アイテムボックスに保管をして、家路についた。
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