18
翌朝、俺たちは早速工事を開始した。
「ルシア、まずは工場横に道を作るぞ。」
「うん、あんちゃん。どのくらいの長さで作ればいい?」
「そうだな、今ある工場の3倍くらいの長さで作ってくれ。」
「わかったよ、あんちゃん。」
「切り倒した木は、いつも通り木材として使うから切り刻まないように注意しろよ。」
「うん。」
ルシアは、勢いよく木を伐採始めた。
俺は、ルシアが伐採した木をアイテムボックスに収納していった。更に、切り残った切り株を風の魔法でズタズタにして木チップにしてから、土魔法で土と混ぜていった。
道を作る部分の伐採は、5分もかからず終わった。
「ねえアリス、開拓ってこんなに早く出来るものかな?」
「え、ええ、そうねベル。」
「・・・・普通無理。」
「ミール、夢でも見てるのかしら?」
「・・・・つまんでみる?」
「お願いしようかな?」
「リリネ、私がつまもうか?」
「ベルがつまむと、腫れちゃうから駄目!」
「ねえミール、あなた魔法でこんなこと出来る?」
「・・・・アリス、だから無理。」
「そ、そうよね。」
作業を手伝うために、後ろに控えていた4人がきょとんとした顔で、話していた。
それに気がついていない、俺とルシアは、
「よし、ルシア、次は皆の家の建てる場所と、ルドルフさん、アーベルトさんの店の場所の伐採と整地だ。」
「は~い、わかったよあんちゃん。」
「今後の事もあるからな、広めに整地するぞ。」
「それじゃあ、ルシアこっちから始めるね。」
ルシアは、住宅用の場所に向かって走り出していた。
「気を付けてな。」
「は~い。」
「それじゃあ俺は、アーベルトさんの土地を整地しようかな。」
俺が、アーベルトさんの予定地に向かって歩き出していると。
「フォル君、ちょっと待って。」
「どうしましたリリネさん?」
「そうでしたね、それじゃあですね、整地が終わった道の部分をこの道具で綺麗にならして欲しいんですが。」
俺は、話をしながらアイテムボックスからローラーを4個取り出した。
このローラー、ある程度の重さはあるが、この世界の普通の人であれば引っ張ることは出来るくらいの重さだ。
「この道具を引っ張ればいいのね。わかったわ。」
4人は、ローラーをそれぞれ引っ張り出したが、ミールが他の3人より移動速度は遅いようだが、それでも一生懸命引っ張っていた。
まあ、気を付けて頑張ってくれたらいいかな、っと思いつつアーベルトさんの店の場所の整地場所に歩き出した。
「いつも風魔法で、伐採してから切り株を取り除いているけど、もうちょっと効率よくできないかな?」
腕を組考えていると。
「・・・・・どうしたの?」
急にミールが後ろから声をかけてきた。
「うわ、ミールか!ん?まだ始めたばかりだろ!」
「・・・・・フォルが悩んでいるみたい。」
「まあ、ちょっとね。」
「・・・・・どうしたの?」
「風魔法以外でさ、綺麗にする方法ないかな?って思ってさ。」
「・・・・・アースクエイク?」
「それは周りにまで影響するだろ。でも土魔法ってのは、まあ、考えられるな。」
「・・・・・ファイアウェーブ?」
「木は使うから、燃やしたら駄目。」
「・・・・・ゴーレムで抜く?」
「ゴーレムね、継続して引き抜き続けさせるならいいかもね。」
「・・・・・駄目?」
「でも、引き抜くってのはいいかも。今回みたいに短い時間で広い範囲になるとね、ゴーレムじゃ無理だね。」
「・・・・・どうする?」
「う~ん!」
「こら~、ミールあなたもさぼってないで手伝いなさいよ。」
リリネさんが叫んできた。
「・・・・・む~!さぼってないし。」
「まあ、あっちで頑張ってきなよ。」
「・・・・・ん、わかった。」
まあミールは、あっちで頑張ってもらうとしても、参考にはなったかな。
引き抜くって言うのは、ありかな。
引き抜くとしたら一番良さそうなのは、重力制御かな。
「よし、じゃあやってみるか。」
イメージとしては、某RPGの重力系の魔法だ。
重力操作の論文があったとは思うが、いかんせん俺があっちにいたときには、実現していない。
アイテムボックスに生きているものは、収納できないわけじゃないけど、地面に生えたままの物を収納することは出来ない。
一瞬、テレキネス系でも良さそうと考えたのだが、今回魔法で使っても面白くなさそうだなと思って、やめておいた。
木に重力かかる重力を軽くしたところで、地面から木が抜けるわけがないので、空中にブラックホールよりは軽めの重力場を作り出してみた。
ゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・
「きゃあ、な、なに、どうなってるの?」
後ろを振り返ると、アリスさん達が空中に浮いているのだ。
慌てて魔法を解除すると。
4人は、地面に叩きつけられるように、落ちてしまった。
「ごめん、大丈夫?すぐに回復魔法かけるから。」
4人に回復魔法をかけ。
「あたたたた、もう、何だったの?」
「ベルさんごめん、魔法で木を一気に抜いてしまおうと思ってさ。重力魔法で強引に引き抜きしてたんだけど。」
「・・・・・アースクエイクよりひどい。」
「そうだねミール、考えが浅はかだったよ。」
「サイコキネシスで次はいこうと思うよ。」
「私達もちょっと見ていくね。ね、リリネもそう思うでしょ。」
「そうね、ベル。ちょっとくらいいいでしょ。こんな目にあったんだから。」
「それは、本当にごめんよ。」
「・・・・・大丈夫。」
まあ、落ちてきたときに服が乱れて、色々なところが見えていたことは、黙っておこう。
俺は、すぐに戻って両手を前につきだし。サイコキネシスの魔法で木をまとめて引き抜いた。
範囲もイメージして、指定していたおかげで、一気に区画の予定地の木を抜くことに成功した。
木は、抜けたそばからアイテムボックスに収納しており綺麗なものであるが、アーベルトさんの予定地の地面には、かなり大きな岩が埋まっていた。
「この岩も掘り出して、岩を切り出し、石材として建物の土台に使おうかな。」
「・・・・・やっぱりすごい。」
「ええ、ミールの魔法であんな魔法見たこと無いものね。」
「ベル、私もそう思うわ。」
「リリネそうでしょ。アリスどう思う?」
「・・・・・」
「ねえ、アリスってば。」
「へ?」
「どう思う?って聞いてるの。」
「な、なにが?」
「もう、いいわよ。ミール、あなたも魔法習った方がいいんじゃない?」
「・・・・・うん。」
「後で、お願いしましょう。」
「エ、エヒャラ、・・・痛い。エアラでも魔法が使えるようになったから皆で習いましょう。」
「アリス、ナイスアイデア。そうしましょう。」
「さすがリーダーだね。」
「もう、こんな時だけ。」
「「「あはは。」」」
皆が後ろで会話しているけど、よく聞こえない位置で喋っているからよくわからないが、楽しそうで何よりだ。
目の前にある岩に、魔法で力込めているんだが、いっこうに抜けない、更に強めてみると。
ゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・。
横幅直径50メートル、縦10メートルはある大岩が、浮き上がった。
勿論、地面にはその分の穴が空いている。
4人は、その穴の縁に走ってよっていた。
「うわ、深い。」
「・・・・・うん、ベルすごいね。」
「あ、ああ。」
「アリス、言葉になってない。」
「え、しょうねリリネ。」
俺は、大岩もアイテムボックスに収納し、4人に駆け寄った。
「みんな危ないから、離れた方がいいよ。」
「・・・・・ん!」
「わかったわ。アリス下がりましょう。」
「・・・」
「アリス、ねえ聞いてる?」
「ええ・・・、ベル。」
「違うわよ、私はリリネよ。」
「ええ・・・。」
「これは、リリネ駄目だよ。アリス連れて下がりましょう。」
「そうね、ベル。」
3人は、アリスさんを引きずるように連れて下がっていった。
俺は、その縦穴に飛行魔法で降りていった。
地下に10メートルはあったので地下2階分は降りていったのだ。
「これだけ深いから、壁を固めて地下室にしようかな。」
と、考え崩れている土を取り除いていった。
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