表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/38

12

それより数日がたち、ひどかった雪は止み、積もってた雪も溶け始めていた。

道に積もってた雪に関しては、魔法で吹き飛ばして地面が見えるようになっていた。


「フォルさ~~~~~~ん。」

声がする方を向くと、村の中心部へと続く道の先に行商人のアーベルトさんがいつも通りに馬車に乗って、周りに人を引き連れて・・・って、他の人?


アーベルトさんが、いつもと違う成りで向かってきていた。

「お~い、フォルさ~~~ん。」

アーベルトさんのいつもの服は、一般市民って感じなのだが、今日は、俺が渡していた布を使って作った服だとは思うが、所々に、貴金属があしらってあり、豪勢な感じになっているのだ。


「聞こえてるよ、アーベルトさん。」

俺は、手を振りながら答えた。

周りにいる人達は、少し苦笑いをしながらこちらに向かっていた。


ガラガラガラガラ。


俺の目の前に、馬車。荷馬車が停まって、その行者席からアーベルトさんが降りてきた。


「お久しぶりです、フォルさん。」

「ええ、お久しぶりです、アーベルトさん。今回は、え~と。」

「ああ、この人達ですか!この人達はですね、護衛としてついてきてもらった冒険者の方々です。」


「私、パーティーのリーダーしへ・・いたっ」

「もう、アリスったら。私は、剣士のベル。」

ベルさんは、赤髪の切れ目の女性で、しっかり屋さんって感じだ。

「えへへ、ごめーん。アリスです。弓士です。リーダーしてます。」

リーダーのアリスさんは、ブラウンの髪でこの中で1番身長が高くて、俺より少し低いくらいだ。ただ、目の色がグレイだ。

「・・・・・ミールです。魔術師です。」

ミールさんは、髪の色がライトグリーンで、耳が尖っている。けして長いわけではない。身長は、160ちょっとって感じかな。

「見たらわかると思うけど、ミールは、樹人族(エルフ)です。あっ、私は、リリネドウィトール。リリネって呼んで。で、土人族(ドワーフ)よ。あと、いつもはもう1人パーティーがいるんだけれども・・・。」

やっぱり見た目通り、ミールさんは、エルフだった。

リリネさんは、ドワーフだけあって、少し身長が低いが出るとこは、1番出てると思う。


「あっ、みんな~!」

後ろから、エアラさんが手を振りながら走って来た。

ん?エアラさん知り合いなのか?


「エアラじゃない。もう、心配したんだから。いつまでたっても帰ってこないし。」

「ごめん、ごめん。ちょっと雪で遭難しちゃって。助けてもらって、帰れるようになるまでここですごしてたの。」

「えっ、そ、遭難してたの!いくら結婚式の費用のためって言ったって、自分の命は、大事にしなくちゃ。」


ん?今、な、何て?

「えっ?エアラさん・・・。」

「ああ、フォルさん、帰ったら結婚式なんですよ。ちょっと費用が足りなかったから、急いで仕事を受注したんですが、助けてもらうはめになって、大変なご迷惑かけました。でも、魔法を教えてもらえて嬉しかったです。」

「・・・ああ、それはよかっ」

エアラさん結婚!?そ、そうだったんだ。お、俺・・・

「えっ?エアラ、魔法使えるようになったの?見せて!」

「後で、後でね。あうあうあう、お願いベル、手を、手を離して、ガクガクしないで、き、気持ち悪い。」

ベルさんは、ハッと気が付いて手を離したのだが、時既に遅くエアラさんは、ベルさんに向かってキラキラしたものを振りかけてしまったのだ。

ベルさんの暴走で、俺が悲しむ暇がないくらいカオスな状態になっているのだが・・・。エアラさんは、そのまま吐き続けている。


「また、いつものやつだよ。ベル、相手の事考えないからそうなるのよ。」

リリネさんが、ベルさんに説教?を始めたようだ。


「エ、エアラさん、ベルさん連れてお風呂入ってきなよ。」

「う~、そうします。ベ、ベル、行くわよ。」

「エアラ、まだ、ベルに話があるのよ。」

リリネさんは、まだ言い足りないようだ。


「リリネさんも、ミールさんも、アリスさんも一緒に旅の汚れを落としてきたらいいですよ。」

「お、お風呂あるんだ。そ、そう、それじゃあ、お言葉に甘えようかな。」

「うん、あたしゅも・・・、また、噛んじゃった。」

「どうそ、お風呂広いから皆で一緒に入っても、ゆっくり入れますよ。」

「・・・・・・貴族みたい。」

「ミールさん、俺は、貴族じゃないです。」

「・・・わかってる。」

「エアラさんについて行ってくださいね。」

「・・・うん。」

すでにお風呂に向かうために、家に向かって歩いているエアラさん達に追い付くために、小走りでかけていった。


「フォルさん、まあ、気を落とさずに。」

俺の横に来たアーベルトさんが、肩をポンポンっと軽く叩いて励ましてきた。

俺、顔に出ていたんだろうか?そんなに分かりやすかっただろうか?

「はい、アーベルトさん、で、今回は、何で護衛なんか?」

「それはですね、フォルさんに支払うお金の額が、すごいことになってまして、お金だけで支払うと、金額がすごすぎて、色々な物も買ってきたのですが、その、総額でも大変なので、もし襲われたら取り返しのつかないことになるので、今回は、護衛を依頼したのです。仕入れもしたいですし、仕入れる商品の価値を考えると、更に護衛が必要な気もしますが。」

「そうですね、布は、かなり貯まってますから。鍋とかの調理器具も多めに作っておきました。」

「そうですか、楽しみです。それと今回は、フォルさんにお願いがありまして。」

「お願い?」

「ええ、布を作成してるところを見せていただくわけには・・・。」

「あ、いいですよ!こっちです。」

「いいんですか?」

「ええ、かまいませんよ。別に秘密にする必要ありませんから。行きましょうか。」

「はい。」

俺は、アーベルトさんを連れて工場に向かって歩き始めた。


「いや~、断られると思ってました。あはは。」

「ここです。開けますね。」

((ガチャ))


「さあ!どうぞ。」

「・・・・・・・」

中を見たアーベルトさんは、固まってしまった。


『な、何で、こ、こんな所にデ、デッドエ、デッドエンドマウスが、し、しかも、いっ、1匹いれば、町を滅ぼし、集団になれば、国をも滅ぼすと言われているのが、しゅ、集団で。』

「フォ、フォルさん、こ、ここはいったい?」

「ここが、工場です。ここの責任者は、母さんになっていますが。」

「そ、そうですか、あ、あの魔物は?」

「ああ、ここで作業してもらっているんですよ、食事は、希望している野菜を食べさせてます。ネズミ達だけではないんですよ。あっちにも。」

『あっち?あっちにもって、な、なにが?』

「さあ、どうぞ。」

『い、いや、デ、デデデデデデスサイズスパイダー?出会ったら、死を意識せよと言われる、あ、あの、デスサイズスパイダーが、こ、こんなにも。』


「ギーギー」

「おっ、ヒタム、ん?新しい服が出来たのか?ん?今回も俺のなのか?」

「ギーギー」

ヒタムは、嬉しそうに頷いている。

「わかったよ、ありがたく使わせてもらうよ。」

「ギーギー」

((バターン))

俺の後ろで何かが倒れる音がした。振り返るとアーベルトさんが倒れていた。

「アーベルトさん、アーベルトさん、大丈夫ですか?」

俺が、アーベルトさんを抱え上げると、

((ジョロジョロジョロ))

「うわっ!」

俺は、慌ててアーベルトさんを落としてしまった。


なにが起きたかは、想像通りだ。

幸い腕などにはつかなかったものの、かなり広範囲の床がオシッコまみれになってしまった。

急いでトイレからスライムを取り出して来て、オシッコを吸い取り始めさせた。

すごい勢いでオシッコを吸い取ったスライムは、意識を失っているアーベルトさんの下半身にまとわりつき始めた。

このスライム、アーベルトさんが着ている服を吸収することもなく、オシッコだけを吸収していった。


「ん?このスライム、好き嫌いがあるのか?まあ、それはおいといて、アーベルトさんを介抱しないとな。」

俺は、アーベルトさんを抱えて、その上にスライムをのせて、家に向かったのだった。



評価、感想頂けると嬉しいです。


もしかすると、返事が出来ないかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ