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第九話

 太陽が昇り、鳥のさえずりが聞こえてくる。朝だ。外で寝ると自然の時間に合わせて身体も頭もすっきりと起きるからすごく気持ちがいい。なんというか人間の本能的な部分が引き出されるというかそんな感じがする。自然とともに生きるこの世界はとても身体に良い気がする。気力の源にもなるし自然の力は偉大だ…と考えてると、寝ぼけ眼をこすりながらスズカが起きた。


「ん…朝?」


「おはようスズカ。」


「おはよ、お兄。」


「顔洗ったら朝飯にしようか。」


近くに川は無いため気力を使い、手のひらに水を纏わせ顔を洗う。自然の気力は便利すぎるなと思いつつ、昨日の残りのスープを温め直す為に火を調整する。後は携帯食のパンを軽く炙ってかじろう。


「ご飯食べたらすぐに洞窟に行く?」


「そうだな。それにどれくらい潜るかわからないし、ここもそのままにしておこう。」


「わかった。」


 簡単に朝食を済ませ、念の為装備品のチェックも怠らない。手頃な薪で松明も作って持っていこう。準備をした後にスズカの先導で洞窟に向かうとそこには大きな岩があった。地面から少し顔を出す形で穴が空いており、そこが入り口となっているようだ。


「地下洞窟か…奥の方まで真っ暗だし結構広そうだ。整備してあるわけでもないから採掘場って感じもしないな。」


「でもこの辺りの土に人の足跡が残ってた。多分1人だと思うけど…。」


「探索者かそれとも人に知られていない隠し洞窟か。念の為警戒は怠らないようにしようか。」


「うん。広さは結構あるから弓も槍も使えそう。」


「そうだな。気力は必要最低限に抑えるようにしよう。何が起きるかわからないからな。あと一応これを渡しておく。」

腰からサバイバルナイフを取り出しスズカに渡す。


「これは?」


「あっちの世界から転移した時に持ってたナイフだ。弓が使えない状況になったらそいつを使うと良い。炭素鋼で作られていて軽いし、頑丈で切れ味も抜群だ。」


「ありがと。無くさないよう大事にする。」

そう言うと腰のベルトにしっかりと装着した。


「準備も出来たし中に入るか。」


 入り口を屈みながら中に入るとすぐに立ち上がれるくらいの高さになり、さらに少し進むと横幅も一気に広くなった。先の方に松明を向けてみるが光は届かず、奥行きはまだまだありそうだ。


「一本道だけど先はかなり広そうだなぁ。」


「うん。人の気配もまだない。」


 慎重に進んでいくが横道も無いためスムーズに進んで行く。小一時間進んだ頃に周りの石の色が変わってきた。


「これは…水晶だな。白、黄、紫、それに紅水晶もある。」


「綺麗だね。」


「こんなにいろんな色の水晶が大量にあるなんてすごいな。なかなかお目にかかれない光景だ。」


 圧倒されながら先に進むと徐々に幅が狭くなり、道が塞がれていた。どうやら崩れて塞がれてしまったようだ。


「やれやれ…ホントに崩落してたな。さてどうするか。」


「お兄、この先少し進んだとこに人の気配がする。まだ生きてるみたい。」


「もしかして閉じ込められたってやつか。よし、土の気力を練ってと…。」


すると崩落した岩石が徐々にずれていき、壁や天井に埋まって固まっていく。


「ふう。こんなもんで大丈夫かな。先を急ごう、崩落で怪我してなけりゃ良いけど。」


「うん。もう少し先にいるみたい。」


 洞窟の崩落にも注意しながら慎重に先を急いだ。しばらく進むと松明の明かりに人影が浮かび上がった。



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