第七十二話
相変わらず村人たちから怪訝な視線を送られながら村の中を抜け、村の外へと出た。しかし目の間に広がっている景色は全く見たことがない場所だった。
「なぁ…俺たち山というか高原というかそんな場所にいたよな?」
「うん…。」
「じゃあなんで目の前に海が広がっているんだ!?」
「知らないわよ!それにこれ砂浜?」
「砂浜っていうより砂漠じゃないか?この広さは。」
「たしかにずっと続いてるわね。」
「ん…もしかして海じゃなくて湖か?潮の匂いがしないし波もそんなにない。」
「湖みたいね。向こう岸になにもないからか大きすぎて湖に見えないけど。」
「ううむ…どうなってんだ一体。見渡す限り人影も足跡も無いし、あいつらはまた別のところに出たのか。」
しばらく付近を散策していたときにリシュが気づいた。
「ねぇ…あれ見て。」
村の方角に濃い霧が発生しているようだ。
「霧か…こんなところにも出るんだな。」
村が霧に包まれたかと思ったらすぐに霧は晴れた。そして村が跡形もなく消えてしまった。
「見た?」
「ああ。消えたな。」
「有り得ないでしょ。」
「でも実際に2人の目の前で消えたから事実なんだろうな。蜃気楼の町ってやつか。」
「完全にゲームの中の話じゃない。」
「蜃気楼の町とか村とか塔とか、必ず重要なものがあるんだけど今回は何も起きなかったな。」
「何か発生条件があるのかもね。」
「たしかに。さて、あいつらともはぐれてしまったしどうするか。」
「2人とも一緒なら良いんだけど…でもあの子ら仲悪いしそれも微妙かな。」
「あいつらめっぽう強いから滅多なことがない限り一人でも問題ないと思う。」
「それもそうね。」
「ここに留まっていてもしょうがないから先に進むか。まずは人が住んでいる場所がないか探すのと、水と食料も確保しないとな。」
「一応魔物の警戒もしましょ。砂漠ならサソリとかサンドワーム?みたいのもお決まりなんじゃない?」
「定番だな。てことはあの湖はオアシス扱いか…?にしては大きすぎる。」
「とりあえず海か湖か確かめてみましょ。真水なら飲めるかもしれないし。」
「だな。でも砂漠にしては気温も高くないしそんなに乾燥もしていない。」
「言われてみれば…いま昼間だし不思議よね。日差しも普通だし。」
「何はともあれ日が沈むまでに少しでも情報が欲しい。急ごう。」
「そうね!」




