第七十一話
手短に宿を後にしてスズカとカナを探しに行くことにした。まずは村の中を様子見しながらカナを探す。スズカは村の外らへんで日課のトレーニング中だろうから村から出るときに会えるだろう。あれ、でもトレーニングはいつも早朝だな。この時間もまだやっているんだろうか…。
リシュと村の中を歩いていると執拗に村人たちからの視線を感じる。昨日は全然見向きもされなかったのに変だな。それに何か嫌な予感がする。
スッとリシュに近づき、小声で耳打ちをする。
「なぁリシュ。なにか嫌な感じがしないか?」
「やっぱり?あなたもそう感じてるってことは間違いなさそうね。」
「急いだほうが良さそうだ。カナがいるところに心当たりは?」
「それが特にないの。小さい村だしすぐ見つかると思うんだけど。」
「でももう一周するぞ。一旦宿に戻ってみるか?」
「そうしましょうか。それでいなかったらとりあえず村から出てスズカちゃんと合流しましょう。」
「わかった。」
足早に宿へと戻る。
「あれ?たしかこの場所にあったはずなのに。」
「だよな。この木も見覚えあるし、間違いないはず。」
「でも建物がないわね。」
「…。」
「宿の建物ってあっちに向かって建ってたよな。それで俺が泊まった部屋の窓から例の場所が見えた。」
「ええ。」
「ということはこっち向きってことだ。でも窓からこの木は見えるハズなのになかった。これだけでかい木だから視界に入らないわけがない。」
「ちょっと待って。私が泊まった部屋の窓からこの木が見えてたわよ?」
「は?だとしたら余計に辻褄が合わなくなる。」
「木が動いてないとしたら建物自体が動いた?もしくは窓や入り口が別のところに繋がっていたとか?」
「そんなばかな…。」
「とりあえず村の外に出ましょ。」
「ああ。あいつらも外にいるかもしれないしな。」
「たしかあっちが入り口よね。」
「ああ、出入り口は1つしか無かったから間違いないはず。」
「そうね…。」




