第六十八話
一通り村を歩き回り聞き込みをしたが、結論から言うと何も収穫がなかった。まぁ村自体が小さいから人も少ないんだが…しかもみんな口を揃えて同じことを言う。「こういうものだ。」と。
宿に戻ってきたらちょうどリシュが部屋を取ったところだった。小さい宿だが2階に2部屋取れたらしい。大して利用客もいないだろうからまず空いてるか。とりあえず一つの部屋に4人集まって調査結果を報告だ。椅子に俺、それぞれのベッドにリシュとスズカが腰掛けて、カナが入り口のドアを背に立っている。
「ねぇ、やっぱりヴィクトも同じ?」
「ああ、全くもって意味がわからん。なんで空き家を燃やしたりするんだと聞いても、いつからやっているんだと聞いても同じだ。回答らしい回答が返ってこない。」
「みんな口を紡いでいる。」
「でも脅されているとか恐怖感というものは感じられなかったわ。」
「淡々と答えるだけだな。」
「…。」
相変わらずカナは無言だ。
村人の様子はいたって普通だが、この質問に対してだけは濁されると言うか回答になっていない返答がくる。謎の領主とやらにマインドコントロールでもされているのだろうか。
それとも他の何かか…。
「なにも情報が無いならどうしようもないわね。」
「そう…だな。」
「歯切れが悪い感じだけど、何か気になることでもあるの?」
「いや、ちょっとな。そもそもこれだけ小さい村なら家の数も対して無いのに、"習慣"になるまで繰り返していたらすでに村が無くなっていてもおかしくないなと思ってさ。」
「確かにそうね…。」
「でも大体1年前に来た時は普通の村だったんだろ?」
「ええ、そうよ。」
「じゃあ約1年の間に風習として馴染むにはかなりの件数がないと習慣にはならないだろう。それに焼け跡とか家が建っていた跡もない。」
「つまりどういうこと?」
「まだ始めたばかりの習慣ってことだ。もしくはそういうふうにマインドコントロールされているか。もしくは…いや、これはさすがにないな。」
「なによ、気になるじゃない。聞かせて。」
「うーん。現実味が無くなる妄想なんだが、ループしてるとかな。何かトリガーになるものがあって、同じ日が繰り返されているとしたら。」
「漫画の読みすぎじゃない?」
「普通はそう考えるだろうな。でもここは異世界だ。そういう世界観の中にはなくはないと思わないか?」
「そうねぇ…。その仮説がもし本当だったとしたらどうやって確かめるの?」
「それなんだよなぁ。」
「私達もループの中に入れば良い。」
スズカが過激なことを言い出した。
「それはさすがに遠慮したいものだ。」
「…すでに入っているかもな。」
カナが珍しく発言した。ものすごく信憑性が増すからやめてほしいんだが。
「まさかね。」
「…。」
4人共黙り込んでしまう。少し重い微妙な空気になってしまった。
「そういえば腹が減ってきたな。宿で飯は出るのか?」
「ああ、うん。そろそろご飯が出来る時間かな。1階に降りてみましょう。」
「とりあえず今日のところは移動で疲れたし、飯食ってゆっくり休もうぜ。」
「そうね。」
「賛成。」
「…。」




