第六十七話
村に入り火の手が上がっている家に近づくと人だかりが出来ていた。その中にスズカとカナの姿もあった。
「家が燃えてるのに消火しないのか!?」
「氣力で水出して消そうとしたら止められた。」
「は?一体どうして…。」
「この家の住民が亡くなって誰も住む人がいなくなったから燃やしているんだってさ。」
珍しくカナが話した。
「別にわざわざ燃やさなくても良いと思うが。」
「空き家は闇の氣力が強まるからすぐ燃やせっていう、最近代わった新しい領主の命令だって。」
「何の根拠があってそんな命令を出したのやら。」
「さあね。ていうか私に言われても知るわけないじゃん。」
「すまん、それもそうだな。」
なんだかトゲトゲしいな。でもほとんど会話したことない相手なら最初はこんなものか。
若い女だから余計にか?気の知れた関係にまでなれば男友達みたいに気楽な相手になって良い友人になれるんだが、こういうタイプの最初の頃は特に苦手だ。何ていうかギャルみたいな。世の中のギャルはみんな良いやつっていう幻想抱いてるやつは気をつけたほうが良いぞ。良いやつはとことん性格良いけど、悪いやつもとことん性格悪い。
「で、これは燃え尽きるまで放っておくの?」
リシュが若干機嫌の悪そうな呆れた感じで燃え盛る家を見ている。
「とりあえずそっとしておいて下手に手出ししない方がいいんじゃないか?家主もいない家なら被害もないだろう。」
「それはそうだけど、万が一に延焼とかあるじゃない?」
「風も無いし、空気も極度に乾燥してないから大丈夫だろう。」
「そっか。焼け落ちたらみんなで水かけるのかな?よく見たら水が入った桶が大量に準備されてるし。」
「そのようだな。しかし、新しい領主ってのがちょっと気にならないか?氣力についてなにか知ってそうだ。」
「そうね。少なくとも私が前に来たときにはこんな習慣?無かったし、領主についても特に変な噂とかも聞かなかったわ。」
「じゃあ一息ついたら村で情報収集といくか。あと今晩の宿もな。」
「わかったわ。当時の知り合いも探してみる。まだ住んでたら力になってくれると思うんだけど…。」
「スズカとカナはどうする?」
「村の周辺見回ってくる。」
「…。」
カナはだんまりの様子だ。無言でどこかへ行ってしまった。
「了解。あんまり遠くに行くなよ。」
「うん。子供じゃない。」
「そうだが、何か嫌な予感がするからな。念の為、だ。」
「じゃあ私達も分かれて聞き込み始めましょうか。宿は私が取っておくわ。」
「ああ、頼んだ。じゃあまた後でな。」




