第六十四話 第一章 -完-
「とりあえず今はまだ必要無いからな…。」
鞄の奥底に以前作っておいた隠しポケットに入れておいた。
「その時が来る日はあるんだろうか。」
『ガチャ』
「ただいま。」
「おかえり。食後のトレーニングか?」
「うん。軽くだけど。」
「あんなに食べた後によくやれるわ。」
「どんな状況でも動けないとダメだから。」
「なかなかストイックな思考で…まぁ俺も筋トレしてた時はトレーニング量や食事管理を徹底してたからわからんでもないが。」
「日々の積み重ねが大事。」
「だな。俺も頑張らないと…明日から。」
「そういっていつもお兄はサボる。」
「ほんとに明日から心入れ替えて頑張るから。今日は流石にナシな。」
「わかった。無理矢理引きずってでも連れて行く。」
「おう。どんと来い。」
「ん…眠い。」
「少し早い時間だけど、明日から旅が始まるし今日はもう寝るか。」
「うん。おやすみ。」
「おやすみ。」
ランプの火を消す。窓から注ぐ月の明かりが割と眩しい。昼間に久しぶりにトレーニングをしたせいもあってか、すぐに眠気がきた。このまま眠ってしまおう…。
『コン…コン…』
(ん…?誰かきたのか?起き…Zzz。。)
女性の声「寝ちゃってるか…ま、いいや。」
朝日が差し込んで目が覚める。
「うーん、朝か。なんかよく寝た気がする。」
(そういえば誰か夜中に来たような…?夢か?)
「お兄。おはよ。」
「おはよう。スズカ、夜中にトイレでも行ったか?」
「ううん。ずっと寝てた。」
「そっか。」
「それよりも準備。夜明けとともに出発。」
「そうだった!」
「ヴィクトー!まだ寝てるのー?」
リシュだ。
「大丈夫起きてる。すぐ行く!」
「あんまり遅いと置いてくよー。」
ササッと身支度をし、荷物を持つ。短い間だったけど世話になったこの部屋に一礼をする。前世で旅してたときからの習慣だな。最初は忘れ物がないかの最終チェックだったけど、いつしかこんな習慣が身についた。
「ありがとう。」
「お兄、いこ。」
「ああ。これ以上遅れると置いていかれちまうな。」
外に出ると出発寸前のリシュ達がいた。見送りにジン、リズさん、リリカも来ている。別れは昨日済ませたんだがな…。
「気をつけてな!」
「行ってらっしゃい!」
「また会える日を楽しみにしていますわ。お気をつけて。」
「ありがとうございます。行ってきます!」
こうして新たな仲間と一緒に氣聖石を探す旅に出た。氣聖石の伝説では最終的にすべてを無に返すらしいけど、どういう意味なんだか。現在はリシュ、カナ、スズカ、俺の4人だし、次の適合者は男だったらいいな。まぁ、この後どんな旅が待ち受けているのか期待に胸が膨らむ旅立ちの朝だ。
第一章 -完-




