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第六十一話

「皆さん、一旦ご注目をお願いしまーす!」


 ジンの声掛けで集まっている人たちが一斉にジンの方を見る。何だ何だと注目しているようだ。ここはひとつ、ジンのプレゼンのお手並み拝見といこうじゃないか。


「今回集まっていただいたのはリシュとヴィクトの送別会でもありますが、ひとつご紹介したいものがあります。」


「当店では様々な装飾品を以前より販売して皆様にご好評いただいておりますが、今回は今までにない全く新しいデザインのものをこの度販売します。」


 女性達は一気に食いついたようだ。ジンから距離が離れていた人たちは間近で見ようと詰め寄っていく。それに反して女性と一緒に来ていたと思われるであろう男たちはスーッと離れていく。あ、あの人腕掴まれて連れて行かれた。あれは必ず買わされるやつだな…。というかこの店、意外と常客いたんだなぁ。


「それでは新作を身に着けた素敵な女性に登場していただきましょう!」


 区切られてパーテーションのようになった物陰から、ドレスアップしたリシュとリリカが出てきた。わーっと歓声があがる。リシュは薄いピンクの甘めなワンピーススタイルに大ぶりのシンプルなイヤリング、リリカはカジュアルなモノトーンのショートパンツスタイルで、パンツと同じ色の白い花モチーフのイヤリングか。どっちも見た目の雰囲気に合ってて可愛いな。服のコーディネートはジンに出来るとは思えないし、リズさんだろう。


「この他にも色々なデザインのものを鋭意作成中でございます!デザイン画がありますので、こちらをご覧ください。ご希望の方はご予約を承ります。」


 注目していた女性たちはモデルの2人とデザイン画に群がっている。一緒に連れて行かれた男も近くでみたら細工の細かさに驚いているようだ。リシュもいつの間にあれだけ大量のデザインを描き上げたんだか。もはや超人だ。以前から描き溜めてたのを放出したってケースも考えられるか。ま、大成功なようで良かった良かった。これでたくさん売れれば俺にも定期収入が見込めるし、旅の資金も安泰だ。でももはや送別会って感じではないな。ただの新作発表パーティーかなんかだなこれは。


「なに騒いでるの。」


スズカだ。食べ物を一回りして戻ってきたらしい。

「ん?リシュが描いたデザインのイヤリング発表会だな。予想以上に好評らしい。」


「ふーん。今のうちに美味しいもの食べ尽くす。」


「お、おいっ。さすがに少しくらい残しとけよ。」


「むぅ…お兄が言うなら仕方ない。」


「まったく、ホントに食べ尽くしそうだからな…ってそのネックレス、氣聖石のやつか?」


スズカが着ている服は胸元が広く空いたシャツだから一際ネックレスの存在感がある。


「そう。さっきジンからもらった。」


「これは見事だ。後世で二つ名的なものが付けられてもおかしくなさそうな出来栄えだな。」


「えー…つけられたくない。」


「出来るとしたら変なエピソードがつかないよう努力するしか無いな。」


「じゃあお兄にあげる。」


おもむろにネックレスを外し手渡そうとしてきた。


「俺が貰っても効果無いし無意味だろ。ちゃんと身につけてな。」


「はーい。」


もぞもぞ首の後で着けようとしているが着かないようだ。


「お兄、つけて。」


「わかったよ。こっちこい。」


「ん。」


 前屈みになって胸元が見える。こいつ相変わらず着けてないのか…。というか人にネックレス着けるのに前からってのも普通あんまりやらないな。どっちでもいいけど。


「ほら、これで大丈夫。」


「ありがと。」


「トップがでかいと邪魔そうだな。」


「よくわからないけど、身につけたら重さがなくなるから気にならない。」


「その石、そんな効果もあるのか…謎だな。」


「うん。じゃあ2周目、行ってくる。」


「お、おう。」


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