第五十五話
翌日、俺は早い時間から軽く挨拶に回った。昼にはスズカと待ち合わせているし、遅れないようにしないと。
・
・
・
最後に遺跡へ行った時にお世話になった牧場へ行き、挨拶をすませた。もちろん馬たちにもだ。馬は一度覚えた人の顔は忘れないっていうし、次に来たときにもまた乗れたらいいな。まだまだ長生きしろよ。
さて、丘の上まで向かうとするか。あそこまで意外と距離があるんだよなぁ…ついでに馬借りてくれば良かったな。
そうこうしている間に到着。スズカの姿があるにはあるが…寝てるじゃん。うーん、とりあえず腹ごしらえでもするか。挨拶回ってたら色々と貰い物があったんだよな。
「ん…。」
「お、起きたか。」
「美味しそうな匂い。」
「ほれ。」
色々ある中から串焼きをスズカに渡す。
「ん。」
『もぐもぐ…』
「いつもと変わらず美味しい。」
「だな。でも当分の間食べられなくなるな。」
「悲しい。」
「次の街にもまた旨いものあるさ。それにまた戻ってくれば食べられる。」
「期待する。」
「飯食って一休みしたら軽く慣らしするか?」
「弓はもう大丈夫。馴染んだ。お兄に付き合う。」
「そうか。じゃあ頼む。最近身体動かしてなかったからなまってそうだ。」
「私は日課こなしてたから問題ない。」
「いつの間に…見かけない時はいつもトレーニングしてたのか。」
「日々の訓練が大事。」
「う。そうだな。」
それなりにあった貰い物がもう無くなっている。俺そんなに食べてないのにな。
「ごちそうさま。」
「じゃあ少し休むか。」
「ちょっとだけ。」
芝生に寝転がり、心地よい風を感じながら空を見上げる。草木が風で揺れ、互いが擦れる音に混じって時々鳥のさえずりや馬の嘶きが聞こえる。とてものどかで居心地が良い風景だ。
「お兄。」
「ん…?」
「起きて。結構時間経った。」
起きて太陽の位置を確認すると南中から結構傾いているのがわかる。寝すぎた。
「悪い。あまりにも気持ちが良すぎて寝すぎた。」
「それも仕方ない。」
「よし!じゃあ手合わせをお願いしようかな。」
「ん。」
準備運動を終え、武器を取り出す。スズカはナイフを取り出し、俺は槍を準備して構える。
「氣力無しの実戦形式でいいよな。」
「ん!」
シンザ爺さんのところでいつもやっていた実戦形式のトレーニングだ。スズカとは互いの実力がわかっているし、加減の程度もわかっているから本気でやれて良いトレーニングになる。ゲームの対戦とかスポーツとか趣味とか何においてもなかなかいないんだよな同レベルの相手って。いたらホント重宝するし、気づけば仲良くなりやすい気がする。




