第四十九話
まもなく朝食が出来上がる時間だが予想通り2人共来ない。早めに呼びに行こうと思い、工房の方へ向かうとジンとリシュが出てきた。時間を忘れて来ないと思ったから意外だ。
「あれ、まだ朝食には少し早い時間よね?余裕持って早めに戻ってきたんだけどもう出来ちゃった?」
「いや、そろそろ出来上がるから呼びに行こうかなと思って。さっきも反応無かったし。」
「返事したつもりだったけどしてなかったみたいね。ごめんなさい。」
「いやいいんだ。モノは仕上がりそうか?」
「おうよ!朝食食って寝たら準備運動がてら試作品の最後の仕上げをして、すぐに本番に取り掛かるからな!」
「それは楽しみだな。」
会話をしながらリビングに戻ると美味しそうな朝食が綺麗に並べられており、すぐに食べられるようになっていた。さすがリズさん。職人の嫁も仕事が丁寧で早いのかもな。
「皆さん揃ったわね。さあ朝食にしましょ。」
「いただきまーす。」
「そうだ、今日リリカって予定空いてると思う?誰か知ってる?」
そう皆に問いかけるとリズさんが教えてくれた。
「特に予定が無くてどうしようかなーって昨日話してましたわ。なので空いていると思いますけど、デートのお誘いでもされるのかしら?」
「いやいや。そんなのじゃなくてちょっと買い出しに付き合ってもらおうかなと思って。リリカ、顔広いし色々値引きしてもらえるかなと。」
「そうでしたか。でもそれならデートと変わりませんね。ふふっ。」
いじわるそうな含み笑いをしながら突っ込まれた。
「もうそういうことでいいです。どこに行ったら会えますかね?」
ふと鋭い視線が刺さった…気がしたが視線の先はあえて見ない。
「暇な時は大体こちらに顔を出されるので、もう少ししたら来ると思いますわよ。」
「そうですか。」
朝食を終え、片付けを手伝っていたときにリシュが小声で耳打ちをしてきた。
「ちょっと、どこにいくのよ。しかも2人で。」
「うん?大した用事じゃないんだが、ネックレスが完成したらそろそろ旅に出るだろ?その旅支度をしようと思ってな。」
するとリシュはホッとしたような表情を見せた。
「そっか。そうね…みんなにも伝えておかなくちゃね。」
「ああ、今日の夕食時にでも言おうかなと。リリカもそのまま来てもらって。」
「それが良いわね。カナにも来るよう言っとく。あの子ふらっと出かけてたりするから。」
「よろしく。」
片付けも終わり、みんなそれぞれ部屋から出ていった。ジンも寝室へ行ったようだ。気づけばリビングには俺とリシュだけになった。
「そういえば今更だけど、私達と一緒に残りの氣聖石探しに行くってことで良いのよね?」
少し照れ気味に視線を外しながら聞いてきた。
「ん?そのつもりだったが言ってなかったっけ。」
「こういうのははっきりとさせておきたかったから改めて聞いたの。」
「そうか。すまん。一緒に行こう。」
「うん。こちらこそよろしくお願いします。」
「よろしく。」
ちょっと照れくさいやり取りになったが、たしかにこういうのは最初をしっかりしておかないとスッキリしないからな。行くつもりなかったとかお互いに文句が出たりするし。何でも最初が肝心。こんなことを考えていたら玄関の方から声が聞こえた。




