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第四十八話

 食事を取った後はすぐに寝た。どうやら疲れが溜まっていたらしく、昼寝程度ではあまり回復できなかったみたいだ。しかし早くから寝たからか朝早く目が覚めたため、工房に向かってみると作業台に突っ伏して眠っているジンの姿があった。昨夜食事を終えた後、ジンはすぐに工房に篭もって夜遅くまで作業をしていたようだ。職人の鏡だな。傍らには試作品が完成したと思われる品があった。シンプルながら細部の拘っているところは細工が施されており、大きな宝石を付けていても嫌味さを全く感じさせずに優雅さが醸し出される作品だ。これを氣聖石で作るとすごいだろうな…歴史的名工として名が残るんじゃないか。ホープダイヤみたいに所持した人がみんな不幸になる曰く付きの呪いの品にならなきゃ良いけど。

 しばらく眺めて感嘆しているとリシュがきた。


「おはよう、早いのね。」


「おはよう。昨日は早くに寝たからか目が覚めてな。」


「もうおじいちゃんになったのかと思った。」


「んな馬鹿な。それよりコレ完成したんだな。」


「ホントだ。試作品でもとっても綺麗…。これなら普通に商品にしても売れるわね。」


「そうだな。でもこれだけのサイズの水晶や宝石、輝石なんてなかなかないんじゃないか?」


「それもそうね。このサイズは氣聖石用かしら。」


「サイズを小さくして売り出したらどうだ?でも細工がさらに小さくなってよくわからなくなるか。」


「そうね。そもそもそんなマイクロレベルの作業は無理だと思うわ。」


「確かに。各氣聖石を手に入れ次第、このネックレスに加工してもらおうか。」


「それがいいと思う。」


「数十年後には伝説のネックレスとか呼ばれているかもな。」


「ふふっ。有名になれなくてもせめて曰く付きにならないように頑張らないとね。」


「だな。」


「む…朝か。」


ジンが起きたようだ。


「おはよう。」&「おはよ。」


「なんとか昨日のうちに試作品は完成したぞ。こんな感じで問題ないか?」


「バッチリよ。予想以上の出来栄えにびっくりしたくらい。」


「そうか。それは良かった。じゃあいよいよ本番に取り掛かるとするか。」


「待て待て。取りあえずベッドでゆっくり休んできてベストな状態でやらないとだめだろう。」


「そうよ。試作品より質が落ちるとか許さないんだから。」


「わかったわかった。朝食食べたら一眠りして昼過ぎから取り掛かることにする。これでいいか?」


「そうね。それならいいわ。」


「そろそろリズさんが朝食の準備を始める時間だろうから手伝いに行ってくるよ。」


「うん。行ってらっしゃい。私は少しジンと打ち合わせしていくわ。」


「お、ダメ出しされるのか?いいぜ、どんと来い。」


「そうね。ここは欲を言えばもう少しこんな感じに…。」


「それは難易度高えな…でも出来ないこともないか。やってみよう。」


「作るなら最高のものを作りたいじゃない?後世に残る伝説の一品になるんだから。」


「名工として名を馳せられたら良いなあ。職人冥利に尽きるぜ。」


「妥協は許さないわよ。ここもこうして…。」


 この勢いだとすぐに集中して朝食も忘れそうな感じだな。釘打っとくか。


「詰めるのは良いけどすぐに朝食だからな。程々にしとけよー。」


 例によって返事がないあたりをみるとすでに白熱しているらしい。まあ出来上がったら呼びに来るか…。この感じなら今日明日でネックレスも完成するだろうし、そしたら旅立ちか。そろそろ旅の準備をしておくかな。最低限必要なものも買い揃えておいた方が良いだろうし、顔が利きそうなリリカと一緒にいくか。色々と安くしてもらえそうだしな。後で誘ってみよう。


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