第四十五話
「さて…と。」
街外れの牧場方面に来てみた。歩くと距離があるから少し遠いけど、ここはとても気持ちが良い場所だ。丘になっているから風が吹き抜けるし、てっぺんの木の下は木陰で涼しいだろうから昼寝にはもってこいだな。
『サー…。』
草々が風になびいて擦れる音や、木々の枝や葉が風に揺られて音をたてている。ここは自然の音しか耳に入ってこない。時々、鳥の囀りや馬の嘶きが聞こえるのがまた心地よい。
「ふう。」
ようやく丘の頂上へ着いた。木陰に入ると涼しく、薄っすらと額に滲んだ汗が風に冷やされ気持ちが良い。木の根本にはスヤスヤと寝息をたてる白いワンピースの女の子がいた。スズカだ。気持ちよさそうに眠っているのを起こすのも悪い気がしたので、取り敢えず隣に寝そべってみた。
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普段生活していると、こうやって心を無にしてボーッとするのって簡単なようで難しいんだよなぁ。自然と一体になった感じがして、頭も空っぽになってリフレッシュが出来る。
アウトドアもいろんな楽しみ方があって人それぞれだと思うけど、本質はここにあるような気がする。生物の原点ってやつだな。
「お兄、どうしたの?」
「ん?悪い、起こしたか?」
「ううん。寝てる時も警戒は一応してるからさっきから気づいてた。」
「そっか。さすがだな。」
「本能かな。」
「実はスズカに用事があってな。」
「なに?」
「水の氣聖石あったろ?あれをアクセサリ加工して身に着けやすくしようってことになってな。リシュがデザインしてジンが早速作ってくれることになったんだ。」
「そう。」
スズカは服の中を弄ると、どこからともなく氣聖石が出てきた。どこに入れてたんだろう。
「はい。これ。」
手渡しで水の氣聖石を受け取った。なんだかほんのり温かい。
「ありがとう。ネックレスにするんだが、長さの希望はあるか?」
「長いと揺れて邪魔になるから短い方が良い。」
「わかった。一応首周りも測っておこうか。ちょっと起きてくれるか?」
「ん。」
スズカは上半身を起こして真向かいに座り直した。紐のようなものは持ち合わせていなかったので、正面から首の後ろに腕を回し、指でなんとなくの長さを測る。細い首にデコルテが綺麗だな…ネックレスも映えそうだ。
「よし。大体の長さはわかった。」
「じゃあ私はもう一眠りする。」
「あぁ。夕飯には戻ってくるんだぞ。」
「うん。」
スズカはまた仰向けになり、数秒もたたないうちに眠りについた。早いな。一緒に寝たいところだがお目当てのものもゲットしたし、ジンの工房へ戻るとするか。




