第三十八話
ジンが釣り道具を片付けてくれるようだ。すぐにリズさんの手伝いに回って、魚のヌメリや鱗、内臓処理に取り掛かった。この数だし2人でやったほうが早いだろう。まずはナイフを立てて尻尾側から頭にかけてヌメリと鱗取り。川魚だから鱗も薄いし気にならない程度で良いな。次は肛門にナイフの先端をプスッと。内臓を傷つけないようにサクサクと切ってエラの辺りまで…っと。後は内臓を手でサッと掻き出して身を洗いつつ、血合いの部分も取ったらエラも切って下処理完了!エラ取りが面倒くさかったら頭ごと落としても良いんだけど頭が合ったほうが川魚は何か良いよね。普通なサイズは串に刺して各ヒレに塩を揉み込んで塩焼きにしよう。大きいやつは3枚におろすか。刺し身でも食べてみたいが生食文化ってこの世界にあるのかな。寄生虫が怖いからとりあえず氣力で氷漬けにしたいが…よし誰も見てないスキに。『ピキーン』っと。シャーベット状にしてルイベもどきだな。
キャンプとかで魚は肉に比べて難易度高そうに思われているけど、こんな調子でお手軽に捌けるからキャンプで釣りしてバーベキューのお供にってのも良いもんですよ。焚き火に串刺しの魚焼きとか男のロマンでしょう。…と誰に語りかけているのかもわからずに一人妄想。
「なにをブツブツ言いながら捌かれてるんです?」
リズさんが怪訝そうな表情をして話しかけてきた。
「あ、いえ大丈夫です。下処理大体終わりましたけど、こっちの切り身も使います?」
「ありがとうございます。捌くのとっても早いんですね。魚屋さんか何かされていたことでもあるのですか?」
「ただの趣味ですよ。はい、切り身どうぞ。ちゃんと処理したので生でもいけますよ。」
「それにしては手慣れすぎてますわね。そうしたらこの切り身は特産の香辛料とオイルを使ってサラダ風にしてみましょうか。」
カルパッチョっぽいのを作るのかな。あれも美味いけど川魚でってどうなんだろう。白身魚で普通は作るけど。楽しみだ。
「手伝いますよ。丸ごとの大きめの魚はどうします?」
「そうね。香辛料とか色々すり込んでから一回揚げて特製ソースを作ってかけましょう。」
「美味しそうですね。そっちはあんまりよくわからなくて手伝えなさそうなので、お任せします。」
「じゃあそっちお願いね。」
「了解です。」
そういえばこうして誰かと一緒に料理するのは初めてな気がする。キャンプはいつもソロキャンだったから一人だし、家では手抜き飯か半額惣菜、弁当ばっかりだったからなぁ…一人分だけ作るのは面倒くさいし、食費も無駄にかさむし。大勢の飯を人と作るのも楽しいものなんだな。新たな人生ではいろんなことの発見があるね。経験した記憶があるから尚更気付かされることが多いのかもな。普段から考え直したり見直すクセを付けておけば人生の過ごし方も変わってたのかもなー…。
「また難しい顔されてます。年相応の顔をなさった方が女性に好かれますよ。ふふっ。」
「は、はい。すいません…。」




